紳士服業界の現状とは?
紳士服やスーツを扱う紳士服業界の現状とはそもそもどういった状況なのでしょうか?紳士服業界の基礎知識とともに紹介していきましょう。
国内には大手紳士服企業が4社あり、『青山商事』『AOKI』『コナカ』『はるやま』が該当します。大手4社の近年の業績を見ると2014年~2017年にかけては緩やかに黒字幅を広げていました。
しかし2017年以降はスーツ離れや節約思考が強まり、2014年の半分ほどの売り上げに減少してしまっています。
各社は売上回復のためにオーダースーツ事業への参加やオフィスカジュアルへの対応などを試みるものの、他社と事業かぶりをするため、競争激化と苦戦を強いられています。
またコロナの影響も受けており業界全体としては厳しい状況に陥っています。
コロナの影響を受けた紳士服業界
ではコロナの影響を受けた紳士服業界はどのように変化したのでしょうか?詳しくみていきましょう。
3度の緊急事態宣言を受けた紳士服業界は、購入頻度の高くないスーツ=節約対象となったり、テレワークによる若者のスーツ離れが加速しました。
具体的にはテレワーク、クールビズなどが様々な業種に取り入れられたことで今までスーツが必要な職種の方ですらスーツの機会を失ってしまいスーツ離れが加速しています。
一方、コロナ下であっても成功を収めているスーツ企業もあります。そういった企業の共通点として挙げられる点が『オーダースーツ』『スーツのカジュアル化』への取組みになります。
ではそれぞれのポイントごとの詳細にせまりましょう。
コロナ下で成功するポイント1『オーダースーツ』
コロナ下でも人気を博しているのが『オーダースーツ』になります。『オーダースーツ』の良さはいくつかあり、
・自分のサイズに全てピッタリである
・デザインなどのカスタマイズの柔軟性
が代表的です。
今までのスーツの主流はサイズ毎の型があり、大量生産する仕組みでした。
そのように作られた製品は安く提供でき、広い顧客を対象にできるメリットを持つものの、人によって『体のパーツサイズが合わない』『バランスが悪く不格好』などの不満が生まれていました。
しかしオーダースーツは違います。体のサイズピッタリのスーツを用意してもらえるため、こういった不満が解決されます。
ただオーダースーツにも欠点があり、全ての寸法を一から図るため時間やコストがかかってしまうデメリットもあります。
そういった課題を踏まえて、最近のオーダースーツは低価格に抑えたサービスが登場し、人気が急上昇しています。
低価格、それほど多くの時間を要しない『オーダースーツ』サービスを提供できるようになった事、これがコロナ下でも紳士服業界で成功している秘訣の一つです。
コロナ下で成功するポイント2『スーツのカジュアル化』
2つ目のポイントは『スーツのカジュアル化』になります。スーツ離れの原因として若者がスーツを着る機会が減ってきてしまった事やスーツを要求しない風潮になってきたことが挙げられます。
その打開策として各企業は"スーツほどかしこまらず”、”職場でも使える綺麗めな服”である『カジュアルスーツ』を登場させました。
それはスーツ避けをしている若者だけでなく、スーツが必要ない業界にまで影響を与えました。
その結果様々な職場で作業服のように活用され、紳士服業界の売上に大きく貢献するようになりました。
紳士服業界が強味をさらに活かすためには?動画活用がおすすめ?
コロナ下にも関わらず紳士服業界が成功しているポイントについて紹介してきました。これはアフターコロナにおいて紳士服業界が成功するポイントでもあります。
そんな長所を最大限に活かすためには動画活用が最適です。実際の動画活用例を参考にしていきましょう。
洋服の青山 カジュアルスーツ紹介3選動画

こちらは洋服の青山 公式チャンネルにて公開された動画で、2名の芸能人を呼んでオフィスカジュアルを体験してもらう内容になります。
多くの方が認知している芸能人をゲストとして招待することで、今までオフィスカジュアルの魅力に気づけなかった方へ効果的なアプローチをかけることができます。
また紳士服企業がどれほどオフィスカジュアルのバリエーションを準備しているかなどもアピールできるため良い動画活用の一つになります。
AOKI モデルがオフィスカジュアルをプロデュース

こちらも同様にオフィスカジュアルを発信する動画になります。AOKIはyoutube内でAOKIスーツ局と呼ばれるチームを設立しており、AOKIの服を着た人気モデル達が面白い企画に挑戦し、スーツの魅力を発信しています。
有名な女性モデルを採用し、企画と共にオフィスカジュアルの魅力を発信することで女性がスーツに対して親近感を抱きやすくなります。
オーダースーツブランド「Re.muse」動画

今YouTubeで人気を博しているオーダースーツブランドの「Re.muse」がオーダースーツ納品までを追った動画になります。
オーダースーツを頼むお客様に密着し、スーツに袖を通した感想と共にオーダースーツの魅力を語っています。消費者の生の声を動画におさめているため、現在購入を検討している消費者にダイレクトなアピールをすることができます。
紳士服業界が動画を活用する際の注意点
動画は視覚的な訴求力が高く、商品やブランドの魅力を短時間で伝えられる強力な手段ですが、制作や発信方法を誤ればブランドイメージを損なうリスクもあります。
ここでは紳士服業界が動画を活用する際の注意点を解説していきます。
商品の品質や素材感を正しく伝える
紳士服は生地の質感や縫製、シルエットなど「実物を見てこそ分かる魅力」が多い商材です。そのため、動画では撮影環境やライティングにこだわり、実際の色味や光沢が歪まないよう配慮することが不可欠です。
編集段階で過度に補正してしまうと、消費者が手に取った際に「動画で見た印象と違う」と不信感につながりかねません。
特に高級ラインやオーダースーツの訴求では、素材のアップ映像や着用シーンを丁寧に取り入れることで、リアルな質感を伝えることが重要です。
モデルや演出のターゲット適合性
動画に登場するモデルや演出の方向性は、想定する顧客層に合わせる必要があります。例えば若年層にオフィスカジュアルを訴求するなら、人気の若手モデルやインフルエンサーを起用して軽快な演出にすると効果的です。
一方で、40代以上のビジネスパーソン向けには、落ち着いた雰囲気や信頼感を重視した演出が求められます。
起用する人物や演出がターゲットとずれると「自分向けではない」と感じられてしまうため、事前にペルソナを明確にし、動画のトーンを調整することが大切です。
過度な宣伝色を抑えて生活シーンを想起させる
視聴者は広告的な要素が強すぎる動画に対して警戒心を持ちやすい傾向があります。そのため紳士服の動画では、商品の機能や価格を前面に出すだけでなく「どのようなシーンで活躍するのか」を自然に見せる工夫が効果的です。
例えば「リモート会議でも好印象を与えるジャケットスタイル」や「休日にも着回せるセットアップ」など、利用シーンを具体的に描写することで、購買意欲を刺激しやすくなります。
ブランドストーリーを一貫して伝える
紳士服業界は競合が多く、価格や機能だけで差別化を図るのは難しい領域です。そのため動画を通じて「ブランドとして何を大切にしているか」を一貫して伝えることが求められます。
例えば「伝統的な仕立てを守りながら現代的なデザインを融合させる」「持続可能な素材を採用し環境配慮型ブランドとして訴求する」など、企業の哲学を明確に語ることでファンを獲得できます。
短期的な売上訴求だけでなく、長期的なブランド価値を高める視点が重要です。
紳士服業界の成功は動画活用マーケティング
以上のように紳士服業界の成功には動画活用をもって『オフィスカジュアル』や『オーダースーツ』などの業界の強味を発信することがポイントになります。
対象としたい消費者によって動画のゲストを変えたり、SNSのプラットフォームを変えるなどのひと工夫で大きな効果を得られます。
このようなマーケティングは若い社員が得意とするため、社内で若手を中心としたマーケティング部門を作るなども良い選択でしょう。
まとめ
さて今回は紳士服業界の動画活用について紹介してきました。
業界全体としてはマイナスの流れも目にしますが、成功を収めている部分は大きな成果をあげています。今回紹介した成功のポイントをおさえることで成功に一歩近づくでしょう。ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか?