「YouTubeで音楽を使いたいけど、著作権が心配…」「YouTubeから音楽著作権を侵害していると連絡が来た…」とお悩みの方は多いのではないでしょうか。音楽は動画制作において不可欠ですが、使用する際は著作権に注意しなければなりません。
そこで今回の記事では、YouTubeで音楽の著作権に引っかからない方法や侵害した時の罰則などを詳しく解説します。最後に、使用できるフリーの音楽サイトも紹介するので、YouTubeで使う音楽に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
音楽・BGMの著作権とは
音楽・BGMの著作権とは、著作物(音楽・BGM)を作った人に与えられ、自身の著作物を第三者が利用することを制限できる権利です。
音楽の場合、作曲者や作詞者が著作者に該当します。登録や申請の手続きは一切不要で、著作物が創作された瞬間から著作権は自動で発生します。
そのため、他の人の著作物を利用したい場合は、著作権を持つ人に許可を得なければなりません。許可なしに利用するのは、著作権侵害です。著作権侵害は、10年以下の懲役又は1,000万円以下の罰金となります。
なお、著作権は譲ったり、売買したりするなど、著作者と著作権者が異なる場合もあるため注意が必要です。ただし、利用承諾が不要なケースもあり、例として以下が挙げられます。
・私的利用のための複製
・営利を目的としない上演等
・著作権の保護期間が切れた楽曲
自分自身や家族などで利用する場合であれば、音楽やBGMを複製することができます。また、学園祭でのバンド演奏や学校の合唱コンクールなど、「営利を目的としない」「観客から料金を受け取らない」「演奏者に報酬が支払われない」という三つの条件を全て満たす場合に限り、許諾なしで音楽やBGMを使うことができます。
また、著作権の保護期間は、著作者が楽曲を創作した時点から著作者の死後70年までです。例外はありますが、基本的に保護期間が切れている場合も、許諾なしで使うことができます。
YouTubeにおける音楽の著作権侵害事例
YouTubeにおける音楽の著作権侵害といえば、数百人ものチャンネル登録者数を誇る人気のメイクアップアーティスト、ミシェル・ファンさんが訴えられた事件が有名です。2014年に起きた事件で、彼女のファンのみならず、多くの人の注目を集めました。
ミシェル・ファンさんがYouTubeの動画内で複数のアーティストの楽曲を無断使用したとされ、原告であるUltra Music社が15万ドル、日本円で1,500万円の支払いと自社楽曲の使用差し止めを求めました。
楽曲が直接的な利益に結びつくわけではありませんが、コンテンツ内で音楽が果たす役割はゼロであるとは言い難いです。
しかし、ミシェル・ファンさんは許諾があったと主張し、結局示談という形で終わりました。双方の認識が食い違っているのが理由で起きた事件ですが、真相は現在でも分からないままです。
YouTubeで著作権侵害申し立ての対処法・罰則について
アップロードした動画が別の動画(または別の動画の一部)と一致することがYouTubeのContentIDシステムによって検出された場合、申し立てが自動的に生成されます。
下記では、申し立てを受けているかどうか確認する方法、対処法、対処しない場合の罰則について詳しく解説します。
YouTubeで著作権侵害の申し立てを受けているか確認する方法
動画がContent IDの申し立てを受けると、YouTubeからメールが届きます。そのほか、YouTube Studioで確認することも可能です。
①YouTube Studioにログインする。
②左側のメニューから「コンテンツ」を選択する。
③「フィルターバー」から「著作権の申し立て」をクリックする。
④対象となる動画を探す。
⑤「制限」列の「著作権の申し立て」にカーソルを合わせる。
著作権の申し立てがあった場合、下記のような表示が出ます。
・著作権の申し立て:動画がContent IDの申し立てを受けました。
・著作権の申し立て-削除:動画は著作権侵害による削除通知の対象になります。
動画の申し立てを行ったユーザーを確認することもできます。確認手順は以下の通りです。
①「制限」列で「詳細の表示」をクリックする。
②「動画への影響」列で目的の行にカーソルを合わせる。
なお、著作権者を確認できないからと言って、申し立てが無効になるとは限りません。
YouTubeで著作権の侵害申し立ての対処法
著作権侵害の申し立てがあった場合、状況に応じていくつかの対処法があります。
申し立てを受けたコンテンツを削除する
申し立てが有効と思われる場合は、申し立てを受けたコンテンツを削除します。新しい動画をアップロードする必要はなく、下記のいずれかを行うと申し立ては削除されます。
①YouTube Studioにログインする。
②左側のメニューから「コンテンツ」を選択する。
③「フィルターバー」から「著作権の申し立て」をクリックする。
④対象となる動画を探す。
⑤「制限」列の「著作権申し立て」にカーソルを合わせる。
⑥「詳細を表示」をクリックする。
⑦「この動画内で特定されたコンテンツ」セクションで、関連する申し立てを見つけ、「操作」「セグメントをカットする」「他の曲に置き換える」「曲をミュートする」をクリックする。
・セグメントをカットする:申し立てを受けたセグメントのみ動画からカットする。
①削除するセクションの開始時間と終了時間を編集する。
②「続行」→「カット」をクリックする。
なお、申し立てを受けたコンテンツの一部が動画に残っていると、申し立ては削除されないため注意が必要です。
・他の曲に置き換える:動画内の音声が申し立てを受けた場合、YouTubeオーディオライブラリから他の音声に置き換えることができる。
①「検索フィルタ」を使用して、新しいトラックを探す。「再生」▶︎をクリックすると、トラックをプレビューできる。
②好みの音楽を見つけたら「追加」をクリックする。エディタの青いボックスに曲が表示される。
③(オプション)さらにトラックを追加する。
④「保存」→「置き換える」をクリックする。
②の過程で、ボックスをクリックしてドラッグすると、音楽の開始時間を変更することができます。また、ボックスの端をドラッグすると、曲を再生する範囲の変更が可能です。より細かい編集をしたい場合は、ズームオプションを使います。
・曲をミュートする:動画内の音声が申し立てを受けた場合、ミュートにすることができる。
①ミュートする方法を選択する。(曲のみ又は全ての音声)
②音声ミュートの開始時間と終了時間を編集する。
③動画プレーヤーで編集をプレビューする。
④「続行」→「ミュート」をクリックする。
収益を分配する
YouTubeパートナープログラムに参加していて、動画内の音楽に対する申し立てを受けた場合は、音楽出版社と集英機を分配することができます。
異議申し立てを行う
申し立てが無効であると思われる場合は、異義申し立てを行うことができます。ただし、YouTubeが著作権侵害に関する異義申し立ての仲裁を行うことはありません。
YouTubeで著作権侵害の申し立てがあった時の罰則
YouTubeで著作権侵害の申し立てがあった場合、著作権者のContent IDの設定に応じて以下のように処理されます。
・ブロック:その動画が視聴できないようにブロックされる。
・収益化:広告を掲載して動画を収益化する。その収益は、アップロードしたユーザーと分配される場合がある。
・追跡:その動画の再生に関する統計情報を追跡する。
なお、YouTubeで著作権侵害の「警告」があった場合は、措置が異なります。警告は申し立てとは異なり、著作権所有者が正式かつ法的な削除依頼を提出したことを指します。著作権侵害の警告を3回受けると、以下のような措置が取られます。
・アカウントと関連付けられている全てのチャンネルが停止される。
・アカウントにアップロードされた全ての動画が削除される。
・新しいチャンネルを作成できなくなる。
YouTubeで著作権侵害せず音楽・BGMを使用する方法
YouTubeで著作権を侵害せずに音楽・BGMを使用する方法として、以下の四つが挙げられます。
・完全オリジナルの音楽・BGMを使用する
・ロイヤリティーフリーの音楽・BGMを使用する
・著作者に許可を取る
・収益化しない
下記では、それぞれの方法を詳しく解説します。
完全オリジナルの音楽・BGMを使用する
一つ目の方法は、完全オリジナルの音楽を使用することです。全て自身で作った音楽を使用することで、著作権侵害を回避できます。
ただし、作詞、作曲、演奏などのスキルが必要であるため、かなりハードルは高いです。周りにそのようなスキルを持っている人がいる場合は、依頼するのも一つの手です。
ロイヤリティフリーの音楽・BGMを使用する
二つ目の方法は、ロイヤリティフリーの音楽を使用することです。ロイヤリティフリーとは、無料もしくは一定の金額を払うことで自由に使用できるものです。
ただし、ロイヤリティフリーでも著作権は存在します。二次販売の禁止など、使用する際はしっかりルールを守ることが重要です。
著作権所有者に許可を取る
三つ目の方法は、著作権所有者に許可を取ることです。使用したい音楽の著作権所有者は、インターネットで調べることができます。ただし、誰だかはっきりしないないケースもあり、著作権所有者とコンタクトを取るのはハードルが高いです。
収益化しない
四つ目の方法は、収益化しないことです。YouTubeを収益化せず、楽しんでいる場合は著作権侵害になることは少ないと言えます。ただし、必ず回避できるとは言い切れないので、心配な方は他の方法を取ることをおすすめします。
YouTubeで使用できるフリーの音楽・BGMサイト
YouTubeで使用できるフリーの音楽・BGMサイトは数多くあります。自分好みの音楽があるかどうか、使いやすいかどうかなどを確認した上で、使うサイトを選ぶのがおすすめです。下記では、代表的なフリーの音楽・BGMサイトを四つ紹介します。
YouTubeオーディオライブラリー
一つ目のサイトは、YouTubeオーディオライブラリーです。YouTubeが公式に運営していて、音楽を無料でダウンロードできるサービスです。
BGMだけでなく、効果音も配布されており、YouTubeにログインしている状態であれば、すぐに利用することができます。約4万種類のBGMと約1万種類の効果音が用意されているため、自分好みのものが見つかりやすいでしょう。
一般的なYouTubeチャンネルであれば、YouTubeオーディオライブラリーだけでも十分です。まるまる動画内で使用することもできますし、トリミングした上で使用することもできます。
https://www.youtube.com/audiolibrary
DOVA-SYNDROME
二つ目のサイトは、DOVA-SYNDROMEです。配布されているBGMや効果音の大半が著作権フリーで、多くの有名YouTuberがこちらのサイトを使っています。「新着順」「今月のテーマ」「ダウンロード数順」など、様々なカテゴリから音楽を検索できます。
こだわりがない限り、新着順から探すのがおすすめです。作曲者が数多く登録しているため、音楽がアップされるスピードが非常に早いことが理由として挙げられます。その代わりに、動画ごとに新しい音楽を使用できる点が魅力です。
https://dova-s.jp
魔王魂
三つ目のサイトは、魔王魂です。ゲーム系の音源に特化しており、BGMや効果音だけでなく、歌の素材も配布されています。基本的にはRPGに使用することを前提としているため、「戦闘曲」「街」「フィールド」「ダンジョン」「オープニング」など、17のカテゴリから構成されています。
ただし、楽曲を使用する際は、クレジットの表記が必要となるため注意が必要です。
https://maou.audio
甘茶の音楽工房
四つ目のサイトは、甘茶の音楽工房です。400点以上のBGMを配布しており、動画のイメージに合わせて素材を選ぶことができます。特にヒーリング系のBGMが充実している音楽サイトです。
https://amachamusic.chagasi.com
まとめ
今回は、YouTubeで音楽の著作権に引っかからない方法を詳しく解説しました。音楽には著作権が存在し、著作権を侵害すると、10年以下の懲役又は1,000万以下の罰金が課されます。著作権侵害を回避するためには、ロイヤリティフリーや完全オリジナルの音楽を使用する方法が有効的です。
YouTubeでも使える音楽をダウンロードできるサイトは多くあります。YouTubeオーディオライブラリーが有名ですが、自分好みの音楽を配布しているか、使い勝手が良いかなどを考慮した上で、選定することをおすすめします。ぜひ本記事を参考にして、YouTubeで使う音楽にもこだわってみてください。