著作権とは
著作権とは、知的財産権の一つです。著作物を他人に侵害されないための権利です。
今回紹介する動画制作のBGM以外にも、生活のいたるところで発生する権利なので、知っているだけでトラブルに巻き込まれないで済みます。
著作権の概要
著作権は自然権と違って、著作者が意識しなくても自然と権利が発生します。著作物が完成した時点で、その権利が発生することに気を付けましょう。特許や商標とは違って登録の必要がないのが著作権の特徴とも言えます。
動画制作する際に著作権で注意してほしいのが、BGMはむやみに使えないということです。動画制作する上でBGMは欠かせないものですが、使用許可が必要な場合があるので事前に把握しておく必要があります。
著作権の種類
著作権にはいくつか種類があり、以下のようなものをまとめて「著作権」と呼んでいます。
・上映権:動画コンテンツを公に上映する権利
・複製権:動画コンテンツをコピーする権利
・公衆送信権:公衆(テレビやラジオ)によって直接受信されることを目的として、著作物を送信することができる権利
・上演権:著作物を聞かせたり、見せたりする権利
・二次利用権:二次的制作物を利用する権利
このほかにもいくつかあり、様々な権利が著作物に保証されています。
著作権を侵害した場合のリスク
著作権を侵害してしまった場合、どのようになってしまうのでしょうか。
もしそのようなことになった場合、以下のような民事上の訴求に応じなければなりません。
・不当利得の返還
・損害賠償
・侵害行為の差し止め
・名誉回復などの措置
また、犯罪である著作権侵害で刑事告訴された場合、「10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金」という罰則が課せられます。
個人ではなく、法人が著作権を侵害した場合3億円以上の罰金が課せられます。
企業において、罰則を課せられるよりも社会的信用を失う方が、今後の活動に関わってくるので注意しましょう。
利用許可が必要なケース
購入したCDの音源や配信されている音源を自身の動画制作で使用する際、音源を管理している協会に許可を得る必要があります。その協会のことを、JASRAC(一般社団法人日本音楽著作権協会)と言います。
基本的に音楽の著作権はここで管理しており、作詞者・作曲家・音楽出版社などの音源を扱っています。そのため、使用したい音源の許可を得る際は、JASRACに申請して使用料金を支払う必要があります。
店舗内BGMとして利用
普段お店で買い物をしている際、店内には当たり前のように音楽が流れています。実は、その音源にも著作権の許可を取る必要があります。
今までは許可を取らずに店舗内で流すことができましたが、2002年に法改正が行われて以降許可を取らないといけないことになりました。
近年プライバシーが厳しくなってきているため、著作権の厳しさも年々変わってきています。このように、私たちの身近なところでも著作権が関わっていることを実感できます。
結婚式場で利用
結婚式場ではいくつかのシーンでBGMが使用されます。結婚式場には多くの人がおり、撮影などでBGMが録画されるなんてこともあります。
このようなシーンで音源を使用する際、JASRACへの手続きとともにレコード会社からも許可を得る必要があります。
しかし、結婚式場の多くが事前にJASRACと契約を結んでおり、主催側が個人的に手続きを行うのはほとんどありません。
また、この時に気を付けてほしいのが音源を自分で用意する必要があるということです。
アプリなどでダウンロードした曲は利用規約で、「個人利用、非商用での利用のみ」となっているので利用できません。そのため、自分でCDなどを購入して音源を用意することになります。
自身のブログや動画投稿で利用
動画制作をしている人の多くが、自身のブログやYoutubeなどの動画投稿サイトにアップするかと思います。
実は、YoutubeなどはJASRACと包括契約を結んでおり、一般的に楽曲を使用する際の許可を必要としていません。そのため、著作権をあまり知らない方でも問題なく音源を使用できています。
しかし一つ注意してほしいのが、市販の音源をそのまま利用したり原盤権が関係しているものに関しては、原盤権保有者からの許可が必要となってきます。
利用許可が不要なケース
音楽を使用する際に、著作権の許可が不要な場合があります。著作権は、作られたと同時に発生し、反対に「著作者が亡くなって70年が経つ」と消滅します。
基本的にはそのルールに従って効果が無くなりますが、一部例外もあります。
著作権の保護期間が終了したものは、社会全体が共有する文化的遺産の一つとして、誰でも自由に使用することができます。
そのほかにも、以下2つの場合は許可無しに使用することができます。
私的使用のための複製
個人や家族内での使用など、公ではなく限られた場所での使用の場合は著作者から許可を得ずに複製することができます。
個人で使用する動画で音楽を使用する場合やテレビ音楽を録画することがこれに該当します。
しかし、制作物をその場の誰かが公の場所に公開するとなると、話が変わってくるので注意する必要があります。
また、アップロードされた著作物が違法と知りながらダウンロードするのは、私的使用に関わらず違法になってしまいます。正しくアップロードされたものを使用するようにしましょう。
営利を目的としない上演等
以下の3つ全てを満たしたとき、著作者の許可を得なくても上演することは可能です。
①営利を目的としない
②お客さんから料金を受け取らない
③作曲者に報酬が払われない
これらが満たされる具体的な例として、高校などの文化祭や生徒が開催するコンサートです。基本的に、BGMを使用した際にお金が発生しないことが条件となっています。
また、インターネット配信や録画ではこの規定が適用されないので注意しましょう。
音楽の著作権侵害の事例
2018年3月、店内BGMの使用料金を支払わなかったとして、JASRACが札幌市の理容店男性に損害賠償の訴訟を求めた。裁判長は店の経営者に約3万1千円の支払いと、楽曲の利用差し止めを命じた。
このように協会が管理するBGMの無許可利用に関する判決はこれが初めてです。判決によると、理容店は2014年以降、協会が管理する楽曲の利用許可契約を結ばずにBGMとして使用していた。とのことです。
まとめ
動画制作をしていく中で、BGMは映像のクオリティを高めていく中でとても重要なものの一つですが、著作権の正しい理解を持ち合わせていないとトラブルに巻き込まれる恐れがあります。
利用許可が必要なケースと必要ではないケースを理解し、いざ自分が使用する際にどのような申請をするべきなのか、事前に確認するようにしましょう。
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