採用活動で動画を活用するメリットと期待できる効果
企業が自社の採用活動に動画を活用することで期待できるようになる主なメリットや効果としては、
・会社の雰囲気がより伝わりやすくなる
・人材のミスマッチを防げるようになる
・対象者に目を通してもらいやすいく印象に残りやすい
の、3点があげられます。
それぞれ詳しく解説していきます。
会社の雰囲気がより伝わりやすくなる
採用動画では、先輩社員に対してインタビューをおこなったり働いている様子を紹介したりすることがありますが、そういった映像を取り入れることで会社の雰囲気が伝わりやすくなります。
ホームページの採用ページでも会社の雰囲気を伝えることはできますが、写真やテキストよりも映像で紹介できる動画の方が圧倒的に雰囲気が伝わりやすいですし、動画を通して会社の雰囲気がしっかり伝わることで、ターゲットが抱えている漠然とした不安を解消してあげられるようになり、応募してもらいやすくなります。
人材のミスマッチを防げるようになる
企業の採用活動では、せっかく入社してくれた人材が数ヶ月も経たないうちに辞めてしまうケースも少なくありません。
これは人材のミスマッチによるものですが、会社の雰囲気や働いている社員の様子をよりしっかりと伝えられる採用動画を活用することで、「イメージしていたのと違う…」という理由での退職を防げるようになります。
対象者に目を通してもらいやすく印象に残りやすい
動画は、テキストのように文章を読む必要がなく、見ているだけで情報を得ることができます。
目を通してもらう際の心理的なハードルが低いので、視聴してもらいやすく、より多くのターゲットにアプローチできる可能性が高くなります。
また、映像や音声、テロップ、イラストなど、さまざまな表現方法を用いることができる点も動画の強みです。
さまざまな表現方法を用いることで、視聴者の印象に残りやすく、応募してもらえる可能性を高めることができます。
採用活動で動画を活用するデメリットと注意点
採用活動に動画を取り入れることは大きな利点がありますが、一方で注意しておかないと失敗につながるリスクも存在します。主なデメリットと注意点としては、
・制作コスト・工数がかかる
・ターゲットに合わないと効果が出にくい
・情報が陳腐化しやすい
の、3点があげられます。
それぞれ詳しく解説していきます。
制作コスト・工数がかかる
採用動画は一度撮影して終わりではなく、企画立案・撮影・編集・修正・配信といった工程を経る必要があります。撮影機材や外部の制作会社に依頼すれば多額の費用がかかることも珍しくありません。
また、社内で制作する場合も、社員がスケジュールを割いて出演したり、広報担当がシナリオを作成したりといった形で人件費や時間コストが発生します。
そのため、社内で動画を制作・更新できる体制を整えることが重要です。例えば、クラウド動画編集ツールを導入し、テンプレートを使って自社で撮影・編集・差し替えを行える仕組みを作っておけば、外注費用を抑えながら継続的に動画を改善できます。
ターゲットに合わないと効果が出にくい
採用動画は、誰に向けて発信するかを明確にしないと成果を出しにくいという特徴があります。新卒・中途・専門職・管理職など、求める人材像によって響くメッセージは大きく異なります。
例えば若手層には「働く楽しさ」や「先輩社員の成長ストーリー」が刺さりますが、管理職層にとっては「事業戦略」「キャリアの裁量」など、より具体的な情報が求められます。
ターゲット設計が曖昧なまま動画を制作すると、「誰にも刺さらない」「印象に残らない」という結果になってしまうこともあります。「新卒採用向け」「中途採用向け」「職種別紹介」などに分け、それぞれ訴求軸を変えると効果が上がります。
情報が陳腐化しやすい
採用動画は制作時点の内容を反映しているため、時間の経過とともに情報が古くなるという課題があります。
例えば、登場している社員が退職した、オフィスが移転した、社内制度が変更されたといった場合、そのまま掲載を続けると「実際と違う情報を伝えてしまう」リスクが生じます。
また、採用トレンドや求職者の価値観も年々変化しています。こうした変化に対応しないまま古い動画を使い続けると、企業が時代遅れな印象を与えてしまう危険もあります。
そのため、動画は1〜2年ごとに見直す運用サイクルを設けることが望ましいです。クラウド型の動画編集ツールを活用すれば、台本の修正や映像の差し替えも容易で、最新情報を反映させやすくなります。
採用動画の成功事例9選
動画を採用活動に取り入れる上で参考にしたいのが、実際に採用動画を活用し、成功している企業の事例です。
成功事例をチェックすることで、取り入れるべき内容や表現に加え、避けるべき内容や表現も見えてくるので、より魅力的な採用動画を制作できるようになります。
ここでは、特に参考になりそうな採用動画の成功事例を、厳選して紹介していきます。
貝印株式会社

包丁やカミソリ、爪切りなど、刃物関連の製品を製造・販売している会社、「貝印株式会社」。
こちらの動画は、その貝印株式会社が公式のYouTubeアカウントに公開している採用動画です。
商品企画やパッケージデザイン、製造など、製品の製造や販売に関わる社員の声がテンポよく切り替わっていく構成で、動画を見た学生や転職希望者に興味を持ってもらえる動画に仕上がっています。
フクビ化学工業株式会社

福井県の福井市にある建築資材の製造や販売を手掛ける会社、「フクビ化学工業株式会社」。
こちらの動画はフクビ化学工業株式会社の採用動画で、アニメーションを多用しながら自社の歴史の紹介や展開している事業、募集している職種などを幅広く紹介しています。
2分半の動画ですが、その短い時間の中でフクビ化学工業株式会社が100年以上続く歴史ある会社だということがわかりますし、どういった事業をおこなっていて、どういった職種の募集をおこなっているのかまでしっかりと伝わる構成になっています。
株式会社EXIDEA

東京にある、Webメディアの運営や広告運用など、デジタルマーケティングを中心に事業を展開している会社、「株式会社EXIDEA」。
こちらの動画では、同社で働く社員の声が紹介されています。
それぞれの社員が携わっている業務と仕事に対する考え方、やりがいなどについて語っており、見ているだけで仕事に対するモチベーションが高まってくるような内容の動画です。
約6分と長めの動画ではありますが、映像のクオリティが高く、おしゃれなVLOGを見ているような感覚で見進められます。
社員へのインタビュー形式の採用動画を制作するときに参考にしたい事例の一つです。
株式会社商船三井

日本を代表する大手海運会社、「株式会社商船三井」。
こちらの動画では、同社で働く若手社員の一日が紹介されています。
朝起きて朝食を食べてからその日の業務が終わるまでを紹介している動画で、社員寮の様子や出勤時の様子、実際に業務をおこなっている様子をチェックできる内容になっています。
社内の雰囲気や社員寮の様子は、就職先をリサーチしている学生や転職先を探している転職希望者が最も気にかけている部分の一つです。
その辺をチェックできる内容や構成になっている点は、採用動画を制作する上で非常に参考になります。
株式会社Cygames

「株式会社Cygames」は、モバイル向けのゲームアプリの開発・運営をおこなっている、サイバーエージェントグループの会社です。
こちらの採用動画は新卒として入ってくる学生をターゲットにしている動画で、社内の様子を中心に紹介しています。
BGMに合わせて社内を撮影した映像が切り替わっていくだけのシンプルな動画ですが、勢いのあるIT系企業ならではの自由な働き方や洗練されたオフィスの様子が伝わってくる内容になっており、思わず「こんな会社で働いてみたい…!」と思わせられます。
株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント

ソニーグループの音楽系事業統括会社である、「株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント」。
こちらの動画は、その株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメントが制作した採用動画の一つで、とがったコンセプトが印象的な動画です。
採用動画と言えば、どうしても堅苦しく単調な内容になってしまいがちですが、こちらの動画は全編浮世絵調のアニメーションで構成されており、思わず最後まで見きってしまうほど面白い仕上がりになっています。
株式会社益正グループ

飲食店のプロデュースや運営、フランチャイズ事業などを手掛ける会社、「株式会社益正グループ」。
こちらの採用動画では、既存の飲食業界を変えることをテーマに、同社がおこなってきた飲食業界における新しい取り組みを、従業員のインタビューをまじえながら紹介しています。
「この会社で働いたら、こんなことができるんだ」
「この会社なら、おもしろいことができそう」
と思わせてくれる内容の動画で、飲食業界に興味を持っている学生や転職希望者の背中を押してくれるような動画です。
ヤフー株式会社

日本を代表するインターネット事業者である「ヤフー株式会社」。
こちらは、そのヤフー株式会社が、就職を控えている学生や転職希望者に対して配信している「ヤフーの歩き方」という採用動画です。
ヤフー社内を一人称視点で見てまわれるオフィスツアー動画で、実際に業務をおこなう執務エリアの紹介はもちろん、社員食堂やロッジなどの施設も動画を通してチェックすることができます。
設備が充実している企業の場合、「こんな会社で働いてみたい…!」と感じてもらえる可能性が高いので、ぜひ参考にしてほしい事例の一つです。
株式会社リクルート

人材、住まい、事業支援など、さまざまな事業を展開している大手企業「株式会社リクルート」。
こちらは、その株式会社リクルートの、2023年の新卒採用コンセプトムービーです。
・始める
・遊び
・活用する
・役割を果たす
など、さまざまな意味を持つ英単語の「PLAY」をテーマに、株式会社リクルートで働く先輩社員が株式会社リクルートという会社をどう「PLAY」しているのかについて、インタビュー映像を中心に紹介しています。
7分という長めの動画ですが、さまざまな領域で活躍する先輩社員が入れ替わりで登場する、飽きずに最後まで視聴できるような作りになっています。
効果的な採用動画を作成するポイント
採用動画をうまく活用するためには成功事例を参考にすることが重要だと解説してきましたが、より効果を高めたいのであれば、その他にもいくつか押さえておくべきポイントがあります。
効果的な採用動画を作成するために押さえておくべき主なポイントとしてあげられるのが、
・動画を制作する目的とターゲットを明確にする
・ユーザーの反応を見ながら修正する
の、2点です。
それぞれのポイントについて詳しく解説していきます。
動画を制作する目的とターゲットを明確にする
採用動画を制作する際は、動画を制作する目的とターゲットを明確にすることが大切です。
動画を制作する目的やターゲットが明確になっていないと、内容やメッセージが定まらず、誰にも刺さらない動画になってしまいかねません。
紹介してきた成功事例の動画を見てもらえるとわかるかと思いますが、採用動画にはさまざまな種類があります。
例えば、貴社のことをほとんど知らないユーザーに対しては企業のことを紹介する採用動画を制作して届けるべきですし、貴社に興味を持っているものの漠然とした不安を抱えているユーザーに対しては、先輩社員への
インタビュー動画や社内の様子がわかる動画を届けるべきです。
動画を制作する目的とターゲットをしっかり設定した上で、動画の制作に取り組むようにしましょう。
ユーザーの反応を見ながら修正する
採用動画は、「制作して配信したら終わり」ではありません。
ユーザーの反応をチェックしながら修正を繰り返すことで、より高い効果を発揮してくれる採用動画に洗練されていきます。
採用動画を活用できる媒体はさまざまですが、YouTubeにしても各種SNSにしてもアナリティクスツールでユーザーの反応をチェックできるようになっているので、定期的にデータをチェックして、よりよい動画になるよう修正するようにしましょう。
効果的に採用動画を活用するポイント
より効果的に採用動画を活用するために押さえておくべきポイントとしては、
・なるべく多くの媒体を活用する
・さまざまな採用動画を制作して発信する
の、2点があげられます。
それぞれ詳しく解説していきます。
なるべく多くの媒体を活用する
採用動画は、YouTubeやTikTokなどの動画配信プラットフォームはもちろん、InstagramやX、FacebookといったSNSなど、さまざまな媒体で発信できます。
活用する媒体が増えれば増えるほどより多くのユーザーにアプローチできるようになるので、なるべく多くの媒体に動画を投稿するべきです。
InstagramやTikTokなど、制作した動画を使い回せる媒体も多く、使い回す場合であればほとんど手間をかけずに複数の媒体を活用できるようになるので、採用動画を制作する際は、ぜひ試してみてください。
さまざまな採用動画を制作して発信する
採用動画の制作は時間も手間もかかりますが、成果につなげたいのであれば、可能な限りさまざまな採用動画を制作して発信するべきです。
先述したとおり、就活生や転職希望者のモチベーションや悩みは人それぞれで、特定のユーザーに対して効果的な動画もあれば、思うように効果を発揮してくれない動画もあります。
実際、動画の活用が上手い企業はさまざまな動画を制作して発信し、動画を最大限活用しています。
制作して発信する動画が増えれば増えるほどより多くのユーザーの目に触れることになるので、一般的な採用動画だけでなく、先輩社員の声を紹介するインタビュー形式の動画や密着動画、オフィスツアー動画など、さまざまな動画を制作して発信するようにしましょう。
まとめ
採用動画を制作する上で参考になりそうな成功事例について紹介してきました。
採用動画は、これからの企業の採用活動にとって欠かせないものです。
ただし、制作して配信すれば必ず効果を発揮してくれるというわけではありません。
就職活動中の学生や転職活動中の転職希望者が思わずクリックして見てしまうような動画でなくてはいけませんし、見た後で貴社に興味を持ってくれる内容の動画である必要があります。
自社の採用活動に採用道を用いて成果をあげるためには、きちんとポイントを押さえた上で動画を作成することが非常に重要になります。
今回はさまざまな業界の採用動画の成功事例を紹介してきましたが、いずれも採用動画を作成する上で参考になる事例ばかりです。
今回紹介した成功事例をチェックすることで成果の出る採用動画づくりのポイントが見えてくるので、今回紹介した9の事例を参考にしながら、応募者が殺到する採用動画作りに取り組んでみてください。