働き手不足はどの業界でも深刻化しており、優秀な人材を確保することは年々難しくなってきています。多くの企業から自社を見つけてもらうために役立てたいのが採用動画です。
採用動画を上手に活用すると、年齢や性別問わずに幅広い方にアプローチを行う事が可能となります。
この記事では、最新の採用動画のトレンドや実際に採用動画を作成する際の注意点などについて解説していきます。
採用活動には動画を活用しよう
「採用活動に動画を活用?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。採用活動に動画を活用することのイメージは湧きづらいですよね。
しかし、実際のところ採用活動において動画を活用することは優秀な人材を採用したり、ミスマッチを防ぐ上でかなり重要です。最近では採用に有効的なツールとしてかなり注目を集めています。
そこで、採用活動になぜ動画を活用するべきなのか、まずはその理由を丁寧に解説していきます。
視覚的なコンテンツで情報量を伝えることができる
視覚的なコンテンツであるため、動画は文字に比べて情報量を多くできます。会社内の雰囲気や社風などは文字媒体だと伝わりにくいですよね。そして、会社の雰囲気や社風などは採用活動において非常に重要な要素の1つです。
従来の文字だけの求人票やパンフレットではアピールするのに限界がありましたが、動画を活用することでより伝えたい内容を伝えやすく、かつ、しっかりと伝えることができます。
求職者とのコミュニケーションがスムーズになる
事前に会社や社員の雰囲気・オフィスの様子などを知ってもらえると求職者の前提知識が変わってきます。事前情報がしっかりと入った状態で話を前に進めることができるので、コミュニケーションコストを下げることができます。
広い世代に周知することができる
動画は気軽に視聴できる媒体です。特に新卒採用の場合において現在の学生は、SNSの影響により文字媒体よりも動画で情報を得ることに慣れています。
そのため学生にとっては、動画で会社の様子を知るということも不思議に思わないどころかごく自然なことです。
もちろん新卒だけではなく中途採用向けの世代にも適しているのが採用動画の特徴です。動画は幅広い世代にとって身近なコンテンツであるため、年齢に関係なく採用時に効果を発揮してくれます。
採用活動においてまずは会社の名前や存在を知ってもらうということは重要ですよね。そうしたことから気軽に会社のことを知ることができる動画は採用活動に有益なツールなのです。
採用プロセスを合理化できる
会社説明の内容は大体同じであることがほとんどではないでしょうか。同じ説明を何度も行うことは非効率であり、担当者の会社に対する精通度合いによっては説明の仕方にバラツキが生じるかもしれません。
そのため、会社説明に慣れた方が求職者側にしっかりと伝わる動画を作成し、その動画を活用していく方が効率的で生産的なのです。
社員の自己啓発の機会になる
内製化して採用動画を作成する場合、動画編集スキルも1つの立派なスキルになります。
また動画を作成する上で会社のどこのポイントが求職者に対して魅力的なのかを考えるきっかけになるなど、「採用で動画を活用する」という切り口1つとっても社員の自己啓発の機会となり得ます。
採用動画のトレンドとは?【2023年】
次に、2023年の採用動画のトレンドはどのようになっているのでしょうか。これから2023年の採用トレンドは以下の通りです。
1.インタラクティブ動画
2.VR技術の導入
3.TikTokなどのショート動画
4.ストーリー性を感じさせるドキュメンタリー動画
5.多言語対応の動画制作
6.ライブ配信の導入
それぞれ解説していきます。
①インタラクティブ動画
まずインタラクティブ動画とは、映像中にボタンを仕掛けるなど視聴者側からもアクションがとれる動画のことです。
”視聴のみ”の動画で終わっていた動画の差別化にもなりますし、何より視聴者側のニーズに合わせた動画を提供できることが強みとなります。
これまでは単なる映像だけでのものだったのが、インタラクティブ動画により、もっと視聴者側を巻き込んだ映像に仕上げることで動画の内容が入ってきやすくなるのです。
②VR技術の導入
VRとはVirtual Realityの略で、ゴーグルのようなものを用いて仮想的に作成された映像を見ることができます。
VRを用いることで、よりリアルで立体的な映像を現場にいなくても見ることができます。採用においては地方に在住の求職者へのアプローチが非常に有効的です。
技術が発達してきたおかげで、比較的誰でもVRは気軽に使えるようになるでしょう。
③TikTokなどのショート動画
現代のSNSの主流であるInstagram・TikTokはどちらも「ショート動画」と呼ばれる長さが短い動画がよく見られています。特に新卒採用に向いていると言われています。
現代の学生は、ショート動画から情報を得ることに抵抗がないため短い動画で何本かに分けて会社の魅力を伝えていくことの方が学生たちには届きやすいでしょう。
効率的にリサーチを行うにはSNSを使うという考えが身についている世代であるため、ショート動画の波はまだまだ終わらないでしょう。
④ストーリー性を感じさせるドキュメンタリー動画
ストーリー性を感じさせるドキュメンタリー動画も採用動画のトレンドの1つです。
創業から現在に至るまでの変遷や社員の成長過程など、「誰と働くか・どのような社風のもとで働くか」ということに重きを置いている求職者に対しては非常に効果的にアプローチできるでしょう。
エンタメ的な要素が入っていると視聴者側も社風や大事にしている価値観が入ってきやすくなることが期待できます。
動画だからこそ伝えることができる魅力を十分にアピールしましょう。
トレンドがよくわかる採用動画事例
「トレンドや採用活動で動画を活用する理由はわかったけど、具体的にどうすればいいの?」このように、まだ実際のイメージはしづらいですよね。
そこで、ここからはトレンドがよくわかる採用動画の具体的な例を挙げて解説していきます。
1.社員の1日を追ったドキュメンタリー動画
2.社員座談会系動画
3.仕事内容紹介
4.人事制度・福利厚生
5.人事インタビュー
6.社長インタビュー
順番に見ていきましょう。
①社員の1日を追ったドキュメンタリー動画
まず事例の1つ目は、社員の1日を追ったドキュメンタリー動画です。
会社に所属している社員の方がどのような1日を送っているのか、要所でその方の仕事や会社に対しての想いを発信することで、社風を知ることやキャリアのイメージが沸きやすくなるでしょう。
新卒採用向けなら、比較的若手の社員を取り上げたり、中途採用向けなら中途採用で入社した社員の1日をコンテンツにすると、求職者側はかなりイメージがクリアになります。
結果的にその会社で働いてみたいという興味関心や意欲に繋がることが期待できます。
②社員座談会系動画
次に社員座談会系動画です。2人以上の社員の方がざっくばらんにリラックスした状態での動画は非常に魅力的です。
「1人の意見だとどうしても不安」「複数人の社員の様子を見ておきたい」といったニーズは求職者側には必ずあります。
会社側からすると安心材料を増やす位置付けとなります。2人以上の座談会形式の動画にすることで、1人の時とは違った社風の伝わり方や違う角度からの話ができたりしますのでこちらも採用動画の内容の1つとして有効的です。
若手社員同士の組み合わせはもちろん、若手社員と中堅社員の組み合わせや中途社員同士の組み合わせ、男性社員と女性社員の組み合わせなど、様々なパターンがありますし、その組み合わせによって伝わる内容も変わってくるはずなので工夫のしがいもあるでしょう。
③業務内容紹介
次に業務内容の紹介です。こちらも文字だけではイメージが付きづらく動画を活用することによってよりわかりやすく伝えることができます。
わかりやすく、正しく仕事内容を伝えることで、求職者とのミスマッチングにつながることを防ぐことができるでしょう。
ミスマッチングは採用活動において大きな損失となるので、未然に防ぎたいですよね。
・どんな内容の仕事をしているのか
・どのような環境で仕事をしているのか
・仕事の魅力はどこにあるのか
このようなことを動画を用いればわかりやすく求職者側に伝えられるでしょう。
④人事制度・福利厚生
4つ目は、人事制度・福利厚生についてです。実際の採用活動をされていても、近年は働き方や福利厚生を重要視している求職者は多いのではないでしょうか。
会社によって差別化しやすいのは、人事制度や福利厚生であることもよく聞く話です。求職者側にとって非常にニーズのある要素なのでしっかりとアピールしておきたいものです。
具体的には、社内の設備・ちょっとしたフード、ドリンク自販機の紹介などです。小さなことかもしれませんが、小さなことだからこそ毎日働くことを考えて求職者はそこに魅力を感じるケースも多いでしょう。
⑤人事インタビュー
次に人事インタビューです。人事は会社の顔として、求職者とたくさんの接点を持っていますよね。
接点の多い人が動画に登場することで求職者の立場からすると、安心感がありますし、心理学的にも単純接触効果というもので何度も顔を合わせると好感度が上がることも知られています。
・どのような人を採用しているのか
・どのような人材が活躍しているのか
・どのような人事制度なのか
このようなことを実際に人事の方の口から伝えてみると良いでしょう
⑥社長インタビュー
最後に社長インタビューです。会社の代表である社長の信念やビジョンなどに共感する求職者、特に新卒の場合はその傾向にあるでしょう。
そして社長のメッセージは多くの求職者を惹きつけるきっかけとなります。具体的には、会社の変遷や今後のビジョン、求める人材像などを発信してみると良いでしょう。
トレンドに合わせた採用動画を作成するコツ
次に実際に採用動画を作成する際に気を付けるべきことについて解説していきます。トレンドに合わせた採用動画を作成するポイントは以下のとおりです。
1.ターゲット層に合わせたストーリー性のある動画を作成する
2.クオリティの高い映像・音声を使って動画を作成する
3.等身大でありのままの様子を発信する
4.可能であれは外国人採用を意識した動画を作成する
順番に解説していきます。
①ターゲット層に合わせたストーリー性のある動画を作成する
まずポイントの1つ目は、ターゲット層に合わせたストーリー性のある動画を作成することです。求職者と言っても新卒採用なのか、中途採用なのか、ターゲットによって力を入れて発信するポイントは異なるでしょう。
そのためまずはターゲット層を明確にし、誰にどんな内容を届けるのかを明確にする必要があります。
ターゲットが決まれば自社の魅力が伝わる内容を考えていくことになりますが、ただ情報を並べただけでは内容が単調で途中で飽きてしまうかもしれません。そのためストーリー性を盛り込むように意識しましょう。
②クオリティの高い映像・音声を使って動画を作成する
できるだけクオリティの高い映像と音声を意識するようにしましょう。最近は、スマートフォンで手軽に撮影ができるようになりました。
もちろんスマートフォンを使った映像を採用動画に使用するのも問題ありません。しかし、もし一眼レフカメラなどを準備できるのであれば本格的な機材を活用した方が圧倒的に良質な動画を作成することができます。
マイクも併用すると、とても良い採用動画を作ることができるためおすすめです。最近では、スマートフォン専用のマイクも販売されています。
クオリティの良い採用動画を作るためには、最低限画質の良いスマートフォンとマイクを購入してみてはいかがでしょうか。
InstagramなどのSNSに掲載する場合、画質が良い方が良質なコンテンツと評価されて拡散されやすいですし、多くの人の目に止まり拡散されやすく再生回数も伸びることが期待できます。
③等身大でありのままの様子を発信する
先ほども解説しましたが、採用動画では自社の雰囲気や社員の様子などを求職者側に届けられるかが鍵になります。求職者にとって気軽で身近に感じてもらえればそれだけで他者との差別化に繋がるでしょう。
また、働いている具体的なイメージが湧きやすく求職者側とミスマッチを防ぎ、採用コストの損失を防ぐことにもつながります。
等身大でありのままを発信できるのは動画で採用活動を行うメリットでもあるので見落とさないようにしたいところです。
④可能であれば外国人採用を意識した動画を作成する
多言語に対応した動画を制作するということです。職種にもよりますが、外国人を採用しないと経営が厳しいという会社も存在するでしょう。
そうした時にまず生じるのが言語の壁ではないでしょうか。現在は翻訳機能が発達しているので、日本語が母国語ではない人ともコミュニケーションを取ることは可能ですが、ホームページが多言語対応だと優先的に優秀な外国人の方は選びやすくなるでしょう。
具体的な方法としては動画の中に字幕を挿入することです。基本的に英語であれば問題ないですが、インドネシア語やネパール語などその会社、地域に合わせた言語で作成してみるのもいいかもしれません。
可能であれば外国人採用も意識した動画を制作してみると採用の幅が一気に広がります。
採用動画は外注するべき?内製化するべき?
ここまで採用活動における動画の活用について、活用すべき理由や具体例などを解説してきました。しかし、「今はそんな余裕がない」「内製化して自分たちで動画を作成した方がいいのかな?」
このように会社によって状況が様々であったり外注するか内製化するか迷っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで採用動画を外注する場合の費用やポイント、内製化する場合の流れとポイントについて解説していきます。
外注する場合の費用・ポイント
採用動画を外注する場合、相場としてかかる費用は10〜200万円程度です。10〜200万円と聞くとかなり予算の幅があるように思えます。
もちろん10万円と200万円では撮影の方法や内容も異なります。費用別にどのようなことができるのかは以下を参考にしてください。
【費用10〜30万円】
内容:インタビュー
動画の長さ:約2分
撮影期間:半日〜1日
制作期間:1週間〜1ヶ月半
【費用30〜80万円】
内容:インタビュー・社内動画
動画の長さ:約3〜8分もしくはオーダーメイド
撮影期間:1日〜2日
制作期間:1ヶ月〜1ヶ月半
【費用80〜200万円】
内容:企業の想い・社員への密着取材
動画の長さ:約10分もしくはオーダーメイド
撮影期間:3日〜4日
制作期間:2ヶ月〜2ヶ月半
【費用200万円以上】
内容:ドラマ
動画の長さ:自由もしくは完全オーダーメイド(10〜20分程度)
撮影期間:3日以上
制作期間:3ヶ月以上
次に外注する場合のポイントについて解説していきます。
①制作会社の選定は慎重に行う
実績や制作内容、評判、提供するサービス内容などを比較し、自社のニーズに合った制作会社を選ぶことが重要です。担当者との相性も実は採用動画のプロジェクトを進めていく上で重要なので見落とさないようにしたいですね。
特にこれまでの実績でどのような映像を作ってきたのか・採用動画を作成したことあるのかといった点は確認するようにしましょう。
②動画制作のプロセスで密な打ち合わせを行う
細かく打ち合わせを行い、自社の要望やビジョンを共有することが大切です。また、進捗状況や修正箇所についても定期的に報告を受けるようにしましょう。
外注する分必然的にコミュニケーションの数が減ってしまいますし、外部の人が作るので会社内の雰囲気・ビジョンなどは細かく丁寧なコミュニケーションをしていかないと採用動画に落とし込まれにくいでしょう。
チームの一員として関わってくれる制作チームなのかどうかという点は見ておくと良いです。
③最初に見積書を提出してもらう
すぐに依頼を行うのではなくまずは見積書を提出してもらい必要に応じて価格や内容について交渉を行うことも大切です。特に注意するべき箇所は、費用と内容の価値のバランスが一致しているかです。
費用が高くても納品後の修正にはすぐに応じたり、インタビュー+αのサービスが付帯している場合があるため、料金とサービスのバランスを見極める必要があります。
複数社から見積書を提出してもらい、検討した上で最終決定していくことが無難でしょう。
内製化する場合の流れ・ポイント
逆に外注ではなく、内製化して採用動画を作成していきたいという方もいらっしゃると思います。
内製化することで、採用動画の制作プロセスを自社で管理し、継続的な改善を行うことができるメリットがあります。内製化して採用動画を作る場合の流れとポイントは以下のとおりです。
①制作チームの構築
まずはチームを結成する必要があります。撮影・編集・音声編集などの専門スキルを持った社内メンバーを選び、必要な設備やソフトウェアを整備します。
専門スキルを持ったメンバーがいない場合は、そのメンバーのスキル取得に多少の時間を要する可能性があるためご注意ください。
②制作プロセスの設計
制作チームによる採用動画の制作プロセスを設計します。動画制作に必要なプロセスには、企画・構成・スクリプト作成・撮影・編集・音声編集・効果音の付加などがあります。
作業の流れを決め、スケジュール管理を行うことで、効率的な制作が可能です。
③動画コンセプトの決定
企業のブランディングや採用戦略に合わせた魅力的で独自性のあるコンセプトを決定します。採用動画の目的や伝えたいメッセージを明確にし、共有することが大切です。
動画のコンセプトは採用動画を設計する上で最も重要な部分なので、しっかりと話し合い決定しましょう。
④動画の撮影・編集
撮影は企画や撮影スタイルに応じた場所や人員、照明、音響などを用意し、実施します。編集では、撮影した映像をカットし、繋げ、BGM・効果音などを付け加えますが、見やすい動画を作るためには字幕をつけるようにしましょう。
特にインタビュー動画を採用動画として活用する場合は、必ず字幕をつけるようにします。
⑤動画の公開
制作が完了したらWebサイトやSNSなどの媒体に公開します。また、求職者向けのイベントやフェアなどで使用する場合もあります。
まとめ
いかがだったでしょうか。本記事では、採用で動画を活用する理由から2023年のトレンド、外注と内製化について解説しました。
採用活動において動画を活用するということがより鮮明になったかと思います。採用動画を活用することで、自社の魅力をたくさんの人にわかりやすく伝えることができるようになります。
外注する、内製化するに関係なく動画のコンセプトはクオリティを左右する重要なポイントですので、しっかりと社内で検討しましょう。