地方を中心に少子高齢化が進み、シニア世代が多く住む地域が増加しています。そういった地域は地理的に隔離され、移動手段が限定的になり都市部とのネットワークが弱くなっています。その反面インターネットが貴重な繋がりになります。またシニア世代は退官し資産の使い道に迷っていることから企業は消費者として重要な存在だと認識しています。そこで目を付けたのがシニア向け動画の配信になります。そこで今回はシニア向け動画の現状や作成方法などをご紹介していきます。
シニア世代
ではまずシニア世代の定義について軽くおさらいしていきましょう。
一言でシニア世代と言っても決まった定義があるわけではありません。似たような意味に高齢者などがありますが、一般的には世界保健機構が定める「65歳以上をシニアとする」が定義として広く認識されています。そのため2021年時点で昭和32年以前に生まれた方がシニアの対象で、日本国内に約3000万人にいます。
シニア世代ICTの現状とは?
約3000万人、国内総人口の30%弱を占めるシニア世代はスマートフォンやPCなどの使い方(ICT)の現状とはどう言ったものでしょうか?
総務省「通信利用動向調査」によると、シニア世代のスマートフォン保有率は60代が44.6%、70代が18.8%、80歳以上が6.1%と発表されました。またMMD研究所による「2020年シニアのスマートフォン・フィーチャーフォンの利用に関する調査」ではシニア世代の利用端末割合はスマートフォンが77.0%、フィーチャーフォンが17.3%との結果が出ました。このことより以前以上にスマートフォンはシニア世代に普及していることがわかります。シニア世代もスマホを使用する方がが便利な社会になって来た事が大きな要因だと推測されます。
出典:総務省 人口減少時代のICTによる持続的成長
出典:2020年のシニアのスマートフォン利用者は77.0%、スマホ乗り換え検討者がスマホを利用したいと思ったきっかけは「3G回線の終了」
シニア世代が対象の動画内容とは?
少しずつスマートフォンの普及率が高まり、シニア世代は家族などとのコミュニケーションや動画コンテンツなどを楽しむ事を主な用途として利用しています。ではシニア世代が視聴する動画とはどういった内容なのでしょうか?実例をもと紹介していきます。
デジタル機器解説「Husime TV(ふしめ てぃーびー)」
クラウドデータなどを展開しているAOSデータ株式会社がシニア世代のデジタル活用を支援する動画チャンネル「Husime TV(ふしめ てぃーびー)」を2021年に配信を開始させました。シニア世代が主に使うとされるコミュニケーションツールの操作方法や認知症対策、食事管理のためのアプリの操作方法の解説動画を配信しています。
食生活「荒川区公式チャンネル」
こちらは荒川区が公式に地域情勢やイベント、学校行事などを配信しているアカウントになります。その中にシニア世代が摂取すべき食生活を管理栄養士が詳しく教える動画があげられています。栄養素の観点から詳しく分析したバランス管理からシニア世代が幾度と買い物に行けない事を配慮した日持ちのいい食品の買い方まで幅広く紹介した内容になっています。
体操「三鷹市公式動画チャンネル」
続いては三鷹市が公式に配信しているアカウントで小さな子供向けの内容から街のパン屋さん紹介まで幅広く紹介しています。その中にシニア世代に向けた体操を動画にしたものがあります。座りながらでもできる体操を音楽と共に紹介しているため、リハビリや認知症の患者などにも応用できる内容になっています。
シニア向け動画を作成するに当たって気を付けること
さてここまでシニア世代のICT事情や動画などを紹介してきましたが、実際にシニア向け動画を作成するにはどういったことに注意しなくてはいけないのでしょうか?作成方法と共に紹介します。
シニア世代の動画視聴数を把握
スマートフォンやパソコンなどを所有しているシニア世代が全員動画を視聴しているわけではありません。若い世代の場合100%に近い割合でスマートフォンで動画視聴をしていますが、シニア世代は電話のみの限られた利用ケースも多く、どれほどの人数が動画視聴をしているのか判明していません。収益を確実に確保するためには動画のみを配信するのではなく、他のサービスと繋げた戦略が必要になります。
さらにシニア世代が自発的に動画を視聴することは数少なく、家族などに勧められたことで視聴する事が多くあります。そのため家族などに関心を持ってもらえるようなキャッチコピーが必要になります。
シニア世代が動画に興味を持つきっかけを調査
シニア世代が興味を持つ内容は地域や環境によって大きく異なります。視聴者となるシニア世代がどういった商品やサービスに関心があるのか前もった調査を行い、その地域や環境を考慮した動画内容にするようにしましょう。あまりにも広告要素が強い動画だと不快感を感じ視聴をしてもらえなくなるため、自然な演出やストーリ性を高めるなどの工夫を凝らすとよいでしょう。シニア世代がどういった動画内容に関心を抱くのかなど、事前調査をしっかりと行いましょう。
シニア世代向けの動画編集
シニア世代に向けた動画作成において重要なのは編集になります。シニア世代には耳が遠い、ゆっくりとした動画や大きな文字でしか見えない等の問題を抱えていることが多くあります。動画市場で再生回数を伸ばしている動画とは違い、シニア向けの配慮を含める必要があります。動画の中で大きな字幕や何度も繰り返し視聴できるように目次の設定などの工夫は視聴者に喜ばれるため導入しましょう。
他社比較
シニア向け動画の作成における注意事項をふまえた後は、実際に作成と行動を移しましょう。
作成において競合相手となる存在の確認はアレンジや戦略の参考になります。そこでシニア向け動画を配信している組織を紹介していきます。
ココカラ大学
ココカラ大学は株式会社やずやが運営し、「ココロ」も「カラダ」も健やかに毎日の生活を楽しくをコンセプトに趣味や料理・健康コンテンツを動画講座として配信しています。
動画講座の中には専門店を営む者や専門資格を有する講師が様々な知識を伝授してくれます。
東大阪市
東大阪市がyoutubeで地域のニュースや手話、料理講座を配信しているサイトになります。地域に居住しているシニア世代を中心に動画配信しており、身近な題材が利用されていることで動画に親近感がわくような工夫が施されています。
まとめ
シニア向け動画について今回はひも解いてきましたがいかがでしょうか?
少子高齢化や5Gの普及があいまってシニア向け動画は今後需要が高まることでしょう。しかし現状シニア向け動画で成功しているといえる物は数多くありません。未だシニア世代がインターネットではなくテレビを視聴していることが主な要因とされます。テレビ視聴者から顧客を収集できるかがシニア向け動画サービスの発展の鍵になります。