動画教材が持つメリット
動画教材というのは、名前どおり動画を用いた教材のこと。動画教材が用いられる背景には5つのメリットが考えられますが、一体どのような内容なのでしょうか。
1. 具体的にわかりやすく伝えられる
動画全般に当てはまることですが、口頭や文章、画像と比べて動画は具体的にわかりやすく伝えることができます。例として運転に関する授業の場合、口頭だけだとどのように操作すればいいのかいまいちイメージができません。また、そのイメージ内容も一人ひとり異なっている恐れがあります。
しかし、動画教材であれば実際に運転している様子を見せながら説明できるため、一人ひとりのイメージが異なることがありません。その上、具体的にわかりやすく伝えられるため、教えている内容についていけなくなってしまう可能性も減らせます。
2. 気軽に復習できる
動画教材は何度も見直すことができるため、気軽に復習できます。復習ができる環境がそろっていれば、気になったときにすぐ見直すことが可能。結果として、教材内容の習得化につながります。
また、動画教材を多くの人が閲覧できるように設定しておけば、社員全員に動画内容を伝えられます。地方や海外で働いている社員にも教えられるため、全社員向けに何かを伝えたいときにもぴったりです。
3. 時間や場所を気にせず勉強できる
上記で述べたように、動画教材を多くの人が視聴できるように設定しておけば、時間や場所を問わず視聴できます。例えば、寝る前や通勤中など、ちょっとした時間を有効活用できるため、一人ひとりのペースに合わせた学習ができます。
また、動画教材であればモニターだけではなく、スマホやタブレット、PCから視聴することも可能。さまざまな媒体で視聴できるからこそ、教材に対する心理的ハードルを下げることができます。
4. コスト削減につながる
もし何かを教えようとして研修やセミナーを行う際、会場代や資料の印刷代などさまざまなコストがかかってしまいます。そのため、予算が少ない場合にはどうしても厳しくなってしまうでしょう。
しかし、動画教材の場合は一般的な研修やセミナーよりもコストを抑えられます。上記で述べたように、動画教材は場所や時間を気にせずに視聴することが可能。その上、1回制作すれば何度も活用できるため、長期的に考えると研修やセミナーよりもコストがかかりません。
5. 学習内容の質を保てる
一般的な研修やセミナーの場合、講師の質や会場の雰囲気によって教え方や学習スピードが変動する恐れがあります。そうなってしまうと、受講者の理解度に差が生まれてしまうかもしれません。
しかし、動画教材の場合は常に一定の質を保った内容のため、理解度の差が生まれにくいというメリットを持っています。講師によって教え方が異なることもないことから、学習内容の質を保ちたい場合にも向いています。
動画教材のデメリット
動画教材は多くのメリットを持つ一方で、いくつかのデメリットも存在します。
1. 双方向性が乏しい
動画教材は一方向的な情報伝達手段であり、リアルタイムでのやりとりが難しい点が挙げられます。視聴者が疑問を抱いても、その場で質問して解決することができないため、理解が不十分なまま次の内容に進んでしまう可能性があります。
特に複雑なテーマや個別に対応が必要な内容では大きな課題で、対面形式の研修やセミナーに比べて学習体験の質を制限する要因となります。
2. 制作にコストと時間がかかる
動画教材の制作には、企画、撮影、編集、ナレーションなどの多くの工程が必要です。高品質な動画を作成しようとすると、専用の撮影機材や編集ソフトウェアの使用、あるいは専門家の協力が必要になるため、他の教材形式と比較してコストが高くなります。
また、制作期間も長くなる傾向があり、緊急性が高い場合には対応が難しいという側面もあります。特に初めて動画教材を作成する場合、慣れない作業が増えることでさらに時間がかかることがあります。
3. 更新が難しい
動画教材は、完成後の内容修正が容易ではありません。例えば、法律や業務手順の変更、使用するデータや事例の更新などが必要になった場合、編集作業や場合によっては再撮影が求められることがあります。
特に長尺の動画や複雑な内容が含まれている場合、修正が必要な箇所だけを変更するのが難しく、全体を作り直さなければならないケースもあります。この更新の難しさは、常に最新の情報を提供する必要がある分野において、動画教材の大きな課題となります。
4. 視聴環境に依存する
動画教材の視聴には、安定したインターネット接続や対応するデバイスが必要です。特に通信環境が整っていない地域では、動画の再生が途切れる、画質が低下するなどの問題が発生する可能性があります。
また、大容量のデータを扱うため、視聴者側の通信コストが高くなる場合もあります。これらの環境要因によって、視聴者が教材にアクセスできない、もしくは快適に視聴できないという事態が生じることがあります。
5. 集中力の維持が難しい
動画教材は視聴者の集中力に大きく依存するため、長時間にわたる動画や単調な内容は視聴者の興味を失わせる可能性があります。特に内容が一方的な説明に終始している場合、視聴者が途中で視聴を中断したり、画面を見ながら別の作業をしたりすることも少なくありません。
また、動画のテンポや構成が視聴者に合わない場合、注意が散漫になり、学習効果が十分に得られないことがあります。
動画教材を制作する上でのポイント
動画教材を実際に制作する際には、いくつか知っておくべきポイントがあります。効果的な動画教材を制作するためにも、ぜひチェックしてみてください。
ターゲットとゴールの明確化から始めよう
動画教材を制作する前に、まずはターゲットとゴールをハッキリさせることから始めましょう。どのような人に視聴してもらい、動画を通じてどのようになってもらいたいのか決めておくことで、動画の内容を決めていくことができます。
例えば、
「社会人として恥をかかないためにも、新入社員にビジネスマナーを覚えてもらいたい!」と考えていることにしましょう。この場合、ターゲットが新入社員でゴールがビジネスマナーを使いこなせるようになることとなります。その後はゴールから逆算するような形で内容を決めていけば、自然に動画教材の構成が出来上がるでしょう。
実際の動作を見せながら解説する
操作方法や動作に関する動画教材の場合は、実際に教えたい内容を実践しながら解説していくのがおすすめ。実際に動作を見せることで、具体的にどのようにすればいいのか把握できるようになります。
例として上記で登場したビジネスマナーであれば、名刺の渡し方やおじぎなどを実際に行った動画を見せることで、どのような動作が正しいのか理解できます。その上、お手本があれば真似するだけですぐに使うことが可能。ビジネスマナーを効率よく習得できます。
質問への対応も考えておく
動画教材には、復習のしやすさやコスト削減などさまざまなメリットがあります。しかし、残念ながらデメリットもあり、その1つがその場での質問に対応できないことです。一般的な研修やセミナーの場合、その場での質問に対応できます。しかし、動画教材は学ぶタイミングが一人ひとり異なることもあるため、どうしてもすぐに質問への回答ができません。
だからこそ、動画教材を制作する際は質問への対応も考えておくようにしましょう。例えば、質問用のメールアドレスを伝えておき、そこに気になったことをメールで送ってもらうという方法が挙げられます。また、視聴後にアンケートを答えてもらうという方法もおすすめです。
動画教材における主な事例
動画教材を制作するとなった際、いくら上記のポイントを覚えていたとしても、なかなか思うようなものができないかもしれません。もしそうであれば、事例を確認してみるのはどうでしょうか。
ストーリー形式の動画教材
ストーリー形式の動画教材は、出演者に共感してもらいながら視聴してもらうことが可能。感情を揺さぶる動画は印象に残りやすくなるため、動画で学んだ内容を覚えてもらいやすくなります。その上、ストーリーに従って展開することにより、動画で伝えたいことを順序よく教えられます。
このようなストーリー形式の事例として、文部科学省の動画教材が挙げられます。文部科学省ではインターネットやゲームに関する動画教材を多数制作。ストーリーを交えつつ紹介することで、リアリティ感を演出しています。
有名な人物を起用した動画教材
動画教材では、研修やセミナーのように講師が教えながら展開されるケースもあります。その上で講師が有名な人物や実績のある人物であれば、権威性のある動画となるだけではなく、興味を持って最後まで視聴してもらいやすくなります。
このようなケースの事例は、JAXAが挙げられます。JAXAでは宇宙活動で得られたさまざまな知識や技術を用いた教育を実施。動画教材も制作しており、実際の宇宙飛行士が出演している動画もあります。
操作方法を見せながら解説する動画教材
動画教材の場合、実際の操作方法を見せながら説明できるため、視聴者は真似しながら覚えることができます。例として動画編集ソフトや画像編集ソフトなどで有名なAdobeの場合、以下のように実際の画面を見せながら操作手順を解説しています。
アニメーションを使った動画教材
動画教材は実写だけではなく、アニメーションを活用しても問題ありません。アニメーションの場合は、実写ではできないような演出ができるため、目に見えないサービスを紹介する上で役立ちます。例としてラックセキュリティアカデミーの場合、情報セキュリティという目に見えない存在をアニメーションで解説しています。
動画教材で新しい学び方を
今回は、動画教材に関するメリットや制作時のポイントなどを紹介しました。動画教材にはさまざまなメリットがあり、実際に活用されているケースもあります。そのため、もし動画教材を取り入れたいのであれば、この記事で紹介した制作時のポイントを踏まえつつ、実際に作ってみてはどうでしょうか。