小売をおこなっている企業が取り入れたい動画コマースとは?
動画コマースとは、動画を取り入れつつ展開するEコマースサイトです。
動画をタップして製品を購入できるインタラクティブ動画型のサイトのみを動画コマースと捉える考え方もありますが、ECサイト内に動画コンテンツを展開し、その動画でユーザーの購買意欲を高める施策をおこなっているECサイトを動画コマースとして捉えるケースが多くなっています。
動画コマースではECサイト内に動画を掲載するため、ユーザーがわざわざ別のページへ移動する必要がありません。
動画を視聴し、気になる製品があればそのまま同じサイト内で製品を購入できるようになっているため、ユーザーの利便性も高くなっています。
動画コマースとライブコマースの違い
動画コマースと混同されてしまいがちなものにライブコマースがありますが、動画コマースとライブコマースはまったく異なるものです。
動画コマースは先ほど紹介したとおり、動画を取り入れ有効的に活用するEコマースの形態です。
事前に撮影した動画をECサイト内に掲載し、ユーザーに製品の魅力をアピールしていきます。
一方、ライブコマースは、その名の通りライブ形式で動画を配信するタイプの施策です。
事前に動画を撮影するのではなく、テレビの生放送のように動画をライブ配信し、そのライブ配信を視聴しているユーザーに向けて製品をPRしていきます。
ライブコマースはリアルタイムでユーザーとコミュニケーションがとれるため、動画コマースと同様に注目を集めています。
小売をおこなっている企業が動画コマースの導入によって得られる3つのメリット
小売をおこなっている企業が動画コマースを取り入れることによって期待できるようになる主なメリットとしては、
・製品の魅力が伝わりやすい
・購買意欲を高められる
・製品を使っている姿をイメージしやすい
などが、あげられます。
それぞれのメリットについて解説していきます。
製品の魅力が伝わりやすい
動画コマースでは動画で製品の魅力を伝えていきますが、テキストや画像のみで伝えるよりも何倍も製品の魅力が伝わりやすくなるというメリットがあります。
Eコマースにおける最大のデメリットは、製品に触れることができないところです。
店舗で買い物するときのように製品を手に取って確認することができないため、どうしても購入を決めるまでに時間がかかりますし、手にとって細部を確認できないことから購入を踏みとどまったり諦めたりしてしまうユーザーもいます。
動画コマースでも製品を手に取って確認することはできませんが、画像よりも詳細に製品の確認がおこなえますし、イメージしやすくなるため、製品の魅力がより伝わりやすくなります。
購買意欲を高められる
ユーザーの購買意欲を高められるのも動画コマースのメリットの一つです。
マーケティングに特化したオウンドメディアとして有名な「ferret」によると、製品を紹介する動画を視聴したユーザーは動画を視聴していないユーザーに比べ、購買意欲が1.68倍も高くなるとされています。
これは、動画がテキストや画像の何倍も製品の魅力をユーザーに伝えてくれるからに他なりません。
もちろん動画の質や製品のジャンルによってこの数値は異なると考えられますが、間違いなくユーザーの購買意欲を刺激する施策だと言えます。
製品を使っている姿をイメージしやすい
動画コマースでは製品紹介動画で製品を実際に使っている映像を配信しますが、それにより、ユーザーは自分が製品を使っている姿をよりイメージしやすくなります。
自分がその製品を使っている姿をイメージできるようになると、購入するかどうかの判断がよりおこないやすくなるため、製品の購入を決めるきっかけを演出できるようになります。
動画コマースの2つのデメリット
さまざまなメリットがあり、非常に魅力的な動画コマースですが、デメリットがないわけではありません。
動画コマースに取り組む上で知っておきたい2つのデメリットについて解説していきます。
動画制作に関する知識とスキルが必要になる
動画コマースは動画を活用するEコマースの展開方法であるため、動画を制作できるようにならなくてはいけません。
そのためには動画制作に関する知識とスキルの習得が必要になりますが、ECサイトに掲載できるレベルの動画を作れるようになるためにはそれなりの時間を要します。
これは動画コマースに取り組む上での大きなデメリットになると言えるでしょう。
動画の制作に時間がかかる
動画コマースにおいて時間がかかるのは、知識やスキルを取得するときだけではありません。
動画の制作自体にもかなりの時間を要します。
・企画
・台本作成
・撮影
・編集
・チェック
といった工程をこなさなくてはいけないため、慣れてくるまでは1本の動画を作るのに数日かかってしまうことも珍しくありません。
これも動画コマースならではのデメリットだと言えます。
動画コマースの事例3選
動画コマースの導入を検討しているのであれば、ぜひチェックしておきたいのが国内の動画コマースの事例について。
まだまだ発展途上といった雰囲気ではありますが、国内でも動画コマースを上手く展開している企業はいくつかあります。
ここでは、特に参考にしてほしい3つの事例について紹介していきます。
ウチソト
https://www.nitori-net.jp/ec/feature/uchisoto/outdoorliving/
「お、ねだん以上。」のキャッチフレーズと、キャッチフレーズ通りの安さと品質が魅力の「ニトリ」。
ニトリは、「ウチソト」という名称の動画コマースを展開しています。
ウチソトではテーマに沿った複数の動画が公開されていますが、その動画内で紹介されている商品は、タッチ、あるいてクリックできるようになっています。
クリックするとその商品の詳細ページへと遷移し、購入までおこなえるようになっているため、非常に便利です。
動画コマースの中でもトップクラスの完成度を誇る事例だと言えるでしょう。
HOLLYWOOD RANCH MARKET
https://www.hrm-eshop.com/shop/pages/igtv_movie.aspx
45年以上の歴史を持つ人気のアパレルショップ、「HOLLYWOOD RANCH MARKET」。
HOLLYWOOD RANCH MARKETもEコマースに動画を取り入れ、動画コマースを展開しています。
こちらのページでは短めの商品紹介動画がいくつも公開されており、動画を視聴すると商品の画像が一緒に表示されるようになっていて、その画像をクリックすると商品の詳細ページにアクセスできます。
もちろんそこから商品を購入することも可能です。
アパレル系の企業にぜひ真似してほしい事例だと言えます。
unico
https://www.unico-fan.co.jp/shop/pages/igtv.aspx%20%E3%80%80
人気のインテリア通販サイト、「unico」。
unicoも動画コマースを展開している企業の一つです。
unicoではInstagram上で公開している動画をECサイトにも掲載し、その動画内で紹介される製品の中で気に入ったものがあれば同じページ内からそれぞれの商品の詳細ページへすぐにアクセスできるようなっています。
unicoに掲載されている動画は、新商品をまとめていくつか紹介したり人気のソファをいくつか比較したりなどバラエティに富んでいるため、非常に参考になる事例となっています。
まとめ
国内の動画コマースの事例に触れながら、動画コマースの概要や小売企業が動画コマースに取り組むべきメリットなどについて紹介してきました。
国内の動画コマースはまだまだ発展途上の段階です。
しかし、5Gの普及など、動画への需要は今後ますます高まっていくことが予想されます。
動画コマースを導入するのが当たり前になってからあわてて参入することがないよう、今から動画コマースへの取り組みを進められてみてはいかがでしょうか?