今回ご相談いただいた農協では、主にSNS向けの短尺動画を、広報担当の少人数で制作していました。撮影は日々の業務や取材の合間に行い、編集は勤務時間外に自宅でスマートフォンを使って行うケースがほとんどで、担当者の負担が大きくなっている状況でした。加えて、無料のオンライン編集ツールを利用しているため、保存容量に上限があり、完成済みのデータをこまめに削除しないと新しい動画を作れない、過去の編集履歴に戻れないといった制約も発生していました。こうした環境では、動画の品質向上や企画のブラッシュアップよりも「とにかく本数をこなす」ことが優先されてしまい、ファンづくりや組合員との関係強化という本来の目的に十分に時間を割けない点が大きな課題でした。
この課題に対してメディア博士では、まず制作環境そのものを見直すご提案を行いました。メディア博士はクラウド型の動画編集ツールのため、インターネット環境があればどの端末からでもブラウザ上で編集ができ、動画データはクラウド側で一元管理されます。保存容量に上限がなく、プロジェクトデータをフォルダ分けして保管できるため、「古い動画を削除しないと新しい動画が作れない」「一度閉じると前の状態に戻れない」といったストレスを大きく軽減できます。また、プレゼンテーションソフトに近い感覚で操作できるUIのため、現在の担当者だけでなく、将来的に他の職員にも編集作業を広げやすい点も特徴です。テンプレート化したフォーマットや、部分的なシーンをパーツとして保存しておく機能を活用することで、撮影担当と編集担当を分ける、ベースの構成だけを共有して各支所でローカライズするなど、少人数でも無理なく運用できる体制づくりを支援します。さらに、撮影時のポイントや、前後の余白の取り方など、編集しやすい素材を集めるための撮影レクチャーも併せて行うことで、現場の業務フローに沿った内製化を実現します。
相談企業ではこれまで、制作した動画の主な活用先はSNSでしたが、メディア博士では、自社サイト上に動画ギャラリーや特集ページを構築できる配信プラットフォームもセットで提供しています。これにより、同じ動画をSNSだけでなく、自社サイトの特集コンテンツとして一覧表示したり、機関誌などの紙媒体に二次元コードを掲載して動画へ誘導したりと、複数メディアをまたいだ導線設計が可能になります。ファンづくりが目的であれば、SNSで興味を持ってくれた方を自社サイトに誘導し、他の動画やお知らせもまとめて見てもらうことで、農協としての取り組みや価値観をより深く伝えられます。また、将来的には、この動画プラットフォームを職員向けのマニュアルや社内向けメッセージ、採用向けコンテンツなどにも拡張し、外向け・内向けの情報発信を一元管理することも可能です。メディア博士の伴走サポートでは、こうした中長期的な動画活用の方針づくりから、具体的な企画・構成案の作成、初回制作物へのフィードバックまで、担当者と一緒に検討を進めることで、少人数でも継続しやすい運用スタイルの構築を目指します。