はじめに
動画は、複雑な内容や抽象的なイメージも分かりやすく伝えることができます。食品産業や食品メーカーなどの企業は、映像の力を借りることで「美味しそう」という印象を与えたり、企業の取り組みを明確に伝えたりできるメリットがあるでしょう。
この記事では、食品業界が動画を利用するべき「商品プロモーション」「企業プロモーション」「レシピ紹介」「コンテンツマーケティング」としての活用方法をご紹介します。それぞれ動画の特徴や事例を踏まえて解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
商品プロモーション
一口に商品のプロモーション動画と言っても、表現方法は様々あります。美味しさを伝えたいのか、印象に残したいのか、話題性を重視するのか、目的によって演出の仕方は異なるでしょう。目的別の活用方法を4つご紹介します。
美味しそうに見せる
食べ物の美味しさを伝えるためには、シズル感を出しましょう。シズル感とは、食欲をそそる表現です。例えば、熱々の鉄板に載っているハンバーグが「ジュー」と焼ける音や湯気、ビールの泡が「シュワシュワ」と弾ける様子などがあげられます。このような演出によって視覚や聴覚に訴えかけ、見た人が食べたくなる映像をつくることができるのです。
「伊藤園公式チャンネル」の例では、粉末ドリンク「抹茶ラテ」の作り方を簡単に動画で解説しています。
映像を用いることで、作り方を分かりやすく説明できるのはもちろん、ミルクを注ぐ音や氷が「カラカラ」となる音によってシズル感も表現しています。人物が登場せず、20秒程度の短い動画ですが、商品の作り方や美味しさを伝えるには十分な動画です。
扱う商品によって演出方法は変わってきますので、自社製品を一番美味しそうに、表現できる演出を考えましょう。
日常での利用シーンを想起させる
何気ない日常の中で商品を利用している様子を映すことにより、視聴者は利用シーンをイメージしやすくなります。
こちらは、「Glico Japan江崎グリコ 公式」チャンネルで公開されている、セブンティーンアイスのプロモーション動画です。
高校生を出演者とし、学校帰りにみんなでアイスを食べる様子を映しています。学生の学校生活に寄り添いつつ、商品を身近に感じてもらうプロモーション動画といえるでしょう。
話題性を重視する
SNSが流行している現代、話題性を重視した動画は拡散される可能性が高く、商品のプロモーションとして大きな効果があります。
視聴者の印象に残す
キャッチーなメロディーをつけたり、商品名を何度も繰り返したりすることで、見た人の記憶に定着しやすくなります。
「株式会社ヤクルト本社 公式チャンネル」では、オリジナルの楽曲を付けた、飲むヨーグルト「ジョア」のプロモーション動画を作成しています。
株式会社ヤクルト本社 公式チャンネル:https://www.youtube.com/channel/UCzK0CSJ6CFk2t2ci2vWZu7A
思わず口ずさんで、一緒に踊ってしまいたくなるような躍動感があるでしょう。このように、メロディや踊りによって視聴者の心を掴む動画も、プロモーションとして効果的です。
企業プロモーション
企業の業務内容や取り組みは、文字や画像だけではなかなか理解しづらいでしょう。そこで、映像を用いることで、より正確に伝わりやすくなります。
「企業の何を伝えたいのか」その内容に合わせて、3つの活用方法をご紹介します。
企業の案内をおこなう
企業案内について動画を作成することで、企業のプロモーションとなるだけでなく、採用活動など、業務内容を説明したい場面でも活用できます。
「久原本家kubarahonkeチャンネル」では、久原本家グループについて説明した動画を作成しています。
動画内では、企業の歴史、業務内容、商品ラインナップなどを紹介。同内容を文章で伝えようとしても、なかなか伝わりづらく、聞いている側が飽きてしまいかねません。実際の仕事風景を映すことで、より印象に残りやすく、こだわっているポイントが伝わりやすくなるでしょう。
安全性をアピールする
食品を扱う企業は、購入者へ安全性と透明性をアピールすることで企業の信用に繋がります。
しかし、ホームページや店頭のPOPで解説していても、なかなかお客様へ響かなかったり、複雑な内容で伝わりづらかったりすることがあるでしょう。そこで、動画を利用することで、より分かりやすく具体的に訴えることができるのです。
「マクドナルド公式(McDonald’s)チャンネル」では、安全・安心への取り組みを動画でアピールしています。
働いている人や工場の映像を映すことで、視聴者はイメージしやすくなります。合わせて、適宜グラフや図を活用し、説得力のある動画内容になっているといえるでしょう。
商品のこだわりを伝える
食品の製造工程や購入者に届くまでの過程を見せることで、企業の想いが伝わりやすくなります。
例えば、「味の素KK公式チャンネル(AJINOMOTO OFFICIAL)」では、カップスープ「クノール®」に入っているクルトンへのこだわりを動画で解説しています。
ただ、「クルトンにこだわっています」と言葉で伝えるよりも、実際にパン工房で丁寧に焼き上げている様子を映すことで、視聴者に説得力を持って訴えることができるのです。
また、パンを捏ねる様子や丸めるシーンは、視聴者にとってなかなか見る機会のない新鮮な映像です。このような演出によって興味を引くことができ、「見たい」「面白い」と思わせるような動画に仕上がっています。
レシピ紹介
自社商品を使った料理や調理方法などを紹介する、レシピ動画もおすすめです。
「ミツカン公式チャンネル」では、調味料「味ぽん」を利用したレシピ動画を公開しています。
必要な材料や調理のポイントなど、重要な部分にはテロップを入れることで分かりやすい動画となっています。また、再生時間をなるべく短く抑えて、サクッと見てもらえるようにすることもポイント。視聴者が「簡単そう」「作ってみたい」と思えるような構成にしましょう。
コンテンツマーケティング
企業や商品のアピールに直接的に繋がる内容ではなくても、読者にとって価値あるコンテンツを提供することは重要です。継続的な発信を通して、見込み顧客との関係性を構築し、最終的にはファンとして定着させられる可能性があります。
「アサヒグループ食品公式YouTubeチャンネル」では、自社で扱っているベビー用品の顧客に向けて、プレママ体操に関する動画を公開しています。
離乳食や粉ミルクなど、自社商品への誘導に直接的に繋がるコンテンツではありません。しかし、肩こりや腰痛など、妊婦の抱える悩みに焦点を当て、顧客に役立つコンテンツを配信することで、顕在顧客を獲得できるチャンスがあるでしょう。ユーザーが求めるコンテンツをユーザー起点で考え、有益な情報を提供することが重要です。
まとめ
このように食品産業・食品メーカーの動画活用法は、様々な種類があります。誰に、何を、どのように、訴求したいのかによって、演出や訴求内容が変わるため、作成前に明確にすることが大切です。
より美味しく見せるための映像や視聴者を魅了する完成度の高い動画を制作するためには、プロの技術に頼ることも1つの手法になります。動画制作会社に依頼することで、品質を担保しやすくなるでしょう。今回とりあげた企業の事例を参考にして、動画を有効に活用してみてください。