中学校で動画活用するメリット
中学校においても、デジタル技術の活用は避けられない時代となっています。ここでは、中学校で動画活用するメリットについて解説します。
授業の理解促進と学習意欲の向上
動画は視覚と聴覚を同時に使って学べるため、黒板や教科書だけでは伝わりにくい内容も直感的に理解しやすくなります。特に理科の実験や技術・家庭科の作業工程、英語の発音や会話など、動きや音声を伴う学習内容では、動画の効果は抜群です。
例えば、実際に手を動かす前に作業工程を動画で視聴することで、手順をイメージしやすくなりミスの軽減にもつながります。
また、教科ごとの難所に対して補助教材として動画を用意すれば、理解が追いつかない生徒の自宅学習用ツールにもなります。これにより、授業の個別最適化にも貢献できます。
学校紹介や広報活動に効果的
私立中学校や特色ある公立中学校では、他校との差別化を図り、受験生や保護者に魅力を伝えることが重要です。
学校紹介パンフレットやホームページだけでは伝わりにくい「雰囲気」や「リアルな生徒の様子」も、動画であれば具体的かつ感覚的に届けることができます。
例えば、入学希望者向けに「1日の流れ」や「部活動の紹介」「校内の施設ツアー動画」を制作すれば、学校生活の具体的なイメージを持ってもらえます。
また、校長先生や在校生のメッセージを動画で伝えることで、学校の理念や特色への共感を促し、ブランドイメージの醸成にもつながります。
教員採用におけるアピール力の向上
深刻な教員不足が続く中、優秀な人材を確保するためには「働きたい」と思わせる発信が求められます。文章や写真だけでは伝えきれない“現場のリアル”を、動画で伝えることが効果的です。
例えば、現役教員の1日を追ったドキュメンタリー風の動画や、若手教員へのインタビューを通して「仕事のやりがい」「職場の雰囲気」「研修体制」などを紹介すれば、求職者にとって安心材料となります。
保護者との関係性強化にもつながる
動画は、保護者に向けた情報発信ツールとしても非常に有効です。授業参観や学校行事に参加できなかった保護者に向けて、行事のダイジェスト動画や教室での様子を配信すれば、子どもの成長を共有でき、学校に対する信頼感も高まります。
また、進路説明会や保護者会の内容を動画でまとめて配信することで、共働き家庭や遠方に住む保護者にも公平に情報を届けることが可能になります。
動画は、見る側の「時間や場所の制限」を受けにくいため、保護者との円滑なコミュニケーションにも貢献します。
中学校で動画が活用できるシーン
中学校で動画が活用できるシーンとしては、主に3つ挙げられます。それぞれどのようなシーンでしょうか。
授業
これまでの授業は先生が黒板に書いていくことが多かったですが、現在ではDVDやインターネットなどを駆使して動画を用いた授業も行われています。
動画で教えることで生徒たちにわかりやすく物事を伝えることが可能。その上、楽しみながら覚えてもらえるという利点もあります。
ただし、「どのようにして生徒たちに動画を見せるか?」が重要となります。内容が面白くなければ、寝てしまったりおしゃべりしたりするかもしれません。
そうなってしまうと、授業としての意味がなくなってしまうため、動画の内容だけではなく見せ方も重要となります。
学校紹介
公立とは異なり、私立の中学校は多くの受験生を集める必要があります。ただ、私立の中学校は数多くあるため、他校との差別化を図る必要があります。そこでおすすめの方法が動画を用いて紹介することです。
動画は文章や画像よりも印象に残りやすい上に、多くの情報を伝えられます。そのため、短い動画でも学校の魅力や特徴を十分伝えられるでしょう。また、生徒の様子を撮影することで、どのような日々を過ごすのか想像してもらいやすくなります。
具体的には、また、部活動や校内イベントなどを動画で伝えれば、授業以外にも魅力がある中学校であると伝えられます。
教員募集
動画は生徒だけではなく、教員が対象となることもあります。近年では公立の小学校・中学校における教員不足が問題となっており、このことはデータにも示されています。
2018年に文部科学省が北海道や大阪市など、11の都道府県・指定都市に対してアンケートを実施。結果として、2017年度始業日時点における中学校での教員数が常勤・非常勤共に100人以上という結果が出ました。
データからわかるように、教員不足は大きな問題です。そのためにも教員を募集しなければなりませんが、その方法として動画が用いられています。動画で教員の1日ややりがいなどを伝えることにより、教員としての魅力をアピールできます。
参照:
いわゆる「教員不足」について(平成30年8月2日 文部科学省初等中等教育局)
中学校に関する動画活用事例
中学校でも動画を活用できるシーンがあるとはいっても、具体的にはどのようなことが行われているのでしょうか。
そこで、中学校に関する動画活用事例をいくつかピックアップして紹介します。
中野区立中野東中学校
中野区立中野東中学校は、新型コロナウイルスの流行で休校となった間に授業動画を制作。その数はなんと500本で、教室を撮影スタジオ代わりとしました。
授業動画は教員によって異なっており、美術の先生はデッサン動画を制作し、栄養担当の教諭はタピオカミルクティーの
レシピ動画を制作しました。
結果は成功であり、生徒の質問が増えるだけではなく、不登校だった生徒も視聴するようになるほどの成果を出しました。そのため、中野区立中野東中学校が行った取り組みを奇跡と評価するメディアもいます。
板橋区立高島第二中学校
板橋区立高島第二中学校の場合、教育のICT化を目指す一環として動画を活用。実際に体育や理科、技術家庭科ではサーバーやノートパソコンに保存している動画を生徒に視聴させています。
このような取り組みは高島第二中学校も含めた板橋区全域の小中学校で行われています。各小中学校は、Sky株式会社による「SKYMENU Class」を導入。先生機から生徒一人ひとりが持っている
タブレット型PCに対して動画の一斉配信ができます。
芝浦工業大学附属中学高等学校
芝浦工業大学附属中学高等学校では、動画で部活動や授業の様子を紹介。入学するとどのような日々を過ごすのか把握できるようになっており、入学後のイメージが想像しやすくなっています。
また、芝浦工業大学附属中学高等学校でも教育のICT化を目指しています。実際に数学の内容に関する解説動画を制作したこともあり、板橋区立高島第二中学校と同じく積極的に取り組んでいます。
福岡大学附属大濠中学校
福岡大学附属大濠中学校の紹介動画は、非常におしゃれな雰囲気の中で進められています。その上で校内の様子や日頃の生徒を動画で紹介しており、こちらもどのような学校生活を過ごすのかイメージしやすいものとなっています。
また、施設ごとに
テロップを付けており、それぞれどのようなところなのかを紹介。これにより、充実した施設がそろっていることをアピールしています。
跡見学園中学校高等学校
跡見学園中学校高等学校では、生徒が企画から撮影まで行った動画を公開。一問一答形式で進められており、実際の生徒がどのような気持ちで勉強しているのか把握できます。
もちろん、上記とは別に跡見学園中学校高等学校を紹介した動画もあります。こちらでは、ナレーションや
インタビューなどを通じてどのような中学校なのかを伝えています。
株式会社アジアンドキュメンタリーズ
少し変わった事例として、株式会社アジアンドキュメンタリーズが挙げられます。株式会社アジアンドキュメンタリーズでは、学校法人向けに「アジアンドキュメンタリーズ 学校法人教育利用コース」というパッケージプランを用意しています。
「アジアンドキュメンタリーズ 学校法人教育利用コース」は、登録した先生や生徒がいつでもドキュメンタリーを視聴できるというもの。登録作品は10作品から決めることができ、一人ひとりの時間に合わせてアジアのことを動画で学ぶことができます。
株式会社アドバンストインターナショナル
株式会社アドバンストインターナショナルでは、私立中高一貫校をまとめたサイト「NettyLand」を運営しています。その中でさまざまな中学校を動画で紹介しており、各校の魅力や生徒の雰囲気などを伝えています。
自治体でも動画が活用されている
各
自治体では、教員を募集するために動画を活用しています。例えば島根県の場合、ただ教員の様子を伝えるだけではなく、島根県としての魅力と組み合わせて紹介。県としての特色まで伝えることで、島根県に対して魅力的だと思った教員希望者を集めることができます。
また、札幌市の場合は教員として働く人に対してインタビューを行った動画を公開。一人ひとりの悩みや札幌市を選んだ理由などを伝えることで、札幌市で教員として働くことの良さを伝えています。
少し古いですが、大阪府でも教員募集の動画を公開しています。大阪府の場合は教員としての1日を映像とナレーションで紹介。実際の勤務風景を見せることで、具体的にどのような仕事をしているのか把握しやすくなっています。
中学校でも積極的な動画の活用を
中学校でも積極的に動画が活用されており、多くの事例も存在します。もちろん、民間企業のようにすぐ動画を取り入れることは難しいかもしれません。
ただ、これからの時代のことを考えると重要な存在となるため、今のうちに動画の活用を検討してみましょう。