この記事は、こんな方におすすめです
- ✅ 自社で動画編集を効率化したい
- ✅ プロ品質の演出を簡単に取り入れたい
- ✅ 社内の動画制作体制を整備したい
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トランジションとは
トランジションの種類について学んでいく上でまずしっかりと把握しておきたいのが「トランジション」についてです。
トランジションは「遷移」や「変化」という意味を持つ英単語で、動画制作の現場においては場面が移り変わるときに用いる効果を指す言葉として用いられます。
例えば、室内の映像から外の映像に場面が切り替わる場合トランジションを用いずに切り替えることもできますが、それだと場面の転換が急すぎてユーザーがビックリしてしまう可能性があります。
そこで用いられるのがトランジションです。
場面が切り替わるタイミングにトランジションを設定し、よりスムーズに映像を転換していきます。
これによりユーザーは違和感を感じず映像に集中できるようになります。
トランジションを活用するメリット
動画制作において、トランジションは単なる「場面転換の演出」ではありません。ここでは、トランジションを効果的に活用することで得られるメリットを紹介していきます。
映像の流れをスムーズにする
トランジションを活用する最大のメリットは、映像の流れを自然に見せられる点です。例えば、シーンが急に切り替わると視聴者は違和感を覚え、ストーリーへの没入感が途切れてしまうことがあります。
そこでクロスディゾルブや暗転などのトランジションを挟むことで、映像の切り替えが滑らかになり、視聴者はストレスなく内容に集中できます。
特に企業のプロモーション動画や採用動画のように、一貫したストーリー性が求められる作品では欠かせない役割を果たします。
視聴者の感情をコントロールできる
トランジションは映像のテンポや雰囲気を変える効果があり、視聴者の感情に働きかけることができます。
例えば、ホワイトアウトを用いれば爽やかで清潔感のある印象を与えられますし、スピントランジションを挟めばスピード感や楽しさを演出できます。
映像の目的に合わせてトランジションを選ぶことで、単に情報を伝えるだけでなく「ワクワク感」「安心感」「高級感」などの感情を視聴者に与えることが可能になります。
メッセージやブランドイメージを強調できる
トランジションはブランドイメージを視覚的に補強する手段にもなります。例えば、スタイリッシュなIT企業であれば、シャープでスピーディーなズームトランジションを活用することで「先進性」や「洗練された印象」を強調できます。
一方、ブライダル業界のように柔らかい雰囲気を大切にする場合は、クロスディゾルブやアイリスを活用することで「優雅さ」や「感動的な世界観」を伝えられます。
このように、トランジションは単なる演出にとどまらず、ブランドメッセージを視覚的に支える重要な役割を持ちます。
情報の整理と理解促進につながる
長尺の動画や複数のテーマを扱う動画では、シーンごとの切り替えを視聴者に分かりやすく提示する必要があります。そこでトランジションを活用すれば、「ここから新しい話題に入ります」というサインを視聴者に示すことができます。
例えば、ワイプやズームインを挟むと視聴者は自然と「場面が切り替わった」と認識し、内容を整理しながら理解できます。
教育系動画や商品説明動画のように情報量が多いコンテンツでは、理解促進のためにトランジションを効果的に活用することが大切です。
動画制作でよく用いられる定番のトランジションの種類
トランジションにはさまざまな種類があり、どのトランジションを用いるかで映像の見栄えや映像から感じる印象が大きく異なります。
知っているトランジションの種類が多くなればなるほど表現の幅が増えるのでさまざまなトランジションを試して使いこなせるようになるべきですが、トランジションにも定番のトランジションがいくつかあり、動画制作のスキルを高めたいのであれば、まずはそれら定番のトランジションをしっかりと使いこなせるようになるべきです。
ここでは、定番のトランジションを3種類紹介していきます。
クロスディゾルブ

動画制作の際に用いられるトランジションの中でも定番中の定番と言えるトランジションが、この「クロスディゾルブ」です。
最初の映像が徐々に薄くなっていく形でフェードアウトするのに対し、次の映像がだんだんハッキリと表れるような形でフェードインして映像が切り替わります。
映像は引きの映像と寄りの映像の両方をうまい具合に用いながら作っていきますが、大きく場面が変わる映像をトランジションを用いずに場面を切り替えてしまうと違和感のある映像になってしまいます。
そこでクロスディゾルブを用い、次に表示される映像を徐々にフェードインさせることで違和感なく映像を見続けられるようになるわけです。
暗転

暗転は、映像を切り替えるタイミングで一瞬真っ暗な画面を表示させるタイプのトランジションです。
映像と映像の間に一旦真っ暗な画面を挟むことで、大きく場面の変わる映像でも違和感を感じにくくすることができます。
また、動画が終了するときにもよく用いられるトランジションでもあります。
ホワイトアウト

ホワイトアウトは暗転と似たトランジションです。
暗転が真っ暗な映像を挟む形で映像を切り替えるのに対し、ホワイトアウトは真っ白な映像を挟んで場面を切り替えていきます。
こちらも暗転同様、大きく場面が切り替わるときや映像が終了するときによく用いられます。
動画制作でよく用いられる応用的なトランジションの種類
トランジションには、先ほど紹介した定番のものもあれば応用的なものもあります。
応用的なトランジションは効果が特殊で使いこなすのが難しい反面、うまく使いこなせるようになると映像の表現に幅が生まれるので、ぜひ使いこなせるようになるべきです。
ここでは、応用的な使い方ができるおすすめのトランジションを4種類紹介していきます。
ワイプ

ワイプは、ワイパーのような拭き取る動きによって映像を切り替えるトランジションです。
スマートフォンの操作に慣れている現代人にとってはスワイプして映像を切り替えているように感じられるトランジションとも言えるかもしれません。
ワイプにはいくつか種類があり、どのトランジションを用いるかで大きく印象が異なります。

例えば、こちらのランダムワイプのトランジションを用いた場合、ランダムな動きで徐々に映像が切替わっていくので、少しSFっぽさの感じられる映像になります。
ただ、素人っぽさが出やすいトランジションでもあるので、用いる際は注意が必要です。

こちらはクロックワイプと呼ばれるタイプのトランジションです。
その名のとおり、時計回りに映像が切り替わっていくトランジションとなっています。
アイリス

アイリスは「絞り」を意味する英単語です。
その名のとおり、カメラのレンズを絞ったような動きをするトランジションで、映画などでもときどき用いられています。
また、アイリスもワイプ同様いくつか種類があります。

こちらは十字が徐々に広がっていく形で映像が切り替わるアイリスのトランジションです。

一方、こちらのトランジションではダイヤモンド型の図形が徐々に広がる形で映像が切り替わります。
ズーム

ズームトランジションはVLOGや風景を撮影した映像など、おしゃれな雰囲気を演出したいときによく用いられるトランジションです。
元の映像をズームしていき、ズームしきったところで次の映像に切り替えます。
ズームの速さによって印象が大きく異なるタイプのトランジションで、ズームのスピードによって映像にスピード感が生まれます。
スピン

スピントランジションもおしゃれな映像作品によく用いられるトランジションの一つです。
映像を回転させ、回転し終わったタイミングで次の映像に切り替えます。
スピンの動きを間に挟むことで映像が大きく切り替わっても不自然な印象をあたえてしまうことがありません。
スピントランジションもスピンの速さで映像の印象が大きく異なります。
トランジションをうまく使いこなす方法
今回定番のものと応用的なものに分けてトランジションをいくつか紹介してきましたが、トランジションをうまく使いこなしたいのであれば、とにかくさまざまなトランジションを適用させてテストしてみることです。
頭の中でイメージしている映像と実際にトランジションを適用させた映像では、仕上がりや印象が大きく異なります。
そのため、まずはいろいろなトランジションを実際に適用させてみて、その映像に最適だと思われるトランジションを探しましょう。
トランジションは速さによって印象が大きく異なるので、速さを変えたテストも忘れずにおこなうようにしましょう。
また、いろいろな作品を見てトランジションの効果的な使い方を学ぶことも大切です。
トランジションは非常に奥が深く、他の人が作った作品を見るだけでも勉強になりますし、表現の幅が広がります。
一点注意したいのが、トランジションの使いすぎについてです。
トランジションを使いこなせるようになると映像が切り替わるたびにトランジションを適用させたくなってしまいがちですが、トランジションだらけの動画はゴチャゴチャとした印象の動画になってしまう傾向にあります。
ここぞという場面で使うなど、自分の中でルールを決めて使うようにするといいでしょう。
まとめ
動画制作の現場で用いられるトランジションの種類について紹介してきました。
今回は数あるトランジションの中でも代表的なものや特におもしろい効果をもたらしてくれるものを7種類厳選して紹介してきましたが、動画制作に活用できるトランジションは他にもたくさんあります。
知っているトランジションの種類や使いこなせるトランジションの種類が増えれば増えるほど映像表現の幅も広がっていくので、今回紹介した7つのトランジションはもちろん、他のトランジションも積極的に使い、使いこなせるようになりましょう。