動画は今やオンラインで最も利用されるメディアとされており、アメリカのある研究によると78%の人が毎週、55%の人が毎日動画を見ているという調査結果が発表されています。
また近年では、高齢者と呼ばれる65歳以上の方もスマートフォンで動画視聴する割合が増加しているため、年齢問わず幅広い層が動画を視聴するようになったことがわかります。
こういった社会の変化は、ビジネスに大きな影響を与え、動画市場での成功がビジネスの利益に直結しています。そこで今回は、動画活用と利益の関係について徹底解説していきます。
この記事は、こんな方におすすめです
- ✅ 動画の効果を数値で証明し、上司や関係部署を説得したい
- ✅ 自社サービスや商品の魅力を、伝わりやすい形で訴求したい
- ✅ 営業支援・販促・教育など幅広く活用できる動画を内製化したい
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なぜ動画活用が利益に関与するのか?
まずは、なぜ動画をビジネス活用することが利益アップに直結するのか根拠をおさえましょう。
Googleプレミアパートナーでオンライン広告のソフトウェアを提供しているWordStream社が2021年に行った調査によると、消費者が1週間に平均16時間以上のビデオ視聴をしている事が確認されました。視聴時間は2年間前と比較して52%増加しており、動画の作成量もテキストや画像の12倍以上作り出されています。
このことにより、マーケットでの動画の存在がいかに重要になってきているかがわかります。
さらに、商品やサービス紹介を文字で行った場合には、10%の消費者しか関心を抱かなかった半面、動画の場合には96%もの消費者が関心を抱き、そのうちの64%がその後購入手続きをしています。
SEOや購買情報の活用が複雑に関与してくるものの、この結果よりマーケティングに動画を活用し成功させることが利益アップに重要なことが証明されています。
動画のメリット・デメリット
ここでは改めて、ビジネスにおける動画活用のメリットとデメリットを整理し、導入前に押さえておきたいポイントをお伝えします。
動画のメリット
動画の最大のメリットは、情報を短時間でわかりやすく伝えられることです。人間は文字よりも映像から多くの情報を直感的に理解できるため、複雑なサービス内容や使用方法でも、動画であれば短時間で伝えることが可能になります。
例えば、取扱説明書では理解しづらい操作方法や商品の使い方でも、動画で手順を示すことで、視聴者は一目で理解できます。特に高齢者やデジタルに不慣れな層にもやさしい表現手段として重宝されています。
また、動画には感情に訴えかける力があります。映像にナレーションやBGM、登場人物の表情などが加わることで、視聴者の心に強く印象づけることができます。
これはブランディングや採用広報において極めて効果的で、「会社の雰囲気」や「社員の人柄」といった言葉だけでは伝わりにくい要素を、リアルに表現することが可能になります。商品紹介や営業資料に動画を組み込むことで、記憶に残るプレゼンテーションにもつながります。
さらに、動画コンテンツはWeb上での滞在時間を延ばし、結果としてSEO効果も高める要素となります。
Googleは動画を含むページを優先的にインデックスする傾向があり、実際にYouTubeやVimeoなどを活用した動画埋め込みコンテンツは、検索結果でも上位表示されやすくなります。加えて、SNSやメールマガジンとの相性もよく、動画付きの投稿はエンゲージメント率が高まるというデータも多く報告されています。
動画のデメリット
デメリットとして最も大きいのは、制作にある程度の手間と時間がかかるという点です。スクリプトの作成、素材の準備、撮影や編集など、1本の動画を完成させるまでには多くの工程があります。
しかも、完成後にも「更新のしづらさ」という課題がつきまといます。例えば、一部の情報が古くなっても、そこだけを差し替えるのはテキストや画像に比べて難しく、動画全体を作り直す必要が出てくることもあります。
さらに、視聴環境に依存するという側面も忘れてはいけません。通信環境が不安定な場所では再生がスムーズにいかず、視聴者が途中で離脱してしまうこともあります。
また、音声付き動画を再生しづらい環境では、字幕やテロップの工夫が必要になるため、視覚と聴覚の両方に配慮した編集が求められます。こうした運用面での配慮は、他のコンテンツ形式よりも一段階高度になる傾向があります。
そして、動画はその制作コストも無視できません。社内で内製化を進める場合でも、人件費やツールの導入費用、撮影機材の購入など一定の投資が必要です。
外注する場合は、クオリティや尺によっては数十万円以上になることも珍しくありません。ただし、クラウド型の編集ツールを活用すれば、これらのコストや作業負担を抑えることが可能です。
利益があがる動画のポイント4選
動画活用が利益アップに直結する証拠をおさらいしましたが、ではどのような点に意識して動画作成・公開、運営すべきなのでしょうか?キーポイント4選を紹介していきます。
インタラクティブな動画作成
利益を上げるためには、インタラクティブな動画を作成するようにしましょう。
インタラクティブな動画とは、具体的に動画内で紹介する物だけでなく、登場した商品やサービスのリンクも同時に掲載し、動画内に登場したものは全てリンクで飛べるように配慮された動画になります。
作成者が動画で勧める商品・サービス以外にも、動画視聴者は購買意欲が生まれます。そのような際、購入できるように動画内で登場した物のリンク元を掲示するようにしておきましょう。
*インタラクティブとは相互作用している様
動画用SEO対策
webサイトと同様に、動画にもSEO対策が必要になります。webサイトのSEOは、サイト内のコンテンツの質を上げることで上位表示されるようになります。しかし動画の場合は、コンテンツの質のみでは上位表示されません。
動画SEOで上位表示させるためには、コンテンツの質のみならず、字幕やキーワード、サムネイルなどの動画の周辺情報を豊富にする必要があります。
そのような工夫を施すことで、動画の滞在時間が長くなり、結果的に視聴者の購買意欲にも繋がります。
利益を優先した動画活用では伸び悩む
世界第2位の菓子ブランドであるCadbury(キャドバリー)は、ギフト用チョコの市場シェア率が世界のほとんどの地域で15~35%を獲得していました。しかし、インド地域では5%前後しかなく、会社の課題でした。
そこでCadburyは、動画キャンペーン「Make the Moment Glow」を開催しました。このキャンペーンでは、ギフトチョコだけでなく、歌、メッセージ、動画、フォトアルバムのいずれかの内容も一緒に贈ることができました。
このキャンペーンが、インドの大手メディアに取り上げられ話題になり、インド市場でのシェアが格段に上がりました。
このように、動画の魅力である『感情を刺激する』点を動画で発揮させることで、動画のビジネス感がなくなり、消費者に魅力的な動画に見えるようになります。
購入前後の手厚いサポートに動画活用
消費者は、サービスや商品の購入前後、幾分不安を抱いています。購入の前後で、お客様が正しい判断をしたと安心感を与える必要が提供側にあります。
そういった責任を動画で果たすことができ、購入前には商品やサービスのレビューや実体験の動画を、購入後は取り扱い説明や故障などの万が一の対策を動画で紹介することで、お客様の購入への不安を取り除くことができます。しかし、フィクションだと感じさせるようなレビューは、かえって不信感を抱かせるため注意しましょう。
画期的なマーケティングビデオ成功事例
さてここまで、動画活用の重要なポイントを抑えてきましたが、実際に海外で画期的なアイデアによってマーケティングビデオを成功させた動画をご紹介します。動画作成の参考にしてみてはいかがでしょうか?
Apple

まずは、日本でもすっかりおなじみになったアップルが1984年に出した広告になります。
この動画は、スーパーボウル(全米フットボールリーグの王座決定戦)の広告として初代Macintoshが発売される前に放映されたものです。白黒の服装で無表情に歩きスクリーンをただ見つめる男性たちの間を、カラフルな服装の女性が走り、スクリーンにハンマーを投げつけています。
これは、その当時多くの人が利用していた操作性の悪いコンピュータに縛られず、簡単な操作のmacに移行するように促した描写になります。
全体主義者やサイレントマジョリティーになるなという願いもこめられた広告動画で、appleファンからは伝説のCMとまで評されています。
コカ・コーラ

次も、有名なコカ・コーラが2010年に放映した広告になります。2010年は、インターネットの普及によってマーケティングが大きく変化している真っ只中という前提をおいておきましょう。
多くの会社が多額の広告費用をかけマーケティングをしている中、コカ・コーラは画期的な広告を作りました。
ある大学内のコカ・コーラの自動販売機に隠しカメラをつけ、何本もコーラが出るようにしたり、花やバルーンアート、大きなサンドイッチを添えたりして学生にサプライズしています。
自然と笑顔になり、多くの人と飲食や笑顔を共有している様を最低限の編集で届けています。これこそが本来の動画マーケティングであると暗示し、広告は利益のためだけでなく、正の感情を共有するためでもあるというストーリーを込めています。
まとめ
さて今回は、動画活用と利益アップについて紐解いてきました。
実際に動画活用は利益アップに大きく繋がりますが、動画の良さは人の感情性を刺激する点にあるといわれています。そのため、利益アップのためだけでなく、マーケティングビデオ成功事例のように人を楽しませたり、安心、幸せも伝えれるような一面があっても良いのではないでしょうか?