日本にはさまざまな伝統文化がありますが、なかには全国的に知られていないこともあるかもしれません。そのことに関して悩みを持っているのであれば、動画を活用してみてはどうでしょうか。
この記事では、伝統文化でも動画を活用すべき理由や主な事例などを紹介しています。伝統文化に携わっている方はぜひ最後まで読んでみてください。
伝統文化でも動画を活用したほうがいい理由
伝統文化でも動画を活用したほうがいい理由としては2つあります。それぞれどのような内容なのでしょうか。
伝統文化を知ってもらうきっかけとなるため
冒頭で述べたように、日本にはさまざまな伝統文化がある一方で、すべて知られているわけではありません。そのため、知名度が低い伝統文化の場合、段々と継承してくれる人が減って消滅してしまう恐れがあります。
そこで動画を活用することで、伝統文化を知ってもらうきっかけを作ることができます。多くの人に広まれば、伝統文化に対して興味を持つようになり、継承してくれる方も現れるかもしれません。
海外にPRできるため
外国人にとって、日本の伝統文化は魅力的な存在です。アニメや映画の影響で日本の文化に興味を持つケースもあり、観光客の獲得を狙う意味でも伝統文化のPRが役立ちます。
PRの方法としてはさまざまありますが、その中でもおすすめの方法が動画です。動画は文章や口頭よりも具体的に伝えられる上に、印象に残りやすいという利点があります。また、SNSや公式サイトなど幅広い場所に展開できることも魅力的なポイントです。
伝統文化に関する主な活用事例
伝統文化でも動画を活用したほうがいいとしても、実際にどのようなことをすればいいか迷う方もいるでしょう。そこで伝統文化に関する主な活用事例をいくつかピックアップして紹介します。
ディスカバリー・ジャパン株式会社
ディスカバリー・ジャパン株式会社では、ディスカバリーチャンネルにて「明日への扉」という番組を放送しています。どれも長時間の動画ですが、その分しっかりとした内容が詰まっています。
全日本空輸株式会社
全日本空輸株式会社では、「IS JAPAN COOL?」という外国人向けのメディアを運営しています。その一環でさまざまな日本の伝統文化を動画で紹介しており、多くの方から視聴されています。
伝統工芸 青山スクエア
日本全国の伝統工芸品が集まる伝統工芸 青山スクエアでは、職人の制作風景や工芸品の扱い方などを紹介。購入後のことまで伝えることで、「欲しいけど管理方法がわからない…」という顧客の悩みを解消しています。
動画を見てわかるように、英語の字幕が表示されています。これは外国人でも伝統工芸品に興味を持ってもらうためのポイントであり、購入へのきっかけにもつなげられるでしょう。
公益財団法人ポーラ伝統文化振興財団
公益財団法人ポーラ伝統文化振興財団では、伝統工芸技術や伝統芸能などを動画で紹介。こちらでも英語の字幕が設けられており、外国人でもどのような文化なのか詳しくわかるようになっています。
他にも公益財団法人ポーラ伝統文化振興財団では、関係者に対するインタビュー動画も公開。実際の声を紹介することで、どのような想いで伝統文化に携わっているのか視聴者が把握しやすくなります。
国立劇場
国立劇場では、歌舞伎や雅楽、文楽といった日本の伝統芸能を多数公開。外国人でもわかるように、動画のタイトルを英語にしたり出演者を英語で紹介したりといった工夫もされています。
また、歌舞伎入門動画を配信したり練習風景を撮影したりといったことも実施。国立劇場では、さまざまなことを動画で展開することで日本の伝統的な芸能に広げようとしています。
文化庁
文化庁では、吉本興業と協力して「やってみよう日本の文化」という企画を行いました。吉本興業に所属する芸人が動画を通じて日本の文化を紹介するというものであり、芸人ごとで内容も異なっています。
例としてすゑひろがりずは、伝統芸能である狂言を楽しく学びながら実況。チョコレートプラネットは、藍染めを体験しています。どちらも面白く伝統文化を紹介しており、楽しみながら視聴できます。
他にも文化庁では、中田英寿さんやロバート・キャンベルさんといった有名人との対談動画も多数公開。分野も異なる人から日本の文化に関する声を聞いて広めることにより、日本の文化における考え方について視聴者が学ぶことができます。
福島県・栃木県・茨城県
福島県・栃木県・茨城県では、3県を結んだ広域観光周遊ルート「ダイヤモンドルート」を動画で紹介。どれも質の高い内容となっており、国内外から高く評価されています。
この動画ではただ観光スポットを紹介するだけではなく、伝統文化やダンス、音楽などにもこだわっています。細部までこだわりが詰まっている動画だからこそ、多くの人気を得ることにつながったといえるでしょう。
伝統文化の動画を制作する際のポイント
もし伝統文化に関する動画を作るのであれば、以下のポイントを覚えておきましょう。そうすることで効果的な動画を制作しやすくなります。
外国人でも見てもらいやすいように工夫する
動画は国内外を問わずさまざまな人が視聴します。特に伝統文化に関する動画は海外へのPRにもつなげられることから、外国人でも見てもらいやすいように工夫しましょう。
例えば、英語の字幕を設けたり日本語がわからなくても内容が把握できるように編集したりといったことが挙げられます。事実、「ダイヤモンドルート」の動画はほとんど文字がないですが、それでもどのような内容なのか把握できる内容です。
基本的に実写動画で制作する
動画にはアニメーション動画やインフォグラフィック動画、CG動画などさまざまな種類があります。どれも特徴がありますが、その中でも伝統文化に関する動画を制作するのであれば、実写動画がおすすめです。
実写動画はありのままの姿を紹介でき、臨場感やリアリティも視聴者に与えられます。無理にアニメーションを取り入れるときちんとした伝統文化を伝えられない恐れがあります。だからこそ、基本的には実写動画で伝統文化を紹介するようにしましょう。
動画制作はプロに任せるべき?
動画制作と聞くとプロに任せなければならないというイメージがあるかもしれません。
確かに「ダイヤモンドルート」や全日本空輸株式会社の動画といったハイレベルなものを求めるならば、プロの力が必要となります。しかし、場合によっては自分たちで動画を制作できる可能性もあります。
事実、近年では動画制作初心者でも簡単に質の高い作品が作れるソフトやサービスが展開されています。プロに頼むよりもリーズナブルに済む場合もあるため、予算や動画の企画などを考えて自分で制作するかどうか考えてみましょう。
伝統文化の動画を制作する際の注意点
伝統文化をテーマとした動画制作では、文化的価値を正しく伝えるとともに、視聴者にとってわかりやすく魅力的な内容に仕上げることが重要です。ここでは、特に注意したいポイントを解説していきます。
表現の正確さと文化的敬意を忘れない
伝統文化には長年にわたり継承されてきた歴史と意味があります。映像化する際は、ビジュアルやナレーションの演出が文化本来の価値や背景を損なわないよう、表現の正確さを意識しましょう。
例えば、神事や儀式を撮影する際に、装飾的なBGMや過度なテロップを多用すると、視聴者に誤解を与えかねません。現地で活動している関係者との事前の打ち合わせを行い、内容を十分に理解したうえで制作を進めることが大切です。可能であれば、監修者を設けて文化的意義のチェックを受けると安心です。
また、文化の紹介には「敬意」が必要です。軽妙なトーンや演出が不適切な場合もあるため、表現のトーンは慎重に判断しましょう。
プライバシーや撮影許可に配慮する
撮影対象が地域行事や職人の工房などの場合、私有地や宗教施設での撮影になるケースも多く見られます。動画制作にあたっては、必ず関係者から事前に撮影許可を取得し、ルールや撮影可能な範囲を確認しておきましょう。
特に祭礼や作業中の様子を撮る場合、タイミングや立ち位置の調整が必要になることもあります。
また、人物が映る場合は肖像権への配慮も忘れてはいけません。インタビューや顔のクローズアップなどを行う際は、出演の承諾を文書で得るのが理想的です。
不特定多数の人が映り込む場面では、必要に応じてモザイク処理や映像の編集による対応も検討しましょう。
ナレーションや字幕に注意する
伝統文化を国内外に伝えるうえで、ナレーションと字幕の質は動画の完成度を左右する重要な要素です。
文化的用語や専門的な言い回しは、視聴者にとって難解になりがちなため、わかりやすく噛み砕いた表現に置き換える工夫が必要です。
特に外国人向けに発信する場合、英語字幕は欠かせません。直訳ではなく、文化の背景を踏まえた自然な表現を心がけ、必要に応じて注釈を加えることで理解が深まります。例えば「御神輿」や「能楽」など、文化特有の要素には簡単な補足を添えると親切です。
また、ナレーションの語り口も大切です。伝統文化を伝える動画では、落ち着いたトーンや信頼感のある声質が好まれる傾向にあります。過剰な演出やスピード感のあるBGMは控えめにし、映像に集中できる構成を意識しましょう。
動画を活用して伝統文化を知ってもらおう
今回は、伝統文化でも動画を活用したほうがいい理由や主な事例などを紹介しました。
伝統文化で動画を活用することで、知名度の向上や外国人へのPRにつながります。実際に行っているところも数多くあるため、この機会に動画を活用してみてはどうでしょうか。