スチルモーションは商品のプロモーションにおいて活用されることが多く、主に化粧品やジュエリーブランド、アパレルブランドが積極的に採用する傾向にあります。
この記事ではそんなスチルモーションを使った動画の活用メリットをはじめ、特徴、活用事例などについて詳しくご紹介していきます。
この記事は、こんな方におすすめです
- ✅ 商品やブランドの世界観を映像で魅力的に表現したい企業の広報・マーケティング担当者
- ✅ 高品質なビジュアル訴求動画を効率的に制作したい法人
- ✅ スチルモーションをはじめ、プロモーション動画を社内でスピーディーに制作したい企業
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スチルモーションとは
スチルモーション(スティルモーション)とは英語のStill Motionのことで、写真などの静止画像をつなぎ合わせることによって作られる動画のことを指します。
動く写真とも言われており、動画を活用したプロモーションなどで多く活用されています。
スチルモーションはモーショングラフィックと混同して解釈されることがありますが、モーショングラフフィックスはあくまでグラフィックス、つまり写真に限らずイラストや図形、文字などに動きをつけた動画のことを指します。
一方スチルモーションはスチル、つまり写真を意味する言葉であるため、モーショングラフィクスよりもさらに限定的な意味合いを持ちます。
スチルモーションの特徴
ここでは、スチルモーションの動画としての特徴について、その他の動画に比べて一体どんな違いがあるのかと言う視点から解説します。
対象物の見た目がくっきりと表現される
冒頭でも述べたように、スチルモーションでは対象となる商品や物体の見た目をくっきりと表現することができます。編集の仕方によっては、スチルモーションの動きをより滑らかに見せることでまるで実際に撮影された動画かのように見せることができますが、元々の素材は一枚ずつ撮影された写真です。
よって、動画のように映像が滑らかに流れるというよりは、一枚一枚に存在感があるため、対象物の見た目の印象をわかりやすく、そしてくっきりと表現することができます。
解像度が高い
写真が元の素材であることから、写真が持つ高い解像度をキープしたまま動画を作ることができます。
上記の「対象物の見た目をくっきりと映し出す」という観点と似通った部分がありますが、写真を動画内で使用することによりそのイメージのシャープさを際立たせ、対象物の存在感をより強く表現することができます。
見た目をシャープに見せることで商品の良さが伝わりやすいようなものは、スタンダードな動画の撮影ではなくあえてスチルモーションを表現技法として取り入れることがあります。
また、スチルモーションの中にもあまり動画に動きを加えず、写真をスライドしていくだけのものもあります。
こういった場合は、動画としての魅力を発信したいというよりは、元の写真素材のイメージを変えずにあくまで「写真そのもの」の良さを表現したいという意図があることが多いです。
そのため、このようなケースにおいても解像度を保持したまま動画を作ることのできるスチルモーションが採用されることがあります。
スチルモーションを動画活用するメリット
対象物の存在感を出したり、見た目をよりシャープにできるなどといった特徴を持つスチルモーションですが、ここではこのスチルモーションを動画活用することによって得られる具体的なメリットについてご紹介します。
手作り感を出すことができる
まず一つ目は、スチルモーション動画を活用することにより、動画を通して手作り感を表現することができます。
スチルモーションにも様々な表現の方法がありますが、スチルモーションの一つ一つのトランジションをあえてずらしながら作ることで、手の込んだ温かい雰囲気の動画に仕上げることが可能です。
コストが割安になる傾向にある
時に大掛かりなセッティングが必要な動画や、制作に膨大な時間と手間、制作費を要するアニメーションなどに比べ、制作にかかる費用を大幅に抑えることが可能です。
写真撮影で著名なタレントや有名人を起用すればその分それなりにコストはかかりますが、そこから動画撮影に入るのと写真撮影に入るのでは、完成までにかかる時間と費用は圧倒的にスチルモーションの方が割安になると言えます。
個性のある動画が作れる
動画を活用したマーケティングが主流の今、スチルモーションであえてアナログ仕様のものを発信することで、個性の際立つクリエイティブ制作が可能になります。
現在ダイナミックな動画やアニメーションなど、いわゆる最新の技術を使って動画を綺麗に、かつ現代風に見せることを前提として動画制作が行われています。
そんな中、あえて静止画を使った動画を作ることで個性を出すことができます。そのため、同じパターンの動画制作に飽きてきた、競合ブランドとは一味違った訴求でインパクトを残したいと考えている企業などにはぜひ試してもらいたい手法です。
スチルモーションを用いた動画制作のポイント
動画の完成度を高めるためには、制作前の設計段階から編集、仕上げに至るまでいくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。ここでは、スチルモーションを用いた動画制作のポイントを解説します。
写真のクオリティを徹底的に高める
スチルモーションでは静止画そのものが動画の主役となるため、元となる写真のクオリティが最も重要です。ピントの甘さや照明のムラはそのまま動画の見え方に直結し、視聴者の印象を大きく左右します。
そのため、ライティングの配置を工夫し、被写体の質感や立体感を引き出すことが欠かせません。
また、ブランドや商品の世界観に合う背景を選び、不要なノイズや映り込みを排除することで、写真そのものの完成度を高めることができます。特に商品紹介で用いる場合は、ディテールまでクリアに映し出すことが信頼感につながります。
ストーリーボードで流れを設計する
単に写真を連続して並べるだけでは単調で、途中で飽きられてしまう可能性があります。そのため、撮影段階から「どの順番で見せるか」「どのカットで強調するか」を意識し、ストーリーボードを作成することが有効です。
例えば化粧品のプロモーションであれば、「箱を開ける→商品のアップ→使用シーン→仕上がりイメージ」という流れを設計し、写真を配置するだけでストーリー性を持たせることができます。
このように事前の構成設計を徹底することで、完成後の動画がスムーズかつ訴求力の高いものになります。
トランジションとテンポの工夫
スチルモーションは写真を切り替えるスピードやトランジションの種類によって印象が大きく変わります。短い間隔で切り替えればリズミカルで動きのある印象を与え、逆にゆったりとした切り替えにすれば落ち着いた高級感を演出できます。
さらに、音楽や効果音と写真の切り替えをシンクロさせると、映像全体にまとまりが生まれます。音と映像のタイミングを意識した編集は、視聴者に強い没入感を与えるための重要なテクニックです。
手作り感とプロフェッショナル感のバランス
スチルモーションの魅力の一つは「手作り感」ですが、過度にラフな仕上げでは視聴者に素人っぽさを与えかねません。そのため、意図的に温かみを残す部分と、丁寧に磨き上げる部分のバランスを取ることが求められます。
例えば、子ども向け商品の広告ではあえて手書き風のエフェクトを加えて親しみやすさを演出する一方、ジュエリーや高級ブランドの紹介動画ではスムーズで洗練されたトランジションを重視するといった調整が必要です。
ブランドイメージに沿った仕上げを意識することで、動画全体がメッセージ性を持ち、ターゲット層に響きやすくなります。
スチルモーションの動画活用事例
スチルモーションの特徴やメリットなど、文字で解説を入れましたが、特殊な技法なだけに実際に活用されているものを見なければあまりピンとこないという方も多いかと思います。
ここではそんな方々のために、スチルモーションを活用した動画事例を集めました。興味のある方はぜひチェックしてみてください。

こちらはピザの調理過程をスティルモーションで撮影、編集している動画事例です。
食材を自由に動かしスティルモーションで素材をつなぎ合わせることで、このように普通の動画にはない個性を表現することができます。

ストーリー性のあるスティルモーション動画の事例です。
この動画ではスティルモーションに加え手書きのシーンも含まれていることにより、さらに強い手作り感を感じることができます。

この動画ではスティルモーションが活用された動画広告がまとめられています。
食品や食器など、家庭にある商品をスティルモーションで表現することで、より親しみの持てる動画となっています。
まとめ
スチルモーションの特性やメリット、活用事例について紹介しましたがいかがでしたでしょうか。時代の流れとともに映像の技術も進化し、高画質で最新の技術を使った動画制作が主流になってきました。
しかし、このような時代の流れの中であえてスチルモーションのような技法を使うことで、競合と差を付けることが可能です。スチルモーションでの動画制作を検討中の方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。