そもそもテロップとは?
テロップとは、動画内で視覚的に情報を補足するために表示される文字情報を指します。ニュースの速報やバラエティ番組のコメント、広告動画での製品情報など、視聴者が内容をより深く理解できるようにサポートする役割を果たします。
音声だけでは伝えきれない情報を補い、視覚的な強調を加えることで動画の効果を高めます。
例えば、商品紹介の動画では、商品の特長や価格をテロップで表示することで、音声と映像だけでは伝わりにくい要素を補完できます。
また、テロップを使うことで、動画を音声なしで視聴する場合でも内容が理解できるため、視聴環境を問わず広範囲のユーザーにリーチできます。
字幕・スーパーとの違い
よく似た言葉として「字幕」や「スーパー」という用語がありますが、それぞれ目的や用途が異なります。
字幕は、動画内の音声を文字として表示するもので、映画や海外ドラマで言語の壁を越えるために使われることが多いです。一方、スーパーは情報を画面上に重ねて表示する技術そのものを指し、テロップもスーパーに含まれるものの一つと言えます。
つまり、字幕は音声内容を文字化したもの、テロップは音声内容を補完する文字情報、スーパーはその表示手法という位置づけになります。
動画制作におけるテロップの重要性
ユーザーアクセシビリティの向上に寄与する
動画制作においてテロップを入れることが重要とされている理由の一つに、ユーザーアクセシビリティの向上があります。
テロップはユーザーの視覚に動画の音声内容を伝える働きを持つため、聴覚に障害がある方、または音声有りで視聴ができない環境にいる方に対しても動画の内容を詳しく伝えることができます。
さらに、他言語でテロップをつければ諸外国のユーザーにも動画を見てもらえるため、より幅広いユーザーにリーチすることが可能になります。
多文化やダイバーシティへの理解が叫ばれる中、アクセシビリティを考慮して動画制作を行うことは今後特に重要視されると言えます。
SEO対策に寄与する
テロップを動画内に組み込むことは、間接的に動画コンテンツのSEO対策にもつながります。
SEOとはSearch Engine Optimizationの頭文字を取ったもので、日本語では検索エンジン最適化と訳されます。
特に動画に関してSEO対策を取る場合は、
YouTubeの検索エンジン上で策を練ることが効果的であるとされています。
ただ、単純にYouTube動画の中にテロップを入れただけではSEOには効果がありません。
テロップがあることによってユーザーに利便性を与え、再生回数が伸びるなどの反応が得られれば間接的にSEOに働きかけているということになりますが、テロップそのものがSEOに影響するわけではありません。
テロップを活用してSEOの順位を上げるには、YouTube動画の「字幕機能」を使う必要があります。
現時点では動画素材そのものがSEOに与える影響はありませんが、字幕機能で文章を追加することによってGoogleがそれをテキスト情報として読み取り、YouTube検索内のSEOに影響します。
一概には言えませんが、字幕機能が追加されている動画の方がユーザー検索にもかかりやすく、上位に表示される確率が高い傾向にあります。
特に近年、5Gの登場などによって動画の重要が急増し、最大級の
動画プラットフォームと呼ばれるYouTubeも今やレッドオーシャンと呼ばれるようになりました。
そんな情報が溢れる動画市場において、コンテンツごとにSEO対策を行うことはもはや必須項目であると言えます。
動画コンテンツにテロップをつけるメリット
内容が伝わりやすい
テロップを動画コンテンツ内につけることによって生まれるメリットの中に、訴求内容がユーザーに伝わりやすくなるということがあります。
動画を再生していても、途中で気が散ったり音がかき消されたりして内容がうまく頭に入らないということが多々あります。
しかし動画の再生中にテロップが目に入ることによって、例え動画内容が頭に入らなくても文字で動画の流れを理解することができます。
また、テロップがあることによって動画の内容をより簡単に理解することができ、ユーザーにも効果的に訴求することが可能となります。
コンテンツ内容をより密なものにできる
テロップ挿入が生み出すもう一つの効果として、コンテンツ内容をより濃くできるという点が挙げられます。
文字を動画内に追加することによって単純に情報量が増えるという事実に加え、より動きのある、または面白みのある動画に仕上げることができます。
例えばテロップを動画の動きに合わせて強調したり加工を加えることで、より動画の流れにコントラストを加えることができます。
単調にフラットな動画が続くよりも、ポイントごとにテロップを用いて強弱を加えた方が、動画としてもまとまりが出て内容が頭に入ってきやすくなります。
また、テロップのデザインやアニメーションを工夫することによって動画に面白みが出て、飽きの来ない良質な動画コンテンツを作ることができます。
認知率を向上することができる
テロップが動画内に組み込まれることによって、ユーザーからの認知を高めることができます。
テロップ挿入の有無によって、ユーザーに与える印象に大きな差が生まれます。
特にテロップの文字数やタイミング、デザインなど一つ一つの要素がうまく組み合わさることによって相乗効果が生まれ、場合によっては動画を見る人に大きなインパクトを与えることも可能です。
インパクトがあるということは、より人に印象を与えやすくなるということであり、結果として視聴秒数を伸ばしたり
エンゲージメントを増やすことにつながります。
そのため、動画がより多くの人の目に触れる確率も、必然的に上がっていきます。
また、このような良質なコンテンツを発信することでより多くのユーザーにリーチすることができ、ブランドの認知向上を初め企業のブランディングなど、多方面で効果を出すことができるようになります。
動画の質を上げることができる
テロップをつけると、視覚的な情報が増えて内容がわかりやすくなる効果があります。
また、映像に合ったタイミングやその動画の雰囲気で効果的にテロップを使用することで、動画に彩りがうまれ、内容を面白く感じさせる効果が期待できます。
結果として、テロップを使うことで動画の質を上げることができます。
特に人気YouTuberの動画をみてみるとわかりますが、テロップを効果的に使用することで、面白さをさらに引き出しているのがわかります。テレビなどのテロップでも同様のことが言えます。
動画の面白さを際立たせるテロップの使い方をすぐに完全再現するというのは難しいので、お手本として参考にすると良いでしょう。
音声がなくても正しい情報を伝えられる
テロップをつけると、視覚的な情報で内容をとらえることができるため、音声が無くても正しい情報を伝えることができます。
例えば、周りが騒がしくて音声を聞き取れない状況の時や、あえて音声を出さずに動画を視聴している場面でも、テロップを読むことで内容を理解することができます。
また、耳が不自由な方や耳が聞こえにくい高齢の方も、テロップがあれば内容を視覚的に理解することができます。
音声の聞き取りに不安はなくても、会話のスピードが速かったり発音が明瞭でない等の理由で音声が聞き取りづらい動画であっても、テロップを付けることで正しく情報を理解することができます。
さらに、外国語のテロップを用意すれば、日本語の分からない人にも動画をみてもらえます。
テロップを使うことで、世界中のあらゆる人が気軽にみてもらえるコンテンツをつくることができます。
テロップ制作におけるコツ
文字を入れすぎない
動画テロップの制作でよくやってしまいがちなのが、文字を一表示画面に対し入力しすぎることです。
人が2秒間に理解できる文字数は7文字と言われていますが、情報量を増やそうとテロップの文字数がその基準をオーバーしてしまっているケースがよく見受けられます。
前述した通り、テロップが追加されることによってもたらされるメリットはたくさんありますが、ただテロップを動画内に組み込めばいいというわけではありません。
発言されている全ての文字を入力してしまっては、情報量が多すぎてユーザーが内容を処理しきれず、離脱率を高めてしまいかねません。動画の動きに合わせ、適切な文字量を表示させるよう心がけましょう。
テロップのデザインを考える
テロップのカラーやサイズ、デザインに 気を配ることは動画制作において重要なポイントです。
まずカラーについてですが、テロップの文字色が背景色と被ってしまうと文字が読みづらくなってしまいます。
動画内容全体を見返し、テロップの色と背景の色が被っていないか都度しっかり確認しましょう。
しかし一方で、文字色の変わる頻度が高くなりすぎてもテロップの効果を出すことはできません。
そのような場合は、縁取りや影などの文字エフェクト機能を使い、背景画像とテロップが一体化しないようコントラストを付けることで統一感を出します。
また、文字のサイズにおいてもコントラストを意識することで、より良いテロップを作成することができます。
サイズの決め方の例としては、強調したい部分の文字サイズを大きく、そうではない部分では反対に小さくするだけで、内容に強弱が出てより魅力的なコンテンツとなります。
さらに、感情の浮き沈みに沿ってテロップにアニメーションを付けたり、文字の角度を変えたりすることによって、動画内容に動きが出てより飽きのこないコンテンツにブラッシュアップすることができます。
その他にも、フォントを適宜変更することによって動画の雰囲気をより鮮明に伝えたり、場合によってはアイコン画像などを差し込むことで訴求内容をより強調することができます。
表示時間・位置に気を付ける
一般的にテロップの表示時間の目安は、4文字につき1秒と言われています。しかし、これは洋画の字幕のように、字幕が表示されるタイミングや場所が比較的一定な場合です。
そのため、不特定のタイミングや位置に表示する場合は、この目安よりもやや長めに表示することをおすすめします。
また、テロップの文字数は1行あたり16文字が目安です。どんなに長くても2行以内におさめましょう。テロップの文字数が多すぎると、動画を見ているよりも文章を読んでいる感覚になります。
そのため、1画面内に表示する文字数は、どんなに多くても30〜35文字程度におさめることが大切です。
最適なテロップの表示時間は、動画によって大きく異なります。テロップを入れたら、実際に視聴者の立場でテロップが読みやすいか確認しましょう。
テロップを入れる編集者は既に動画の内容を知っているため、一般視聴者よりも読むスピードが早いです。テロップを確認する際は、自分よりも1.5〜2倍程度読むのに時間がかかると想定した方が、より適切な表示時間に設定できます。
なお、テロップを表示する位置は、セーフマージンにおさめることが大切です。
YouTubeや
動画編集ソフトには、セーフマージンという枠が設定されています。枠外にテロップを入れてしまうと、見切れて動画の内容が伝わりにくくなるため注意が必要です。
モーション(出現・消失の動き)を付ける
テロップはモーションを付けることで、さらに強調できます。例えば、動画内の全て同じ大きさ・同じフォントでテロップを入れると、どの言葉が重要なのか分かりづらいです。
一方で、強調したい部分にモーションを付ければ、視聴者に重要なポイントを伝えられます。テロップのモーションは非常に種類豊富で、出現したり消えたりするエフェクトだけでなく、波を打ったりバウンドしたりするエフェクトもあります。
ただし、モーションを付けすぎると逆効果になってしまうので、厳選したテロップのみモーションを付けるようにしましょう。
テロップでよく使われるフォント
では、実際にテロップをつけたいと思ったとき、どのようなスタイルやデザインを使用すれば良いのでしょうか。
ここでは、無料でダウンロード出来たり、すでに標準搭載されているような比較的使いやすい字体を5つご紹介します。
ヒラギノ角ゴシック
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出典:
アマゾン
YouTuberの中でも使用している方が多い字体です。
クセが少なく読みやすい字体なので、様々なジャンルや雰囲気の動画で使用できます。動画で基本的に使用する字体としておすすめのフォントです。
この字体は、Macや
iPhoneユーザーの方であれば、ダウンロードしなくても標準搭載されている字体です。
コーポレートロゴ
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出典:
LOGOTYPE.JP
企業のロゴに使用されているような字体です。
シンプルかつ直線的なデザインの字体です。こちらで紹介している見本は標準的なゴシック調の字体ですが、さらに丸みを強調した字体や、少し崩したような字体など、アレンジされた字体もありバリエーションが豊富です。
ビジネスコンテンツで使用する場合でもどこか親しみのある雰囲気を出すことができます。
たぬき油性マジック
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出典:
たぬきフォント
お店にあるPOPのような雰囲気のある、普通紙に極太油性マジックで書いたような印象の柔らかい字体です。
手描きの柔らかみがあるポップで、個性的で印象に残るような字体です。こちらは平仮名カタカナ、英字など様々な文字に対応しています。
自家製 Rounded M+ (ラウンデッド エムプラス)
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出典:
自家製 Rounded M+ (ラウンデッド エムプラス)
丸みのあるかわいらしい印象が特徴で、アニメの動画などで使われている字体です。
こちらは、文字の丸みが強いものや弱いもの、文字の太さも数種類から選べるなどバリエーションが豊富です。
どのパターンを使用するかは、動画の雰囲気によって使い分けると良いです。
JKゴシックM
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出典:
ふぉんときゅーとがーる
その名の通り、「JKゴシックM」は、女子高生が書いたような文字で少し崩した丸みのある字体です。
太めの線で書かれていますが、全体的にはちいさく可愛らしい印象で、テキストがまとまってみえます。
そのため、女性や子供向けの動画などでみられる字体で、メイク動画やおもちゃの紹介などの配信でみられる字体です。
太さが違うものやさらに丸くなったものなどの他のバリエーションも用意されています。
主なテロップの装飾・デザイン
主なテロップの装飾・デザインとして、以下の4つが挙げられます。種類によって与える印象が異なるため、動画の内容によって使い分けることが大切です。下記では、それぞれの特徴を詳しく解説します。
ドロップシャドウ・光彩
ドロップシャドウとは、テロップに影を付けるエフェクトのことです。文字に立体感を演出し、表現に厚みを持たせることができます。
ただ単に影を付けるだけでなく、色合いを変えたり、あえてぼやけさせたりするなど、自由度の高い加工の一つです。
一方で光彩とは、文字の形に沿ってぼんやりとしたぼかしを入れるエフェクトを指します。光彩は、イルミネーションやネオンのように見えるのが特徴です。そのため、背景の色が暗めの場合によく映えます。
縁取り(境界線)
縁取り(境界線)とは、文字に沿って縁を付けるエフェウトのことです。縁取りをすることによって、文字が見えやすくなります。
例えば、文字と背景の色が似ている場合、文字と背景の境目があいまいで非常に見えづらいです。縁取りはそのような場面で、特に効果を発揮します。
枠・フレーム
枠・フレームとは、その名の通りテロップの周りに枠やフレームを付けるエフェクトです。背景とテロップの境界線をはっきり可視化する役割があります。
また、アスペクト比を修正する際にも効果的です。ただし、枠やフレームは強く印象に残りやすいため、文字や背景の色を考慮したうえでデザインを選ぶようにしましょう。
背景(テロップべース)
テロップベースとは、文字の下にあるベースのことです。テロップベースの利点は、文字の背景色が統一されることです。背景が変わって文字が読みにくいことがなくなるため、視聴者の可読性が高まります。
また、テロップベースにデザインを加える場合が多く、オリジナルのテロップベースを作成すれば動画のブランディングをすることも可能です。
メディア博士によるテロップの活用事例
メディア博士では、テロップを活用した動画を数多く作成しています。下記では4つの動画をご紹介します。
建物紹介動画

アキュラホーム様による建物紹介動画では、オリジナルテロップベースを活用しています。ポイントを紹介する際は、全て同じデザインを使用しているため、動画全体に統一感が出ています。
また、それ以外でテロップを入れる場合は、文字に縁取りを付けているのが特徴です。スタイリッシュな内装となっているので、それに合わせてテロップもシンプルなデザインにしています。
テロップのデザインは動画の印象を大きく左右するので、映像と合ったデザインを選びましょう。
https://media-hakase.com/video_list/page_2574.html
商品のキャンペーン動画

秋本食品株式会社様による商品のキャンペーン動画では、強調したいテロップにモーションを活用しています。タイムライン上で目立つため、印象に残りやすくなっています。
短い動画の中で大きなインパクトを与えたい場合に効果的なエフェクトです。また、テロップの文字色を同系色でまとめており、動画全体に統一感があります。
https://media-hakase.com/video_list/page_3116.html
研修動画

宿泊施設で働く従業員に向けた研修動画では、縁取りを活用しています。また、枠内に重要なポイントを文字だけでなくイラストも使って説明しているため、専門的な知識でも理解しやすいです。
AIナレーションも活用しており、視覚だけでなく聴覚でも情報を伝えています。キャラクターを動画内で使うと、一方的な知識のおしつけが緩和されます。
https://media-hakase.com/video_list/page_2052.html
比較動画

もとはPDFだった資料を動画化したもので、モーションや縁取りを活用しています。比較する動画なので、それぞれ使う色を分けて理解しやすくしているのがポイントです。
また、AIナレーションやキャラクターのイラストも活用し、最後まで集中して見られるようになっています。
https://media-hakase.com/video_list/page_2035.html
まとめ
動画制作におけるテロップの重要性やメリット、そしてテロップ制作におけるコツなどについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか。動画制作においてテロップを活用する際は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。