動画コンテンツの充実を図る企業が増えている現在、YouTubeなどの動画サイトやXやInstagramなどのSNSを利用して、動画マーケティングを行っている企業は多くあります。
今回は子育てグッズを扱うベビー・キッズ業界で動画を活用するメリットやその方法、どのような動画があるかをご紹介します。動画制作を検討中の担当者の方はぜひ参考にしてください。
子育てグッズの動画を活用することのメリット・デメリット
まず、動画にはどのようなメリット、デメリットがあるかご紹介します。
メリット
商品の使用感や安全性を視覚的に伝えられる
育児グッズは「実際に使ってみないと分からない」といった声が多いジャンルです。ベビーカーの走行感、哺乳瓶の飲みやすさ、赤ちゃん用おもちゃの動きや音など、写真やテキストでは伝えきれない情報が多くあります。
動画であれば、これらをリアルに見せることができ、使い方の解説や安全性の説明も加えることで、購入前の不安や疑問を払拭できます。
「共感」を生むことでブランドの信頼性が高まる
育児は個人のライフステージに密着しているため、親としての不安や喜びに共感するストーリーを動画に込めることで、企業への信頼や愛着が生まれます。
実際に子どもを育てるママ・パパのインタビュー動画や、赤ちゃんとの日常を描いたドキュメント形式の動画は、「わかる」「自分と同じ」といった感情を引き出しやすく、ブランドの信頼性を高める効果があります。
購入前の判断材料としての価値が高い
育児用品を購入する際、ユーザーは「本当に自分の子どもに合うか」「使いやすいか」「長く使えるか」といった情報を慎重に比較しています。
動画であれば、商品の使い方や特長、他製品との違いを丁寧に伝えることができ、購入前の判断材料としての信頼性が高まります。ベビーカーのレビュー動画や、肌着の着せ方、育児グッズの収納方法など、具体的な使い方を紹介する動画は「知識」としての価値があり、コンテンツとしても長く活用できます。
顧客との接点を広げやすい
YouTubeやSNSでは、動画が拡散されやすく、新規顧客との接点を持ちやすいのが特徴です。特に育児情報を検索するプレママ層は、短時間で要点が分かる動画を好む傾向があります。
1分程度の簡潔な動画でも「使いやすそう」「これなら自分でもできそう」と思わせることができれば、そこからECサイトや店舗への導線をつくることが可能です。また、育児グッズに関しては「保存しておきたい」「家族と共有したい」というニーズも多く、再生回数が伸びやすいジャンルでもあります。
デメリット
撮影・編集にかかるコストと時間的負担
育児グッズは使い方や安全性を視覚で伝える必要があり、撮影・編集に手間がかかります。ベビーカーなどの多機能商品では、複数のカットや角度が求められ、外注すれば費用がかさみ、内製でも機材や人的リソースの負担が大きくなります。
対策としては、スマホと無料編集ツールで簡単な短尺動画から始め、徐々に社内にノウハウを蓄積していくことが効果的です。
赤ちゃんや子どもを扱う難しさ
赤ちゃんや幼児は感情や動きの予測が難しく、思い通りに撮影が進まないことも多々あります。長時間の撮影は現実的でなく、自然なシーンを撮るには撮影者の工夫が必要です。
無理に実写にこだわるのではなく、静止画やイラストにナレーションやBGMを組み合わせることで、撮影負担を軽減しつつ印象に残る動画を作ることができます。「赤ちゃん視点」の構成を取り入れることで、表現の幅を広げられます。
クオリティによるブランドイメージへの影響
育児用品は「安心・安全」が重視されるため、動画の品質がそのままブランドへの信頼度に影響します。映像が暗い、音が聞こえにくい、説明が不足しているなどの動画は、ユーザーに不安感を与えかねません。
完璧な映像美を目指すよりも、ターゲットであるプレママ・プレパパの「知りたい情報」を明確に伝える構成にすることで、信頼感と親しみやすさを高めることができます。
内容の更新が必要になるケースが多い
育児用品は商品の改良やモデルチェンジが頻繁にあるため、動画の内容がすぐに古くなってしまうことがあります。価格や機能説明など、変更の可能性がある情報は概要欄に記載し、動画本編はできるだけ長く使える内容で構成するのが理想です。
また、クラウド型の動画編集ツールを使っておくと、修正や差し替え作業もスムーズに行えるため、運用の柔軟性が高まります。
子育てグッズの動画制作はインハウスがオススメ
動画を制作するには大きく分けて2つの方法が考えられます。一つ目は専門の制作会社に依頼する「外注」という方法、二つ目は自社で内製する「
インハウス」です。
外注の場合は、プロへの依頼となるので制作費用が高くなってしまう可能性があること、インハウスの場合は、撮影や編集の機材の購入費用がかかることや制作ノウハウを積むまでに時間がかかってしまうことがデメリットといえるでしょう。
しかし、インハウスであれば初期費用以外をおさえることができ、社内で方向性を確認しながら進めることできるので効率的な制作が可能です。
そして、社内に動画制作のノウハウが蓄積されることで、動画のクオリティをあげることが期待できます。
また、インハウスで撮影や動画の運用について不安がある場合は、第三者のサポートを入れるのも有効です。弊社のサービスであるクラウド動画編集ツール「メディア博士」は、企画制作サポートも行っています。
インハウス化を希望される際にはぜひ検討してみてください。
子育てグッズの動画活用事例
では、子育てグッズを扱うベビー・キッズ業界ではどのような動画が活用されているのでしょうか。乳幼児用の育児グッズのショップをメインに動画活用事例を紹介します。
アカチャンホンポ
大阪市に本社をかまえるマタニティや乳児、幼児用品のチェーン店を運営する企業のアカチャンホンポ。大手コンビニチェーン・セブンイレブンの傘下企業でもあります。
アカチャンホンポは動画サイトYouTubeに公式チャンネルを持っています。
その中でも再生数の多いものがこちらのベビーカーの選び方のアドバイス動画です。(2021年5月現在)マタニティアドバイザーがベビーカー選びのプロであるバイヤーに、ベビーカーの違いや選ぶ際のポイントを聞いています。
質問形式で進むこの動画は、要所でアドバイザーが視聴者が疑問に思うであろうポイントを聞いてくれています。それに対し、バイヤーが商品のPRポイントを織り交ぜながら答えているので、ベビーカーの知識を深めつつ商品の魅力も知ることができます。
こちらは新生児肌着の着せ方の説明動画です。初めての育児で不安なことが多いであろうプレママ、プレパパを対象としています。
こちらも、「何を着せればいいのか」「一日に何回着替えさせればいいのか」など、プレママ・プレパパがきっと疑問に思うだろうことを動画内で解決してくれます。
概要欄にはアカチャンホンポの通販サイトURLや公式サイトURL、InstagramやXのURLが貼ってあり、自社サービスへの誘導を行っています。また、「#アカチャンホンポ」「#赤ちゃん」等のハッシュタグを使用し視聴者が検索しやすくするなどの工夫もされています。
Combi
乳児用のおもちゃなど、ベビー用品をメインに生産、販売している国内企業。アメリカ市場へも進出している大手です。
こちらもベビーカーについての動画ですが、この動画は「体験動画」で、プレママさんがCombi製品のベビーカーを実際に使用しているところを動画にしています。
衝撃吸収素材「エッグショック」がアピールポイントのベビーカーなので、街中で衝撃を受けやすい段差や石畳などをベビーカーで体験しています。
親しみのあるフォントを使い優しい雰囲気を演出、そして文字だけの場面の背景は企業カラーであるオレンジが使われています。1分40秒という短い動画なので見やすく、ブランドイメージも覚えてもらいやすい動画になっているのではないでしょうか。
ピジョン株式会社
ベビー用品を幅広く取り扱っている国内メーカーのピジョン株式会社。特に哺乳瓶ではトップブランドとも言われています。
出産直前のプレママにスポットをあて、日常生活の中で感じる不安や喜びなどをリアルにとらえたドキュメント動画。出産シーンもあります。母になるとはどういうことかを考えさせられる、メッセージ性の強い動画です。
商品や自社のPR動画ではなく、映像作品でもあるこのような動画は、企業としての信念などを表現できる動画であり、視聴者から企業への信頼にもつながります。企業理念などを動画という形で表現すれば、より思いが消費者へ届くことが期待できます。
ピジョン株式会社の商品「レンジでケーキセット」の作り方の説明動画です。軽快な音楽をBGMにテンポよくケーキができていきます。
1分弱の短い動画ですので、視聴者にこのケーキセットのアピールポイント
「簡単」「短時間」を伝えることができています。また、要所に入るポップな説明のテロップが、子どもと一緒に作れる楽しい雰囲気を演出しています。
まとめ
いかがでしたか。同じ子育てグッズを扱う企業でも、商品や伝えたいメッセージによってさまざまな動画の切り口があることがわかります。ぜひ、自社のオリジナリティあふれた動画を作成し、マーケティングへの活用を検討してみてください。