下着業界の現状とは?
下着や靴下の企画、製造、卸売を手がける社団法人日本ボディファッション協会の発表によると2020年の会員企業のインナーウエアの出荷額は1,998億円(前年比14%減)と報告されています。
詳しい内訳はレディースインナーが1,628億円(前年比15%減)。メンズインナーは294億円(前年比10%減)。金額が示すように男性よりも女性の方が下着への支出が多く、レディースの平均下着単価は902円、メンズは412円になります。
下着への単価がこのような額になるには訳があり、価格が高くても機能性のある高付加価値商品に消費者のニーズが集まっているからになります。
高付加価値商品とは、価格は高いものの『肌触りのいい生地を使用』『断熱・給水機能がある』といった機能性が豊富な商品を指します。常に地肌に面するため、安さより質をインナーには求めていると思われます。
コロナの影響を受けた下着業界はどうなった?
ではコロナの影響を受けた下着業界はどのような変化をしたのでしょうか?様々な観点から紐解いていきましょう。
コロナ渦の下着業界はECによる売上によって大ダメージを免れたと各会社は言及しています。国内で初めて緊急事態宣言が発令された2020年4月~6月自宅待機の影響でEC利用が拡大、売上が増加しました。(*ECとはネット上でモノやサービスを売買することを指します。)
トリンプ・インターナショナル・ジャパンによると全社売上高のうち約15%をECが占め、売上高の占有率も上昇傾向にあると発表しています。また、具体的な数値は発表していないものの、前期比で2桁の売上成長を獲得しています。
このようにコロナ渦であってもECによって売上を上げている下着企業も多く存在します。一方でECへの準備ができていない下着企業はコロナによる経済的ダメージを受けている事が多くみられます。
楽観視できない下着業界、業界が抱える課題とは?
コロナ渦でも成功をおさめるなど、他業界と比較すると余裕が垣間見える下着業界ですが、油断はできません。業界は様々な変革を求められており、そのポイントについてワコールホールディングスが言及しています。
従来、ワコールホールディングスは『機能性』を重要視した下着を作り続けていました。しかし近年は『機能性』より『快適さ』が求められるため、生地の質感やサイズを変えるなどの転換が必要になります。
この発言により、下着業界は時代と変わりつつある顧客のニーズに合わせた商品転換が課題になります。
下着業界の動画活用とは?
下着業界が抱える課題や現状について紹介してきましたが、動画活用をもって社外にアピールすることも重要なマーケティングになります。
では実際に公開されている動画を参考に動画活用事例を紹介していきます。
ワコールの動画活用「からだメンテする店頭」篇
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ワコールは「MEET YOUR JUST.」をスローガンに掲げ、一人ひとりのお客様のココロとからだに寄り添ったサービスを提供したいという思いを動画にして発信しています。
ワコールは70年以上にわたる長い歴史を作り上げ、商品やサービスを提供してきました。企業の目指すあり方を動画で発信することで商品の認知のきっかけになります。
PEACH JOHNの動画活用 ピーチスタ&リアルサイズモデル™と行く!店舗ツアー#1
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こちらはPEACH JOHNの動画で、ピーチスタ&リアルサイズモデルが店舗にて直接下着選びをする内容になっています。
こういった動画を通して、店舗の雰囲気やおすすめ下着のアナウンス、下着と共に使うべき香水や洗剤など様々な商品の広報を行うことができます。またモデルをゲストとして迎えることでおしゃれさの情報発信もできます。
福助株式会社 【fukuske MEDICAL LABO】コットンVSシルク_速乾性能対決!
足袋をはじめとして、靴下やストッキング、下着の製造を行っている福助株式会社の動画になります。
この動画では下着業界が長年築き上げた知恵を活かし、コットン生地とシルク生地の速乾性能を比較検証しています。商品だけでなく、こういった技術力をいかした豆知識動画も効果的なマーケティングになります。
下着業界が動画を活用する際の注意点
商品の特徴を視覚的に伝えられる動画は非常に有効ですが、一方で扱う商材の性質上、他業界以上に注意すべき点が存在します。ここでは、下着業界が動画を活用する際の注意点を解説していきます。
過度な露出を避けつつ商品の魅力を伝える
下着という商品特性上、露出度の高い映像は避けられません。しかし強調の仕方を誤ると「下品」「性的に過ぎる」と受け取られ、ブランド価値を損なう可能性があります。
動画では商品の機能性や快適さ、デザインの美しさを重視し、必要以上に肌を強調しない構図や演出を心がけることが大切です。
マネキンやCGを活用して生地の伸縮性や質感を見せる、実際の着用シーンでは自然な生活シーンを切り取るなど、表現に工夫を凝らすことが求められます。
モデルの多様性を意識する
消費者の体型や年齢は多様であり、従来のように細身のモデルだけを起用すると「自分には合わない商品」と思われてしまう可能性があります。近年はリアルサイズモデルや幅広い年代のモデルを起用する企業も増えています。
動画に多様なモデルを登場させることで、消費者は「自分が着用したらどう見えるか」を具体的に想像でき、購買意欲が高まります。
特に女性向け下着では快適性や安心感が重要視されるため、多様性のある映像表現はブランド信頼につながります。
プライバシーと出演者への配慮
下着の動画撮影では、出演するモデルやスタッフにとって心理的な負担が大きくなる場合があります。そのため出演者への配慮は欠かせません。
契約時に使用範囲や公開媒体を明確にすること、撮影現場を安全かつ安心できる環境に整えることが重要です。
また、ECサイトやSNSに動画を掲載する際には、意図せず個人が特定される情報(背景に映り込む人物や環境)にも注意を払いましょう。
商品説明とブランドストーリーを両立させる
下着業界の動画は、単に商品のデザインや機能を紹介するだけでは差別化が難しくなっています。そこに必要なのがブランドの世界観やストーリー性です。
例えば、「快適さを追求する研究開発の裏側」や「環境に配慮した素材を選ぶ取り組み」などを盛り込むことで、消費者は商品を超えた価値を感じ取ります。
ブランドの理念を映像に反映させることは、長期的なファン作りに欠かせない要素です。
まとめ
さて今回は下着業界の動画活用について紹介してきました。
様々な企業がコロナ渦でも売上を上げており、その成功の裏にはECサイトへの努力や情報発信の巧みさがポイントだと言及しています。
ECサイトはサイト構築など経費や時間が多くかかるものの、動画での情報発信は比較的安価に行うことができます。ぜひ動画活用で自社の魅力を発信しましょう。