動画マーケティングにおいて動画の視聴回数は成果を確認するうえで非常に重要なデータになります。しかし視聴回数だけで成果を判断するにはあまりにも不十分だと言えます。
広告動画からは視聴回数以外の多くのデータを得ることができ、例えば動画でのブランド認知度なども判明します。そこで今回は動画マーケティングから得られるデータや成功させるポイントを紹介していきたいと思います。
動画マーケティング市場は拡大傾向
サイバーエージェント調べによると動画マーケティング市場は2023年に6,253億円に達したとされ、2027年には1兆228億円に達すると予想されています。
このように動画市場は勢いを留めることなく拡大し、それと共に動画マーケティングの重要性は高まることでしょう。しかし配信した動画がどれほどマーケティング効果があったのかを把握しておかないといけません。そういった際に視聴回数のみで効果を判断するのではなく、KPIを利用するようにしましょう。
KPIとは
KPIとは『Key Performance Indicator』の頭文字をとった言葉で、日本語では重要業績評価指標といいます。
KPIを簡単に説明すると動画マーケティングにおける中間目標的な存在で、KPIが目標数値を達成していればマーケティングは順調であると示すことができます。ではKPIがどういったものか詳細に迫りましょう。
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attention |
interest |
action |
KPI |
視聴回数
インプレッション
認知率 |
再生時間
視聴完了率
他サイトへの埋め込み |
問い合わせ件数
売り上げ数
会員登録数 |
上の表のようにKPIは『attention』『interest』『action』の3つから成り立っており、attentionは視聴回数やインプレッション、認知率などを含みます。
interestは再生時間や視聴完了率、他サイトへの埋め込み。actionは問い合わせ件数や売り上げ数、会員登録数を指します。KPIという既存のものが存在しているわけではなく、動画マーケティングの戦略を検討する際にこのようなカテゴリ別に目標を設定して作り上げたものがKPIになります。
さらにyoutubeやgoogleなどプラットフォームによって測定できるKPIは異なりyoutubeでは測定できるが、他のプラットフォームでは測定できないものも生じてきます。
カテゴリー別にさらに詳細に迫りましょう。
attention
KPIのなかで最初に検討するカテゴリーのattentionは認知してくれる度合いを図るカテゴリーで以下のような指標があります。
広告リコールリフト
視聴者が動画広告をある一定経過した後にどれだけ広告を覚えているかの指標。
認知度
視聴者数を母数として一定時間経過後どれだけの人が動画広告内のブランドや製品を覚えているかの指標。
インプレッション
どれだけ多くの視聴者が動画の最初のフレームを見たのかを表す指標。
ユニークユーザー
インプレッションと実際に動画を見た人の総数の差を表す指標。
動画の再生回数
最後まで動画を視聴した人の総数を表す指標。
interest
interestは動画内のブランドや製品の検討など動画への関心度を図るカテゴリーで以下のような指標があります。
関心度の上昇率
アンケートやクエリの追跡で動画内のブランドにどれほど関心度が増加しているかを表す指標。
好感度リフト
視聴者が動画視聴後どれほどブランドを好意的にみているかを表す指標。
視聴完了率
視聴者が動画を最後まで視聴したのかを表す指標。
視聴時間
視聴者が動画を視聴している時間を表す指標。
action
actionは動画を見たことで行動に移す度合いを図るカテゴリーで以下のような指標があります。
問い合わせや会員登録数
動画視聴後にメールや電話での問い合わせや会員登録などの数を表す指標。
CTR
CTRとはクリックスルーレートの略で動画内などに含まれるURLやバナーのクリック率を表す指標になります。
購買意欲の向上率・売上
動画視聴によって購買意欲の向上や売上の数を表す指標。
好感度の上昇率
動画視聴によってブランドや製品への好感度を表す指標。
コメントや動画の再視聴回数
動画に対するコメント数や動画の再視聴の数を表す指標。
動画マーケティングにKPIが必要な理由
動画マーケティングは、多岐にわたる目的を達成するための強力な手段ですが、ただ動画を制作して公開するだけでは、その効果を正確に測定することはできません。
ここでは、動画マーケティングにおいてKPIが必要な理由を解説していきます。
成果を可視化するため
動画マーケティングを成功させるには、制作した動画がどの程度目標に近づいているのかを把握する必要があります。視聴回数やインプレッションといった数値だけでは不十分で、ブランド認知度や購買意欲の向上などの具体的な成果を可視化することが重要です。
KPIを設定することで、動画がどの段階で効果を発揮しているのか、また改善が必要な点はどこかを明確にできます。
目的に応じた戦略を立てるため
動画マーケティングの目的は多岐にわたり、ブランドの認知向上、新規顧客の獲得、売上の促進など、それぞれ異なる目標があります。KPIを設定することで、動画の目的に応じた具体的な指標を追跡でき、効果的な戦略を立てる基盤が整います。
例えば、認知拡大を目的とする場合は視聴回数や広告リコールリフトを、エンゲージメントを高めたい場合は視聴完了率や再生時間をKPIとして設定することで、目標に沿った施策を実行できます。
パフォーマンスの改善に役立つ
動画マーケティングにおける成功は、一度の取り組みだけで達成できるものではありません。KPIを設定し、定期的に数値を確認することで、動画のパフォーマンスを継続的に改善できます。
例えば、視聴完了率が低い場合は、冒頭部分の構成を工夫したり、動画の長さを調整したりといった改善策を講じることができます。こうしたPDCAサイクルを回すことで、効果的な動画マーケティングを実現できます。
チーム間の連携を強化する
KPIは、マーケティングチーム内で共通の目標として設定することができ、関係者全員が同じ指標に基づいて進捗を共有できます。これにより、チーム間の連携が強化され、効率的なプロジェクト運営が可能になります。
また、具体的な数値目標があることで、各メンバーの役割や責任が明確になり、個々のタスクをスムーズに進めることができます。
投資対効果を測定するため
動画制作には、撮影や編集、配信などに多くのコストがかかるため、その投資がどれだけの成果をもたらしたのかを測定する必要があります。
KPIを設定し、視聴回数やクリック率、売上の変化などの具体的なデータを収集することで、動画マーケティングのROI(投資対効果)を正確に評価できます。これにより、今後のマーケティング活動への適切な予算配分が可能になります。
KPIの設定の方法は?
KPIのカテゴリー詳細について紹介してきましたが、KPIを細かに設定することが動画マーケティングの成功には欠かせません。そこでどのようにKPIの設定で動画マーケティングを成功させるのか注意点を交えながら紹介します。
動画マーケティングの最重要目標の可視化
KPIの設定の前に動画内容のマーケティングの本来の主旨をまずは明確化する必要があります。
動画マーケティングは商品購買を勧めるものやブランドの認知など様々な目的をもとに行われていますが、どういった意図で動画を作成し、最重要目標は何かを可視化することがKPIの設定の基盤になります。あくまでKPIは動画マーケティングの中間目標であることを忘れてはいけません。
マーケティングに合わせたKPIの設定
マーケティングの最重要目標の可視化をした後は目標に合わせたKPIの設定になります。
例えばキャンペーンなどで新規顧客を増やしたい場合はKPIの中でもブランドや製品を知らない顧客層の視聴を確認できるKPIを重点的に目標に組み込む必要があります。そのような場合は関心度の増加などのKPIに具体的な数値目標を掲げましょう。
KPIの確認方法
KPIの確認方法はYouTube Analytics、Google Marketing Platform2、Google Adsなどが役に立ちます。さらにこのようなサービスではスコアボードの表示もしてくれるためKPIの達成具合がより明確になります。
まとめ
さて今回はKPIについて紹介してきました。youtubeの発展によって動画の評価基準は視聴回数だと間違った認識をする人が増えています。
しかし正確には目標を効率よく達成した動画が高い評価に値するため、動画マーケティングではKPIの設定が重要になります。KPIを駆使し動画マーケティングの成功に活かしましょう。