時計はその光沢や質感など、その性質上どうしても実物を見てみないと購入の判断が難しい面が多々あります。そんな時計業界がなぜインターネットビジネスを成功させることができたのか?その理由の一つは、動画を活用したプロモーションです。
今回は、時計業界の動画を活用したプロモーション例をご紹介します。実際の動画例だけでなく、時計紹介動画制作のポイントも合わせて紹介していくので、インターネット上で時計を販売したいと考えている方はぜひ参考にしてみてください。
加速する時計業界のインターネット化
インターネットの発達で私達はEコマースやAmazonやYahoo!などの大型ショッピングサイトを活用して時計を購入する事が多くなってきました。
今では、ネットショッピングをしたことがないという人はほとんどいないのではないでしょうか。
「数十万もする高級品を実物を確認せずに買うなんて考えられない。」
インターネットに高級時計ブランドが参入してきたばかりの頃は多くの人はこんな風に考えていたことでしょう。
確かに時計業界には他の業界よりも「伝統」や「格」を重んじる風潮が存在します。
おしゃれをして、ドアマンのいる高級店に時計を買うために入店する。消費者にとっては、高級な時計を身につけるだけでなく、購入するまでの段階もステータスの一つでした。
ブランド側にとっても、伝統と格を大切にした販売形態がブランドの価値であり魅力でもありました。
しかしながら新型コロナウイルスの影響で人と物の行き来が制限されたこともあり、今ではもうインターネット上で高級ブランドを買うことはそれほど珍しくなくなってきています。
インターネット化が加速したことで、多くの時計ブランドは戦略の変更を強いられました。その中でも特に大きく変更されたのがプロモーションの部分です。
多くの企業はSNSや自社ホームページ上で自社製品をPRする動画作りに力を入れるようになりました。
時計業界が動画を活用してプロモーションを行うメリット
時計業界が動画を活用してプロモーションを行うメリットは大きく分けて3つあります。
時計を装着した様子を客観視できる
1つ目は、時計を装着した様子を客観的に見ることができる点です。
直接実物を装着しなくても、自分がその時計を身に着けているイメージを描くことができるため、消費者の購入意欲を高めることができます。
時計の魅力を最大限アピールすることができる
2つ目は、時計の魅力を最大限アピールすることができる点です。
大量生産していない、手作業で少量生産している時計の場合、仕上げの具合など見た目だけでは伝わりづらい魅力が存在する事が多々あります。そのような場合でも、動画を使って時計をPRすることで、時計の制作秘話やこだわりのイチオシポイントなどを詳しく消費者に伝えることができます。
また、最近では、スマートウォッチなど多くの機能を備えた時計も数多く存在します。多くの機能を備えた時計の魅力を手短に伝える際にも、動画は最大限の効果を発揮します。
SNSなどを通した拡散が期待できる
3つ目は、SNSなどを通した拡散が期待できる点です。
ユニークなPR動画を制作することができれば、動画が拡散されブランドの認知度アップにもつながるだけでなく、製品が消費者の記憶にも残りやすくなります。また、カッコいい動画を制作できれば、ブランドそのものの価値を高めることにも繋がり、ブランドを愛用する消費者を増やすこともできます。

こちらの動画ではYouTube上で、時計の魅力や種類、時計に付属するベルトなどを細かく紹介しています。
様々なアングルから時計を撮影することで、実物に触れていなくても時計の質感や形状に関する事を消費者に細部まで伝えることができます。
この動画の概要欄には、商品の価格などの詳細が記入されており、消費者がこの時計が欲しいと思えば、概要欄からオンラインショップを見ることもできます。
この例のようにYouTubeを使ってオンラインショップまで集客する方法はとても効果的だと言えます。

こちらの動画では、主にスマートウォッチの機能を紹介しています。
数多くある機能を実際にスマートウォッチを操作しながら紹介しています。消費者は、1分30秒という短い時間で製品にどのような機能が備わっているか理解することができる上に、実際に装着している映像を見ることで、消費者自身が私生活で時計を身に着けている様子をイメージすることができます。

こちらの動画では、時計に使われるレザーストラップを紹介しています。
実際に製造している様子を収めた動画と一緒にこだわりポイントを字幕を用いて説明することで、製品の良さを最大限アピールすることができています。
時計業界が動画を活用してプロモーションを行う際の注意点
ここでは、時計業界が動画を活用してプロモーションを行う際に押さえておくべき注意点を3つの観点からご紹介します。
ブランドの世界観や品格を損なわない
時計業界は「歴史」「伝統」「技術」「ステータス」といった無形の価値がブランド力に直結する業界です。そのため、動画の構成や演出がブランドの世界観と乖離していると、逆にイメージを損ねてしまう可能性があります。
例えば、格式あるクラシックウォッチを紹介する際にポップなBGMや早いカット割りを多用すると、品格とのミスマッチが生じてしまいます。
逆に、スマートウォッチやカジュアルラインでは、テンポの良い編集や若年層向けのトーンが求められるでしょう。ターゲット層に合わせつつ、自社ブランドの理念やトーン&マナーと整合性が取れているかを常に確認しながら構成を練ることが大切です。
ユーザー視点で信頼できる情報を届ける
時計は、高額なうえに長く使う製品です。そのため購入前にユーザーが求める情報は、単なる「美しさ」ではなく「正確さ」や「信頼性」。動画で製品の魅力を伝える際にも、視聴者が安心して選べるかを基準に構成することが大切です。
誇張したコピーや過剰演出によるイメージ戦略ではなく、事実に基づく紹介や第三者のコメント、製造過程などの裏付けが入った映像の方が信頼を得やすくなります。特にブランドの信念や技術へのこだわりは、ナレーションや字幕だけでなくインタビュー形式で伝えると効果的です。
また、動画内に表示される数値や仕様情報は、公式のカタログやスペックと齟齬がないか事前にチェックしましょう。視聴後に「聞いていた情報と違う」という誤解が生じないよう、細部にわたる整合性の確認が必要です。
長期的な発信を見据えた運用体制の整備
動画コンテンツは一度制作して終わりではありません。むしろ、定期的な発信と改善が求められるメディアです。特にSNSやYouTubeを活用したマーケティングでは、更新の頻度やコンテンツの一貫性がブランドの印象に直結します。
時計業界では、季節限定モデルや新素材の導入など、定期的に話題を作れる要素があります。これらを生かして「新作紹介」「メンテナンスのコツ」「職人インタビュー」など多様な切り口で動画を展開すれば、ブランドへの信頼感や継続的なファン獲得にもつながります。
同時に、制作リソースや社内チェック体制も整えておくことが大切です。特に時計は精密機器であるため、用語や構造の表記ミスがブランド信頼に影響します。制作から公開までを一貫してチェックできる体制を持つことで、継続的かつ安定的な発信が可能になります。
時計紹介動画制作のポイント
ここまでは、時計業界が動画を活用するメリットについて紹介してきましたが、ここからは具体的にどのようにして紹介動画を制作していけばいいのかについてご紹介していきます。
できるだけ製品の質感や形状が伝わるように撮影する
時計を紹介する動画制作をする際には、アップや様々なアングルから撮影することを意識し、できるだけ製品の質感や形状が消費者に伝わるように撮影する事を心がけましょう。
操作方法が複雑でわかりずらいスマートウォッチなどの機能を紹介する際には、実際に操作している様子を撮影するようにすることで、消費者の「買っても使いこなすことができないかもしれない...」というような不安を取り除く事ができます。
製品のターゲットを意識した動画を制作する
動画を制作する際には、その製品のターゲット層を意識した動画を制作することが重要です。例として、40代〜50代の年齢層を狙った製品なのに、フレッシュな雰囲気の動画を制作してもターゲット層の購入意欲を高めることには繋がりません。
その製品にどのような魅力があり、どのような人がその製品を欲しがっているのか。しっかりと分析した上で動画制作に取り掛かることが大切です。
ブランドイメージを崩さない
消費者が時計を購入する際には、ブランドそのものの価値が影響することが多々あります。そのため、時計の魅力を紹介する動画でもブランドのイメージや世界観を崩さないような動画を制作する事が大切です。
まとめ
ものすごいスピードで変化を続ける現代社会。それは、時計業界においても例外ではありません。
時計業界ではこれまで世界的に有名で歴史のあるブランドが売上高シェアを独占してきました。しかしながらスマートウォッチのシェア拡大などにより、現在熾烈な争いが繰り広げられています。
コロナ禍でデジタル化が求められる今の時代を生き抜くためにも、動画を活用した製品のPR方法を検討してみてはいかがでしょうか?