紙のマニュアルを動画にする4つのメリット
動画マニュアルにはさまざまなメリットがあります。
それらのメリットに魅力を感じるのであれば、紙のマニュアルの動画化を本格的に検討するべきだと言えるでしょう。
紙のマニュアルを動画にすることで期待できるようになる4つのメリットについて解説していきます。
伝達方法が豊富で伝わりやすい
紙のマニュアルの場合、情報の伝達手段はテキストと画像、イラストのみです。
そのため、細かな作業になればなるほど情報を伝えるのが難しくなってしまう傾向にあります。
一方、動画マニュアルの場合だと、テキストや画像、イラストに加え、映像と音声を駆使することもできます。
重要な部分を紹介する際、動きのついたテロップや効果音を駆使して「ここは重要ですよ」と、伝えることも可能です。
機械の操作方法など、テキスト化しにくい部分のニュアンスが伝わりやすいというメリットもあります。
短い時間でより多くの情報を伝えられる
動画は、さきほど紹介したとおり、さまざまな方法を駆使して情報を伝えることができます。
そのため、短い時間でより多くの情報を伝えられるというメリットもあります。
1分の動画で伝えられる情報量をWebページに換算すると3,600ページ分にもなると言われているほどです。
マニュアルはボリュームが多くなってしまいがちなので、コンパクトにまとめられる点は、制作する側としてはもちろん視聴する側としても大きなメリットになります。
コストが抑えられる
動画マニュアルを作成する場合、撮影機材や
動画編集ソフトなど事前に揃えるべき機材がいくつかあります。
そのため、初期のコストはそれなりにかかってしまいますが、紙のマニュアルのようにその都度印刷する必要がないという強みもあります。
長い目で見た場合のコストを抑えられる点も、動画マニュアルならではのメリットだと言えるでしょう。
時間や場所を選ばず閲覧できる
紙のマニュアルはボリュームがあるため、持ち帰ったり持ち出すのに適していません。
マニュアルを社外に持ち出すのを禁止している企業も少なくないでしょう。
そのため、紙のマニュアルの閲覧は時間や場所を制限されてしまいがちです。
一方、動画マニュアルの場合、セキュリティに注意する必要こそあるものの、プラットフォームやツールを活用すればパソコンやスマートフォンを通していつでも好きな場所で閲覧できるという強みがあります。
紙のマニュアルを動画にする3つのデメリット
さまざまなメリットのある動画マニュアルですが、デメリットがないわけではありません。
「こんなデメリット聞いていなかった…」と後悔してしまわないためにも、紙のマニュアルの動画化を考えているのであれば、動画マニュアルのデメリットについてもきちんと把握しておくべきです。
動画マニュアルならではの3つのデメリットについて解説していきます。
制作するのに手間がかかる
動画マニュアルには、
・企画
・台本作成
・撮影
・編集
など、さまざまな工程があります。
特に厄介なのが撮影の部分で、思うような映像が撮れずに時間がかかってしまったり、編集する段階で素材が足りないことに気づいて撮影し直すことも少なくありません。
紙のマニュアルであっても制作にはそれなりに時間がかかりますが、動画マニュアルはより手間と時間がかかると考えておくべきです。
このデメリットを解消するには慣れも必要ですが、どれだけ効率的に作業を進められるかを考え、テンプレ化することが重要になります。
専門的な知識が必要になる
紙のマニュアルはパソコンで文字が打てるスキルを持ち合わせている人であれば誰でも作成できます。
テキストだけでなく画像を取り入れる作業が必要になったとしても、そこまで難しい作業ではありません。
一方、動画マニュアルの場合、「撮影に関する知識」と「動画編集に関する知識」が求められることになります。
撮影の知識については、映像のクオリティをそこまで求めないのであれば基本的な知識のみで済みますが、動画編集に関してはそれなりの知識が求められることになると考えておくべきです。
撮影した素材を切り貼りして一つの動画にしていくのはもちろん、「マニュアル」ということを考えると、テロップや画像の挿入などが必要になるケースも出てくるでしょう。
動画の撮影や編集に詳しい従業員がいない場合、これら基本的な知識を学びながら取り組むことになるため、時間がかかります。
機材を揃えるのにお金がかかる
紙のマニュアルの作成にはパソコンとWordなどの文章作成ソフトが必要になりますが、これらは企業であれば導入されている基本的な設備です。
そのため、追加で何かを購入する必要はありませんし、お金もかかりません。
一方、紙のマニュアルを動画にする場合は、撮影機材と動画編集ソフトの購入が必要になります。
マニュアルという動画の性質を考えるとそれなりのクオリティが求められるため、一眼レフカメラなどしっかりとした画のとれるカメラが必要になりますし、Premiere ProやFinal Cutなど定番の編集ソフトも必要になってくるでしょう。
また、それらのソフトを起動できるだけのスペックを持ったパソコンを用意しなくてはいけないケースもあります。
動画マニュアルの種類
動画マニュアルと一口に言っても、その用途や対象者に応じてさまざまな形式があります。製品や業務の特性に合わせて適切な種類を選ぶことで、学習効果を高め、視聴者の理解や行動を確実に促すことが可能になります。ここでは代表的な動画マニュアルの種類と特徴について解説していきます。
操作手順マニュアル
もっとも一般的なのが「操作手順」を解説するタイプです。機械やシステムの使い方を、画面の動きや機器の映像を交えながらステップごとに説明する形式で、業務マニュアルや製品の取扱説明書の代替として活用されます。
特徴は「視覚と聴覚で手順を追える」点にあります。文章や静止画だけでは伝わりにくい細かな操作やニュアンスも、実際の動作を映像で見せることで理解が深まります。
製造現場の設備操作、ソフトウェアの使い方、日常家電の基本操作など、幅広い領域で有効です。
トレーニングマニュアル
社員教育やスキル習得を目的とする「トレーニング型」も広く導入されています。新人研修や安全教育、接客マナー研修など、座学やOJTだけでは伝わりにくい内容を動画で補足するものです。
このタイプは、繰り返し視聴できる点が強みです。集合研修に比べて教育の均一化が可能で、従業員の理解度に応じて自分のペースで学習できます。
また、解説にクイズや確認テストを組み合わせることで、インタラクティブな学習体験を実現できます。
トラブルシューティングマニュアル
製品やシステムの利用中に発生するトラブルを解決するための「トラブルシューティング型」マニュアルも有効です。
「電源が入らない場合の確認方法」「エラーコードが表示されたときの対処法」といった内容を映像で提示することで、利用者は自分で問題を解決できるようになります。
これにより、カスタマーサポートへの問い合わせを削減し、対応コストの軽減にもつながります。顧客満足度を高めながらサポート業務の効率化を実現できる点が大きな魅力です。
業務フローマニュアル
社内業務の流れを整理した「業務フローマニュアル」は、複数人が関わる業務の効率化に役立ちます。
経理処理の流れや受発注の手続き、営業活動の一連の流れなど、文字では複雑になりがちな業務プロセスを動画で分かりやすく説明する形式です。
業務全体の流れを視覚的に理解できるため、新入社員や異動してきた社員でも短期間で業務を理解しやすくなります。また、標準化を推進するツールとしても有効です。
動画マニュアルの活用事例
紙のマニュアルの動画化に着手したいと考えているものの、「実際にどう取り組んでいけばいいのかわからない…」という方は、すでに動画マニュアルを取り入れている企業の活用事例を参考にしましょう。
動画マニュアルを取り入れている企業の活用事例を参考にすれば、どういった動画を制作すればいいかが見えてきますし、上手い見せ方などもわかるようになります。
動画マニュアルを取り入れている企業の活用事例をピックアップし、解説していきます。
株式会社クボタケミックス

工業用の製品を製造・販売している「株式会社クボタケミックス」。
その株式会社クボタケミックスの公式ユーチューブチャンネルにアップされているのが、こちらのマニュアル動画です。
こちらの動画では、EF接合の手順について映像やテロップをまじえながら解説されています。
専門的な機械の操作方法に関するマニュアルは、特に動画マニュアルとの相性が良いので、そういった業界の企業にぜひ参考にしてほしい活用事例の一つです。
Apple Japan
社内向けではなく、自社の製品を購入したユーザーに向けて動画マニュアルを用意しているのが、
iPhoneでおなじみの「Apple」です。
Apple Japanは、YouTubeの公式チャンネルで自社の製品の操作方法や活用方法に関する動画を複数アップしています。
動画は映像とナレーション、テロップで構成されたAppleらしいシンプルなものですが、必要な箇所をアップにするなど、理解のしやすさにフォーカスして作成されているのがよくわかります。
まとめ
紙のマニュアルを動画にするメリットについて紹介してきました。
動画マニュアルには紙のマニュアルにはないメリットとデメリットがあるため、紙のマニュアルを動画化するかどうかはメリットとデメリットをよく比較して決める必要があります。
マニュアルの作成にはとにかく手間がかかるためよく考えてから着手するべきではありますが、動画マニュアルがもたらしてくれるメリットはマニュアルの作成にかかる手間やコスト以上のものをもたらしてくれるはずです。
あわせて紹介した企業の活用事例を参考にしながら、ぜひ紙のマニュアルの動画化に着手してみてはいかがでしょうか?