さまざまなタイプの動画がある中で、真実を伝えるイメージが強いのがインタビュー動画です。インタビュー動画には、メッセージをダイレクトに、理解しやすい形で伝えられるという大きなメリットがあります。
しかし制作者の視点からすると、インタビュー動画は一見簡単に作れそうでも、実際には企画・構成などに気を配る必要があり、作り方で悩むことの多い動画の1つです。
この記事では動画を活用する上でインタビューをプラスしたい時、どのような点に注意すればよいのか、インタビュー動画制作のポイントを紹介します。
この記事は、こんな方におすすめです
- ✅ インタビュー動画を活用して企業PRの信頼性を高めたい
- ✅ 社員・顧客・経営者の声を効果的に伝える動画を内製化したい
- ✅ 企画〜撮影〜編集を効率化し、制作コストを抑えたい
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インタビュー動画を活用するメリット
インタビューと言えば真っ先に思い浮かぶのは、各界の著名人が画面いっぱいにメッセージを伝えるものではないでしょうか。他にはニュース番組などで、一般の人に対して街中でマイクを向けるシーンなどが想像できるかもしれません。
これらに共通する特徴は、演出なしで相手の生の声を伝えることです。
インタビュー動画を見る時に、視聴者は無意識のうちに、それが真実を伝えるものとして認識します。
そこには台本や脚本がなく、インタビューを受ける本人の考えを、そのまま画面を通して聴くことができるという信頼感があるのでしょう。
この、やらせなしの信頼感を伝えられるというインタビューのメリットは、企業のPRから商品やサービス紹介、求人募集などさまざまな動画に利用することができます。
動画にインタビューを組み込むことで、全体的な信頼性を高めるという効果が得られるわけです。
インタビュー動画の種類と活用方法
インタビュー動画と一口に言っても、その活用シーンによって形式は大きく異なります。ここでは代表的な3種類のインタビュー動画の特徴と活用方法を解説します。
社員やスタッフを対象としたインタビュー動画
最も多く利用されるのが、自社の社員やスタッフに焦点を当てたインタビュー動画です。社内の雰囲気や働く人のリアルな声を伝えることで、求職者や取引先に安心感や信頼感を与えられます。
特に採用活動においては、若手社員や管理職の生の声を伝えることで、職場環境を具体的にイメージさせる効果があります。
例えば「どんな思いで仕事をしているのか」「入社前と入社後で感じたギャップは何か」などを語ってもらうことで、文字情報だけでは伝えきれないリアルな情報を発信できます。
さらに動画内でオフィスや現場の映像を差し込めば、視聴者はその場の空気感を直感的に理解できるため、求人ページや会社紹介に効果的です。
顧客や利用者を対象としたインタビュー動画
次に多いのが、実際にサービスや商品を利用している顧客にインタビューする動画です。いわゆる「お客様の声」を動画で伝えることで、第三者のリアルな体験談として強い説得力を生み出します。
例えば農業機械メーカーであれば、実際に製品を使っている農家のインタビューを収録することで、使用感や導入後のメリットを具体的に伝えられます。
視聴者は「自分も同じような成果を得られるかもしれない」という共感や期待を抱きやすくなり、購買行動につながります。
また、顧客インタビューは営業資料としても活用でき、商談時に「利用者がこう話している」という形で提示することで信頼性を補強できます。
専門家や経営者を対象としたインタビュー動画
三つ目は、業界の専門家や自社の経営層、開発責任者などにフォーカスしたインタビュー動画です。専門的な知識や企業の理念、今後の展望を発信することで、ブランド力や信頼性を高める効果があります。
例えば、新製品を開発した責任者にインタビューを行えば、その製品に込めた思いや技術的な強みをダイレクトに伝えることができます。
これは単なる宣伝よりも深みがあり、BtoB向けの商材や高価格帯の商品など、信頼を重視する場面で特に有効です。
また経営者インタビューでは、企業の社会的な姿勢や将来のビジョンを発信することで、ステークホルダーや地域社会に対して強いメッセージを届けることができます。
インタビュー動画制作のポイント
テレビのインタビューを見ると、相手にマイクを向けて話を聴くだけなので、非常に簡単に仕上げられるというイメージがあるかもしれません。
ところが、最後まで興味を持って見てもらうインタビュー動画を制作することは、それほど簡単ではありません。ここからは、インタビューを活用した動画制作のポイントについて解説します。
インタビューではカメラワークが重要
1方向からのみ撮影したインタビューは、いくら話の内容が面白くても徐々に飽きてしまいます。そのためプロの撮影では、複数のカメラを同時に使用します。
異なったアングルからインタビューに答える人物を撮ることで、見る側が飽きないうちにカットを切り換えるわけです。
しかしプロに任せない限り、複数のマルチカメラによる撮影は難しいでしょう。そこで、1台のカメラでインタビューを撮る場合、全体を通して撮影することはせず、部分ごとにカットしながら撮影を行います。
このカットのタイミングでカメラアングルを変えるのです。撮影にカットを入れることは、話し手が話すべき内容を整理する時間にもなり、全体的に動画の質もアップするはずです。
インタビューでは下準備が重要
どのようなタイプの動画に使うかにもよりますが、インタビュー動画では、撮影時よりもその準備の方に時間がかかると考えておくべきでしょう。
インタビューとはいえ原稿は必要であり、動画の目的に合わせて話の内容を詳細に決めておかなければなりません。
つまりシナリオが必要ということです。このシナリオを事前に準備して、話し手には十分に読み合わせをしてもらい、その上でカメラの前でできるだけ自然に話してもらうわけです。
あたかもぶっつけ本番で撮影しているようなインタビューでも、効率的にメッセージを伝えるために、かなり準備に手間をかけていると考えて間違いないでしょう。
編集でも見せる工夫が必要
インタビュー動画では話し手の映像がメインですが、いくらアングルを変えたりしても、話し手だけで延々と動画をつなぐわけには行きません。
動画に変化をつけるための方法としては、まずはインタビューと別な映像とを組み合わせることが基本です。
また、インタビューの音声だけを使い、その上に別な映像を重ねる方法も効果的です。他にも動画の進行役を設定して、その進行役にもインタビュアーとして登場してもらうという方法もあります。
特に現在の動画には展開のスピーディーさが求められるので、編集にも工夫して最後まで見てもらえる動画づくりを心がけましょう。
伝えたいテーマを明確にすることがポイント
インタビュー動画では、時々話の流れによってテーマがぼやけてしまうことがあります。それを防ぐためには、事前の準備段階から一貫して伝えたいテーマを明確にすることが重要です。
例えば企業の商品やサービスを紹介する動画なら、1つのテーマについて1人が長く話すよりも、複数の話し手が同じ1つのテーマについて、短時間で順次話すパターンのほうがメッセージ性が高いかもしれません。
これはどのタイプの動画にも言えることですが、動画制作をする上での大前提は、ターゲットとテーマをできる限り絞ることです。視聴者が理解しやすく分かりやすいということも、動画制作の重要なポイントなのです。
具体的な事例で見るインタビュー動画制作の注意点
ここまで見てきたような動画制作のポイントをもとに、実際に配信されているインタビュー動画を検証してみましょう。テーマは何か、どのように工夫をこらしているかなど、参考になる点をチェックしてみてください。
参考サイト:Sony「若手社員インタビュー」

これは世界を代表する超一流企業のインタビュー動画です。映像のつくりそのものはシンプルで、何人かの若手社員にインタビューした上に、職場での様子などをさりげなくプラスしています。
リレー形式で短いインタビューをつなげていますが、自分が働く会社をどう捉えているかという、明確な1本のテーマが語られていることに注目してみてください。
参考サイト:ヤマハ発動機「ハイパーEV向け電動モーターユニット」

製品・商品・サービスをPRする目的で制作される動画もたくさんあります。
その中で開発者にインタビューするという企画が多いのは、誰よりもその開発に関わる知識が豊富であることと、真実を伝えるという信頼感が高いことと無縁ではないでしょう。
商品やサービスの特徴と長所を最もよく理解していて、しかも誰よりもそれを売りたいと考えているのは、開発に携わった責任者です。
この人たちが直接インタビューに答えることは、企業にとって何よりもPR効果の高い動画制作が可能になるということではないでしょうか。
工夫しだいでPR効果大幅アップ
企業やお店のPR、商品やサービスのPRなどに、さまざまな立場の人たちを登場させることで、インタビュー動画はメッセージ性がぐんとアップします。
さらに、PRをされる側のお客さんにインタビューするなど、アイデアしだいでもっと面白い動画制作も可能です。
しかし、安易にインタビューだけに頼りすぎると、テーマがぼやけてしまいPRには逆効果になる危険性もあります。
インタビュー動画制作のポイントは、テーマをはっきりさせて、企画と構成など丁寧に準備を進めることです。そのためにも、プロのサポートが手軽に活用できるサービスを、ぜひ検討してみてください。