動画の制作技法について
動画の制作技法は数多くあります。制作技法のほとんどは表現、撮影、編集の仕方などといったカテゴリーに分類でき、制作のゴールに合わせその中から適切な技法を選択していくことでクオリティの高い動画を制作することが可能になります。
中でも表現の仕方と大きく区切られるものはアニメーション、実写、モーショングラフィックスといった、動画の構造部分に直接関わるテクニックが多く含まれます。これらは動画が与える印象をガラッと変えてしまう要素であることから、動画制作の初期段階で十分に検討しておく必要があります。
ここではそんな動画制作の基礎となる「アニメーション」「実写」「モーショングラフィックス」といった代表的な3つの表現方法について深く掘り下げ解説していきます。
アニメーションとは
アニメーションとは絵や立体物などをコマ撮りし、それらを繋げて映像を作る技法です。アニメーションは文字や絵などの情報を動画の中に入れやすく、商品紹介動画などわかりやすい動画を制作したい際に活用したい手法です。
アニメーションと一口に言っても様々な種類があるため、ここではアニメーションの種類について一つずつご紹介していきます。
キャラクターアニメーション
キャラクターアニメーションとは、キャラクターを制作しそれらに命令を与えることによって動きを作り出す映像のことを指します。パーツ分けされたイラストを組み合わせることによって動きを作り出し、滑らかな動きを表現できます。
2Dアニメーションと言う平面の映像の種類に分類され、アニメーションの中でも比較的簡単に制作でき、予算も低く抑えられる手法の一つです。特に複雑なシステムの説明などに向いています。
3Dアニメーション
3Dアニメーションとは、CGを使ってキャラクターなどのイラストに動きを加え、立体的な表現を可能にする動画制作手法です。縦軸、横軸、そしてX軸、Y軸、Z軸から成る奥行きの3つの面で作られ、平面の動きを表現する2Dアニメーションに比べ制作行程が複雑です。
制作のステップは大きく分けてまず三面図の作成を行い、モデリング、テクスチャーなどの設定、リギング、そしてレンタリングとなります。三面図では物体を側面、上部、正面から見た物体を描き、アニメーションの土台となるものを作成します。
モデリングではその土台から3Dの要素を付け加え、テクスチャーを付ける段階では表面の色や透過率などを調整します。そしてリギングでは最終段階となる動きを付け加え、最後にレンタリングでは出来あがった映像を書き出します。
3Dアニメーションでは実写では撮影できない映像を作り出せる点において高い利用価値があります。商業用の利用シーンとしては、完成前の建造物や商品の広告などがあげられます。
実写とは
実写動画とは実在しているもので制作する映像であり、アニメーションと違い撮影対象となるモデルやロケーションなどが必要です。ニュースやドラマ、実写映画など、実際に撮影されている映像は全て実写映像とカテゴライズされます。
実写動画のメリットは実際の映像を使用することからリアリティや臨場感があり、ダイレクトに情報訴求をすることが可能です。しかし実写映像には多くの場合モデルのキャスティングや機材の準備、ロケーションの確保などが必要となることから、撮影費に多額を要する場合が多いです。
また、準備する撮影のセットやキャスティングによって映像の印象が大幅に変わることがあるため、それらの要素を目的に応じて適切に準備できれば高い費用対効果を出すことが可能です。
しかしこれらの準備に失敗してしまった場合は、伝えたい内容が上手く表現できなかったり、予想とは異なるイメージの仕上がりになってしまったりと大きな損失が出るということも少なくありません。成功すれば大きな効果が出せる反面、同時に多大なリスクを伴うのが実写映像制作の特徴と言えるでしょう。
モーショングラフィックスとは
モーショングラフィックスとは、平面のグラフィックデザインに動きを加えて作り出される映像のことです。ロゴ、イラスト、写真などに動きを付けることができ、静止画と動画の中間に位置付けされます。
モーショングラフィックスを活用する主なメリットとしては、他の実写映像制作などに比べコストを安く抑えることができる点、言語が通じなくても映像だけで強いメッセージ性のある情報を伝えることができる点、要点を的確に伝えることができる点などがあげられます。
図形などの静止画だけでは伝えきれない情報を効率的に訴求することに向いており、企業メッセージや数字の多いデータなどをまとめて伝えたい際におすすめの動画の制作技法です。
このモーショングラフィックスもアニメーションと同様下記のように様々な種類があり、用途によって使い分けられます。
モーションインフォグラフィックス
インフォグラフィックスとは、情報やデータなどをモーショングラフィックスの中で表現し、より分かりやすく伝える動画のことです。プレゼンやシステム説明など、データ量が多く複雑になりがちな場面で使われることが多く、モーショングラフィックスの中でも企業利用が多い傾向にある動画制作手法でもあります。
情報量の多い資料を渡すよりも、モーションインフォグラフィックスを活用してテンポよく情報を伝えることで、よりユーザーの理解を深めることができます。
ロゴモーショングラフィックス
ロゴモーショングラフィックスとは、ロゴに動きを加えて情報を伝える映像のことを指します。動画の中でロゴに動きを加えることで、ブランドイメージを効果的にアピールできます。
これまでは静止画像として表示されることが一般的でしたが、今後動画がメインのメディアとなるに従いロゴモーショングラフィックスはさらに多用されていくと予想されます。
どの技法を選べばよいのか?
動画の制作技法はそれぞれ異なる特性があるため、目的や伝えたいメッセージに応じて選択すべきものです。ここでは、技法ごとの特性や活用場面について解説していきます。
アニメーション
アニメーションは、商品やサービスの機能を視覚的に分かりやすく伝えるのに適した技法です。特に、複雑な仕組みや抽象的な概念を説明する際にその力を発揮します。
例えば、新製品の特徴やサービスの仕組みを簡潔に表現するために、イラストや図解を動きで補足することが可能です。
アニメーションは視覚的な印象を操作しやすいため、教育的なコンテンツや視聴者の理解を促す内容に向いています。
2Dアニメーションは低予算で制作可能ですが、3Dアニメーションを利用すれば立体的でダイナミックな表現が可能になります。例えば、新製品のプロトタイプを立体的に見せることで、視覚的な説得力を高めることができます。
実写
実写動画は、現実世界の映像を使用することで視聴者にリアリティを与えます。商品の使用例や現場の雰囲気を直接映像で伝えることができるため、ターゲットの共感を引き出す効果があります。
例えば、企業のブランドイメージを紹介する際には、オフィス風景や社員のインタビューを交えた動画が有効です。これにより、企業の姿勢や雰囲気を視覚的に伝え、信頼感を醸成できます。
ただし、実写映像ではモデルやロケーション、機材の準備が必要で、予算やスケジュールに余裕を持つことが重要です。準備が適切であれば、視覚的な訴求力が高く、視聴者に強い印象を与える動画を制作できます。
モーショングラフィックス
モーショングラフィックスは、平面デザインに動きを加えることで情報を効果的に伝える技法です。静止画では表現しきれない動きを加えることで、複雑な情報やデータをシンプルにわかりやすく伝えることができます。
企業のプレゼンテーションやデータを多用する説明動画では特に効果的で、視聴者に要点を直感的に伝えられるため、ビジネス用途に最適です。
また、ロゴに動きを加えた「ロゴモーショングラフィックス」は、ブランドの印象を視覚的に強化し、記憶に残る動画作りに役立ちます。制作コストも比較的抑えられるため、予算を意識した動画制作でも活用しやすい技法です。
まとめ
動画制作技法であるアニメーション・実写・モーショングラフィックスについて解説しましたがいかがでしたでしょうか。
動画制作の基盤となる方法について知っておくことで、今後の動画制作においてはもちろん、広告マーケティング活動に役立てることも可能になります。今後の更なる動画メディアの需要増加に備えて、ぜひこの記事を参考にして動画制作に挑んでみてください。