この記事は、こんな方におすすめです
- ✅ 水産業や研究などの調査映像を効果的に活用したい
- ✅ 社内や顧客向けに専門的な動画をわかりやすく伝えたい
- ✅ 動画制作を外注せず、自社で効率的に進めたい
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水中ドローンとは
水中ドローンという言葉を聞いたことがありますでしょうか?水中ドローンとは名前の通りドローンの一種で、海や川などの水中を潜水できる、小型の撮影機、無人機のことを指します。
ドローンは主に陸、空上を撮影できるものが広く認知されていますが、この水中ドローンのように水中撮影に特化したもの、産業用に特化したものなど、様々なドローンが幅広い用途で活用されています。
中でもこの水中ドローンの使用用途は主に水産業や生物、水質研究における海中調査、マリンレジャーから水難事故などと実に幅広い用途で活用されており、年々市場も大幅に拡大している現在注目すべき動画撮影ツールの一つです。
水中ドローンが活用されるようになった経緯はと言うと、そもそもドローンそのものがこの世で初めて開発されたのは第二次世界大戦中のことで、敵国を爆弾で攻撃するための用具として開発されました。
実はこのドローン、第二次世界大戦中は開発まで進んだものの実用までは届かず、実用はお蔵入りとなっていました。
しかし戦争後、ドローンの可能性に目をつけた研究者たちが開発を重ね、どんどん実用化が進められていきました。その後、法的な課題を抱えつつもGPSなどの登場とともに一般販売が進められ、ドローンの存在が広く認知されるようになりました。
始まりは軍事目的であったドローンですが、現在では空中ドローンに留まらず、冒頭で述べたような様々な用途に特化したドローンが開発されています。
実は水中ドローンも戦時中に登場し、アメリカやイギリスなどで実際に人員救助活動、海底清掃などの目的で活用されていました。しかし水中ドローンもその時代進化の中で開発が進められたドローンの中の一つで、特に空のドローン撮影が一般化したことをきっかけに広く知られるようになりました。
2019年は「水中ドローン元年」とも言われており、そこから数多くの水中ドローンの商品がリリースされました。
水中ドローンの市場規模
冒頭で水中ドローンの市場規模が拡大していることについて触れましたが、ここではそれについて詳しく説明します。
日本での水中ドローンの市場規模について簡潔にまとめると、2025年までに62億円に達すると予測されています。
2021年での市場規模はおよそ23億円と推測されていた水中ドローン市場ですが、数年で約2.7倍もの拡大が見込まれている事実を見ると、いかに需要が伸びているかということがわかります。
しかしこの市場拡大に伴い、中国をはじめとした各国で製品が大量に生産されると見込まれることから、今後のドローンの品質管理などに関して新しい課題が課されるとも予測されています。
特に水中というタフな環境で長時間使用される機体であるため、使用上のメンテナンス、補償に関わるサポートをさらに充実させていくことが今後重要視されていくとされています。
引用元:
水中ドローンビジネス調査報告書2022 | インプレス総合研究所
水中ドローンでの動画撮影シーン
大きな市場拡大が見込まれる水中ドローンですが、水中で動画撮影を行うにあたって一体どんな活用シーンがあるかについてご紹介します。
養殖業者による水中調査
水中ドローンの動画撮影機能を使うことによって、養殖場の水中管理・調査を行うことが可能です。水中ドローンを使用しない場合、養殖業者が実際に海中へ潜り込んで調査を行います。
この潜水では一つ一つの魚の死骸を手に取り除去していくことや、何か異常がないかなどを目視で確認するため多大な体力と手間がかかります。
しかし水中ドローンを活用することによってこれらの作業行程を一気に省くことができ、多くの人員リソースと時間の確保が可能となります。
水中生物の研究・水質調査
水中ドローンの有効な活用場面として、水質や水中生物の研究・調査が挙げられます。
海だけに限らずダムなどでも活用されており、人員を要する潜水調査に比べて大幅な手間やリスクの軽減ができる点に大きな活用メリットがあります。
特に海中での調査においては危険度が高く、マンパワーを要さない水中ドローンでの調査が一般化しつつあります。地球儀を見ればわかる通り、海面が地球上の面積を占める割合は陸の何倍にもなります。
しかし、現段階で人類が海について把握している範囲はおよそ5%と言われており、残りの95%の海中は未調査であると言われています。
そんな未知の世界で手探りの調査を行えば、多くの予期せぬ危険と常に隣り合わせとなるということはもはや一目瞭然です。そんなリスクを回避するためにも、現在水中調査においては積極的に水中ドローンが活用され始めています。
水中ドローンで動画撮影を行うメリット
水中ドローンを活用することで、効率的な動画撮影が可能になります。ここでは具体的なそれらのメリットについてご紹介します。
人手不足の解消
現在日本は深刻な人手不足に悩まされています。今後も働き手はどんどん減少するとされ、その対策案の考案に各業界様々な手を打っています。
そんな中、一つの打開策として水中、陸上を中心としたドローンの活躍が期待されています。農家の人手不足解消に向け、空のドローンを活用した薬剤散布や種まきなど、そのほかにも多くの場面でドローンが活用されています。
中でも水中ドローンで動画を撮影することによって、これまで人員を要する潜水という方法でしか実現することのできなかった養殖場の水中環境調査、水質調査などが機械の運用のみでできるようになりました。
今後もドローンをはじめとするAI機能は、人手不足に関わる数々の問題を解決すると言われています。
事故などのリスク回避
水中ドローンを活用することにより、調査などの水中現場で起こる事故などのリスクを回避することができます。水中でも、視界が悪ければ数メートル先のものが見えないなどの危険な場面に直面することは多々あります。
そんな悪環境の中で作業をするとなると、その分水難などにつながるリスクも増えます。
そんな時、水中ドローンで事前に水中の調査を行い、その動画をもとに障害物などの立地を図面に書き起こしておくことで、事前に水難事故のリスクを回避することができます。
高精細な映像で客観的な記録が残せる
水中ドローンは4K対応カメラや広角レンズを搭載したモデルも多く、人間の目では捉えきれない映像を高精細に記録できます。
これにより、研究用途では微細な生物の行動観察が可能になり、産業用途では水中設備の微細な亀裂や損傷を正確に確認することができます。
また、動画データとして残しておけば、後から何度でも再確認できる点も重要です。人が潜って調査した場合は「見落とし」や「記憶違い」が起こり得ますが、映像があれば証拠資料として活用でき、報告や学術研究の信頼性を高めることができます。
エンターテインメントや観光業に応用可能
水中ドローンのメリットは産業用途に限りません。マリンレジャーや観光業でも「普段は見られない水中世界を映像化する」ことで付加価値を生み出せます。
観光地でのダイビング体験にドローン映像を組み合わせれば、参加者は自分が見た風景を後から映像で楽しむことができます。
また、水族館や観光PR動画にも応用でき、従来の陸上からの映像に比べて「驚き」と「リアリティ」を強く訴求できるため、観光マーケティングの面でも有効です。
水中ドローンでの動画撮影事例
ここでは、実際に水中ドローンを使って動画撮影を行っている事例についてご紹介します。

この動画内では、水中ドローン「CHASING DORY/チェイシングドリー」を支笏湖で実際に使っている様子が紹介されています。
真水での使用感をわかりやすく伝えており、格安なものであっても質の高い調査が行えるということがわかる動画になっています。
水中ドローンで動画撮影を行う際の注意点
水中ドローンは正しく運用しなければトラブルやコスト増につながる可能性もあります。ここでは、水中ドローンで動画撮影を行う際の注意点を解説します。
バッテリー残量と稼働時間の管理
水中ドローンは水圧に耐えながら航行するため、陸上のドローンに比べてもバッテリー消費が激しい傾向にあります。平均稼働時間は30分〜2時間程度と限られているため、長時間撮影を計画している場合は予備バッテリーを複数用意する必要があります。
また、撮影の途中でバッテリー切れを起こすと、機体の回収が困難になるリスクがあります。稼働開始前に残量を確認し、「安全に回収できる時間」を考慮して早めに帰還操作を行うことが重要です。
水流や天候など自然環境の影響
水中ドローンは風の影響を受けない反面、水流や波の影響を大きく受けます。強い潮流のある場所では制御が難しくなり、思った通りに撮影できないばかりか機体が流されてしまう危険もあります。
また、天候によって水中の視界が大きく変化する点も考慮が必要です。雨天や濁りのある環境下では映像が不鮮明になるため、撮影スケジュールを立てる際には天候や潮位のチェックを欠かさないことが大切です。
機体の耐久性と定期メンテナンス
水中は塩分や泥、微細なゴミなどが多く、機体の耐久性に大きな負荷を与えます。特に海水で使用した場合は、撮影後に必ず真水で洗浄し、塩分をしっかり落とさなければ故障の原因となります。
また、バッテリーやプロペラ部分は摩耗しやすいため、定期的な交換や点検を行うことで長期的に安定した運用が可能になります。購入前に「メンテナンスサポートが充実しているメーカーかどうか」を確認することもポイントです。
操縦スキルとチーム体制の確立
水中ドローンの操作は陸上ドローンとは異なり、上下左右の動きに加えて水圧や水流を考慮する必要があります。そのため、初心者がすぐに精密な撮影を行うのは難しい場合があります。
安全かつ効率的に活用するためには、オペレーターの技術習得やシミュレーション訓練が欠かせません。また、現場では操縦者と映像確認者を分け、チーム体制で運用することで操作ミスや撮影の抜け漏れを防ぐことができます。
まとめ
水中ドローンの概要、事例について紹介しましたがいかがでしたでしょうか。水中ドローンでの撮影を検討中の方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。