医薬品の動画活用は主に患者向け
全ての患者は医薬品の使い方や知識を知っているのでしょうか。
医薬品の使い方や知識は医師か薬剤師、または使用経験のある人や興味を抱いて勉強した人が知っているでしょう。
初めて使う医薬品を処方された際には医師や薬剤師から説明を受けると思いますが、中には忘れる人がいるかもしれません。
一度使い方を忘れても復習できる環境を作るために、医薬品の使い方を説明した動画をアップロードしておくと良いでしょう。こちらでは医薬品に関する動画活用の事例をご紹介いたします。
患者向けの動画活用
医薬品の使い方を伝える
例えば医師や薬剤師ではない人が初めて医薬品や医療機器を手にした時、説明書だけで使い方を全て把握できるのでしょうか。
医師や薬剤師が教えていると問題ありませんが、教えた内容を患者が忘れる可能性もあります。または理解力の高い患者であれば、説明書を読むだけで対応できるのかもしれません。
教えた内容を忘れた、説明書では解決できない場合のために使用方法を動画としてアップロードすると良いでしょう。誰にでも伝わる動画を準備しておくと、使い方を教える手間を減らせます。
参考事例として独立行政法人環境再生保全機構がアップロードした吸入器の使い方。
ナレーションと映像で吸入の手順を伝えており、初めて吸入器を使う人や久しぶりに使う人に向けて作られた動画です。最初に吸入手順の全てを表示し、後から手順毎に細かく説明をしています。
医薬品の知識を伝える
医薬品は服用する際に組み合わせの悪い食品があります。
例えば抗菌薬や抗生物質は、牛乳やヨーグルトと組み合わせてはいけない。
胃薬は炭酸飲料などと組み合わせてはいけない。
それぞれ組み合わせてはいけない理由は、医薬品の効果を弱めてしまう恐れがあるからです。他にも医薬品の副作用を強めてしまう組み合わせもあり、知っていると危険を回避できます。
患者に誤った医薬品の使い方をしないようにするため、医薬品の知識を伝える動画を挙げておくのも良いでしょう。
参考事例としてバイエル薬品株式会社がアップロードした医薬品の知識動画。
内容としては医薬品のベネフィット(効能)とリスク(副作用)を分かりやすく説明した動画です。私たちが口にする医薬品は効能に目が行きがちですが、どんな薬でも副作用が出てくる可能性があると伝えています。医師は医薬品の効能と副作用のバランスを考えて処方しているため、自己判断で薬を口にするなと伝える意図を感じられます。
医薬品に関わる制度を知らせる
制度は気付いたら設けられている場合が多いです。
たとえ設けていたとしても発表は一部のページか、一時的にニュースで取り上げられているくらいです。いずれも人の目に届く範囲は狭く、全国民に情報が行き渡らない場合が多いでしょう。情報格差を無くすためにも、動画による制度の告知は大切です。医療関係者から説明がなかったとしても、動画で制度の存在を知らせることができます。
参考事例として日本薬剤師会がアップロードした制度の紹介動画。
『医薬品副作用被害救済制度』と呼ばれる制度を紹介する動画で、患者の負担を減らしたい意志が見える内容です。実際に医薬品を正しく服用していても副作用が起きたとしましょう。医師や薬剤師、受付などから制度を聞かされていなかった場合、この動画の存在は患者の助けとなるでしょう。
ジェネリック医薬品を薦める
医薬品には新薬とジェネリック医薬品の2種類があるのはご存じでしょうか。
新薬は研究から臨床開発までを経て作られた医薬品。対してジェネリック医薬品は新薬の特許が切れて開発コストと同時に薬の代金が安くなった医薬品です。
新薬と同じ成分で同等の効き目を持っているので、使用する医薬品はジェネリック医薬品がお得といえるでしょう。しかし、ジェネリック医薬品を使用した経験がない人は、よく使われる医薬品と何が違うのか分かりません。
違いを説明するために動画活用するのも良いでしょう。
参考事例として厚生労働省がアップロードしたジェネリック医薬品の特徴を紹介する動画。
新薬として販売していた医薬品がジェネリック医薬品となり、薬の代金を減らせる利点を伝えています。
患者以外に向けた動画活用
薬剤師の学習動画
患者以外に向けた医薬品を扱った動画活用は、薬剤師の学習が挙げられます。
例えば目の前の患者に処方する医薬品を選ぶ判断ポイント。慣れていない薬剤師をサポートする形でベテランと患者を診るとなると、一定期間は仕事の効率を下げなければなりません。事前に学習できる動画があると、1人立ちするまでの期間を減らせる可能性があります。
参考事例として医療者が利用する医学情報サイトCareNetがアップロードした服薬指導の動画。
CareNetが販売する服薬指導をまとめたDVDのサンプル動画ですが、患者への服薬指導の失敗例と成功例が本編に収められています。医薬品での治療は人の体に関わるので、間違った対応は無くさなければなりません。服薬指導のポイントを薬剤師や医師が知るために、動画を使うのも良いでしょう。
医療関係者に伝える動画として使う
患者に医薬品の使い方や知識を教えるように、医療関係者に向けた動画を作るのも良いです。
例えば国が設けた制度や新薬。新しい制度は内容、新薬は効能と副作用を知らなければ扱うのは難しいです。また、新しい医療機器を使う際にも使い方を知らなければ、所持していても意味はありません。手早く使い方などを伝える手段として動画を活用すると良いでしょう。
参考事例として独立行政法人医薬品医療機器総合機構がアップロードした制度の紹介動画。
前述した『医薬品副作用被害救済制度』を医療関係者向けに作成された動画です。事例を1つ挙げながら、予想できない薬害が発生した際に患者や遺族の方に制度を紹介してくださいと訴えています。
医薬品の紹介
医薬品の紹介動画は患者に限らず、健康や日頃の症状に悩みを持った消費者に向けても使えます。
多くの人に見てもらいやすいのがテレビCMやYouTubeやSNSなどで使う動画広告。使用シーンや効能を上手く伝えられると、売り上げ向上につなげられます。
参考事例として伊東薬局の代田橋駅前がアップロードした商品説明動画。
伊藤薬局が売っている医薬品をプレゼンテーションする形で伝える動画構成です。アップロードした伊藤薬局は通販サイトもあり、自分の肝臓を心配した人がどこでも購入できる状態を構築しています。
医薬品を扱う会社の紹介動画
医薬品に関係あるのは患者と医師や薬剤師だけではありません。
医薬品を医師や薬剤師に届ける製薬会社にも関係はあります。医薬品を扱った会社の紹介や求人に動画を採用するのも良いでしょう。
参考事例としてホシ薬品プラス株式会社がアップロードした会社の紹介動画。
ホシ薬品プラス株式会社は置き薬を中心に健康食品や化粧品の販売を行っている会社です。置き薬の営業光景と社員のインタビューを映しながら、どのような会社であるかを伝える動画構成です。
医薬品の動画制作の際に注意する点
医薬品に関する動画制作は、視聴者に正確な情報を伝える重要な手段です。正確性や信頼性を損なわないよう慎重に設計する必要があります。以下では、医薬品の動画制作の際に注意する点を解説します。
正確な情報の提供
医薬品動画の最大の目的は、視聴者に正確な情報を伝えることです。誤った情報や曖昧な表現は視聴者を混乱させるだけでなく、健康被害につながる可能性もあります。制作前に医療従事者や専門家の監修を受け、台本の内容を精査しましょう。
また、データや統計情報を使用する場合は、信頼できる出典を明記することが重要です。これにより、視聴者が情報を確認しやすくなります。
視聴者層に合わせた表現
患者向けと医療従事者向けでは、動画の内容やトーンが異なります。患者向け動画では、専門用語を避け、わかりやすい表現を使いましょう。アニメーションや実演映像を取り入れることで、視覚的に理解しやすくなります。
一方で、医療従事者向けの動画では、具体的なデータや専門的な内容を含めることで、実務に役立つ構成にする必要があります。
わかりやすい構成と視覚的補助
視聴者が理解しやすい動画にするためには、情報を段階的に伝えることが重要です。冒頭で全体の概要を説明し、その後、詳細を順を追って伝える構成が効果的です。
また、複雑な内容を伝える場合は、図解やアニメーション、実演映像などを活用すると、視覚的に補強できます。視覚的な補助を取り入れることで、視聴者が内容を記憶しやすくなります。
字幕や音声の配慮
字幕は動画視聴の利便性を高めるだけでなく、聴覚障害のある方や、音を出せない環境で視聴する方に配慮する上でも欠かせません。字幕は簡潔で正確に情報を伝えるよう工夫しましょう。
また、ナレーションのトーンは柔らかく親しみやすいものが好まれます。特に患者向けの動画では、安心感を与える音声が効果的です。
情報の最新性と更新
医薬品に関する情報は、法規制や研究結果によって変化することが少なくありません。公開する動画が最新の情報に基づいているかを確認し、必要に応じて定期的にアップデートを行うことが重要です。
特に新薬や制度に関する動画は、古い情報が誤解を招く可能性があるため、注意深く管理しましょう。
まとめ
医薬品に関する動画活用の事例をご紹介しました。
医薬品を使い慣れている患者でなければ、大半の人は使い方が分かりませんし、知識もありません。誤った使い方をしない、または患者に損させないためにも医薬品に関する動画は作っておくと良いでしょう。
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