国内外に人気な和食料理『寿司』
観光庁の調査によると訪日外国人に人気の日本食で毎年ランキングするのが寿司で、他の日本食であるラーメンや肉料理をおさえて1位を獲得しています。
ランクインの理由は『美味しい』や『品質が高い』などが挙げられており、韓国や台湾、香港、中国、アメリカなどの地域からの観光客からの投票が多くありました。
またXのAIによる調査では日本人が好きな日本食ランキング10位に刺身、3位に寿司がランクインしていました。
以前は贅沢品としてのイメージがあったものの、格安回転ずしの普及によってお寿司が格安に提供されるようになったため日本人にも身近で人気な和食になっています。
様々な調査により、寿司は国内外問わず多くの人に食され、日本の代表的な和食としての地位を着実に築いています。
鮨屋が動画を作るべき理由やメリット
海外編
国内外多くの人に愛される寿司ですが、アメリカのカリフォルニアロールのように日本と海外との『寿司の認識』には大きな違いがあります。
日本人にとっての寿司は長年修行を積んだ職人が厳選された食材で寿司を握ります。しかし海外で見かけるようなお寿司はその地域にとって身近な食材で職人ではない人が寿司を作ります。
近年『日本の寿司』が海外にも普及し始めたこともあり、海外の人との『日本の寿司』の認識のずれは小さくなりつつも未だ残っています。
そのため鮨屋が動画を作ることで海外からの旅行客に『本場の寿司』としてアピールができ、効果的なプロモーションになります。
さらに海外からの観光客は旅行先でのトラブルを恐れるため、事前に写真や口コミから情報を得ます。
動画を作成することで写真や口コミ以上にお店のことを知り、観光客は不安なく旅行することができます。結果としてお店への来客も増加するため、積極的に動画作成を検討しましょう。
国内編
寿司は日本人にとって特別な存在であり、贅沢品の象徴とされてきました。特に老舗や高級店では、常連客中心の営業スタイルが長く続いてきましたが、現代においては新規顧客の開拓やイメージ刷新の必要性が高まっています。
例えば、世界的なパンデミックなど不測の事態が発生した際、観光客や外食需要が激減するなかで既存顧客だけに依存していた店舗は大きな打撃を受けました。
このような状況において、新たな客層を開拓し、来店動機を作り出す手段として、動画によるプロモーションは極めて効果的です。
また、鮨屋においては、暗黙のルールや作法、店のこだわりといった敷居の高さが、新規顧客にとって心理的なハードルとなる場合があります。
どのタイミングで注文すればよいか、どのように食事を楽しめばよいかといった疑問を、動画を通して自然に解消してあげることで、来店への不安を取り除くことができます。
鮨屋の動画例
鮨屋が動画を作成する理由やメリットについてひもときましたが、実際に動画を作成するにあたって参考となる動画をお店情報と共に紹介していきます。
鮨 さいとう

旧店名『鮨 かねさか』で現在『鮨 さいとう』に名前変更した、東京都港区六本木に店を開く鮨屋さんの動画になります。
お店が公式に出している動画ではありませんが、カナダから日本に移住をしてきた夫妻が食材調達の場面から取材・撮影を行い、実食を交えながら海外の旅行客向けにお店を紹介する動画になります。
再生回数は1,000万回を越え、コメント欄には料理人が坊主にしている理由に言及し『それほどの強い思いを寿司にかけているなんて尊敬する』や『料理長の他従業員への謙虚さ、スキルの高さが凄い』など芸術的・尊敬するといったコメントが多く見られます。
銀座 久兵衛(海外版)

東京都中央区銀座にお店を開く『銀座 久兵衛』の動画になります。こちらもお店の公式動画ではなく海外の料理コメンテーターと思われる方が独自に撮影・編集した動画になります。
この動画では包丁さばき、握りや生きたエビを捌くなどの調理シーンを中心に動画を構成しています。
動画内での料理人の日本語はわからないが、『映像で色んなことがわかるから助かる』や『観光先を選ぶためにこういう動画を探していたんだ』などのコメントがありました。
日本料理にありがちなトラブルとして、活けづくりや踊り食い、目の前での生きた食品の調理は、海外の文化にとって疑問視されることがあるので、動画にする際は注意深く考慮しましょう。
銀座 久兵衛(日本版)

同じく『銀座 久兵衛』の動画ですが、こちらは日本人のチャンネルによって作成されています。
職人の手捌きがよくわかるシーンを中心とした動画構成になっており『普段ではいけない高価なお店に行ったような疑似体験ができて嬉しい』や『職人さばきが凄い』等のコメントが多く見られました。
海外向けとは違って職人技にフォーカスを当てた動画が国内の鮨屋動画によく見られます。
その他の鮨屋動画
動画内容は同じものの、撮影方法や動画作成を外部委託した動画を紹介します。
照寿司

福岡県北九州市に店を開く照寿司は自由な発想で作られる寿司が有名で、寿司による地域活性を掲げるお店になります。
一日密着動画

お店の公式動画ではなく、外部に一日密着などを撮影してもらった動画になります。このように外部に動画作成を依頼することで本格的なクオリティーの動画ができます。
鮨屋の動画を作成する際のポイント
鮨屋が動画を作成する際に、単に店内や料理を映すだけでは効果的な発信にはつながりません。鮨の文化や職人技の魅力を余すことなく伝えるために、押さえるべきポイントについて解説していきます。
調理シーンを中心にストーリーを組み立てる
鮨屋動画の最大の見どころは、やはり職人による「調理シーン」です。新鮮なネタをさばく技術や、寿司を握る繊細な手さばきは、日本独自の伝統技術を象徴する部分であり、国内外の視聴者に強いインパクトを与えます。
特に以下のシーンを撮影に組み込むと、動画の完成度が高まります。
・新鮮な魚をさばく様子
・シャリを手早く正確に握る手元
・包丁を使った美しい切り分け技術
・丁寧にネタを仕上げる細かな作業
・最後の仕上げや盛り付け工程
調理シーンを中心に動画構成を組み立てることで、ただ料理を紹介するだけでなく、鮨職人の真剣な姿勢や情熱を自然と伝えることができます。
店の雰囲気を丁寧に映す
鮨屋の魅力は料理だけではありません。落ち着いた照明、檜のカウンター、控えめなBGM、職人と客との距離感など、店全体が作り出す「空気感」も重要な要素です。
そのため、動画では必ず以下のカットも収録しましょう。
・カウンター越しの客席風景
・店内インテリアや小物(暖簾、箸置き、メニューなど)
・店外観や入り口
・接客シーンや客との会話風景
特に海外の視聴者は「本場の鮨屋とはどのような雰囲気か」に興味を持っているため、店の世界観を伝えるカットは欠かせません。
映像美と音にこだわる
鮨屋の動画は、精錬された美しい映像が求められます。雑音やブレの多い映像では、職人技の美しさが半減してしまいます。高画質(最低でもフルHD以上)での撮影を心がけ、三脚などを使用してブレを抑えましょう。
さらに、自然な環境音(包丁の音、シャリを握る音)を活かし、不要なBGMや過剰なテロップを控え、シンプルな編集を施すことがポイントです。
臨場感ある音とシンプルで美しい映像を組み合わせることで、鮨屋の空気感や緊張感をリアルに表現できます。
短尺と長尺、目的に応じた編集を使い分ける
SNSやYouTubeなど、動画配信プラットフォームによって「最適な動画尺」は異なります。
短尺版では1~2分程度、長尺版では5~10分程度とし、短尺版では料理のビジュアルや店の雰囲気をテンポよく伝えて視聴者の興味を引き、長尺版では店のこだわりや職人の想いを深く掘り下げることでブランドイメージを構築します。
また、撮影素材を編集してすぐに公開したい場合、クラウド型の動画編集ツールを活用するのが非常に効果的です。特に忙しい飲食店経営者にとっては、時間やコストを抑えながら動画運用ができるのは大きなメリットとなります。
鮨屋の動画作成における注意事項
鮨屋の動画作成においていくつか注意すべき点があります。
動画事例でも紹介しましたが鮨屋さんの伝統が海外の文化によくみられない事があります。その代表格にエビの踊り食いが挙げられます。
踊り食いのように食べる直前まで生きている食品を目の前で調理することで新鮮さをアピールしていますが、海外の一部文化ではその行為がひどい殺生と捉えられるため、そういった視点があることを考慮した動画作成をしましょう。例えばエビの調理前にテロップ表示の喚起をするなどの一工夫が推奨されます。
国内向け動画を作成をすることでは新規顧客を獲得できるという魅力がありますが、その反面店の客層が変化してしまう可能性があります。そういった長期的な見込みも含めた上で動画作成に臨みましょう。
まとめ
さて今回は鮨屋の動画について紹介してきました。
鮨屋の動画は国内で未だ数多くなく、視聴回数の多い大ヒットした動画も未だ確認されていません。しかし海外のフードアナリストが投稿する鮨屋動画は1,000万再生されるなど需要が高いジャンルであることはまちがいありません。
いち早く挑戦することで鮨動画の先駆者としての立場を獲得できるかもしれません。ぜひお店の魅力を動画で発信していきましょう。