動画活用と聞くと、商品やサービスを顧客に使ってもらいたいB2C企業のイメージがあるかもしれません。実際のところは間違いであり、企業同士で取引するB2Bの企業でも動画を活用できます。
今回の記事では、B2B向けの動画活用方法や実例などを紹介しているため、広報や販促担当者はぜひチェックしてみてください。
B2B向けの動画活用が求められる背景
近年、B2B企業でも動画の活用が急速に広がっています。その背景には、デジタル化が進むビジネス環境において、動画が持つ効果的なコミュニケーション手段としての役割が注目されていることが挙げられます。
従来のテキストや静止画だけでは伝えにくい複雑な製品やサービスの内容を、短時間で分かりやすく視覚的に伝えることができる点で、動画は他の媒体に比べて非常に優れています。
複雑なサービスや製品を分かりやすく伝えるニーズ
特にB2B市場では、クラウドサービスやソフトウェアなど、無形の複雑な製品やサービスが多いため、これを短時間で正確に理解してもらうための手段として動画の重要性が増しています。
アニメーションや実際の操作画面を使ったデモンストレーション動画は、製品の機能や導入メリットを効果的に伝え、顧客の購買意欲を高めることができます。
購買行動のデジタルシフト
企業の購買プロセス自体がデジタル化し、オンラインでの情報収集が主流になっている点も大きな要因です。多くの企業が初めにオンラインで製品やサービスを比較・検討する中で、豊富な情報を視覚的に伝えられる動画は、ユーザーの意思決定を早める強力なツールとなります。
B2Bの商談や製品紹介でも、動画を通じたプレゼンテーションがオンライン商談のスタンダードとして定着しつつあります。
SEOやマーケティングの一環としての動画
動画はSEO対策やコンテンツマーケティングにおいても効果的です。GoogleやYouTubeでの検索結果に動画が優先的に表示されることから、B2B企業にとっても動画の活用は検索エンジン最適化(SEO)の一環として重要視されています。
特に、自社サイトやSNS上に動画コンテンツを掲載することで、ユーザーの滞在時間を延ばし、サイト全体の評価向上にもつながります。
オンラインセミナーや展示会での需要拡大
コロナ禍を契機に、オンラインセミナーやウェビナーが急速に普及し、リアルな接触が難しくなった展示会やセミナーの代替手段として動画が利用される機会も増えました。
これにより、製品やサービスのプレゼンテーションを動画で行うニーズが高まり、B2B市場でも動画が重要なマーケティングツールとなっています。
このように、B2B企業が動画を活用することは、現代のデジタル化したビジネス環境において不可欠な要素となっているのです。
B2B向けの動画活用方法
B2B向けで動画を用意する場合、さまざまな活用方法があります。一体どのようなものなのでしょうか。
PR動画
B2B向けだとしても、商品やサービスをPRしたいことは変わらないはず。動画を活用してPRすることで、文章よりもインパクトを与えられる上に、画像よりも豊富な情報を伝えられます。
アニメーション動画や
インフォグラフィックス動画であれば、目に見えない仕組みも解説しやすくなり、難解なシステムでも相手に伝わりやすくなるでしょう。そのため、クラウドサービスなどの無形商品を扱っている方には、画像や文章よりも分かりやすく説明できる動画広告をおすすめします。
求人動画
求人募集でも動画を活用できます。
例えば、実際に働く現場を撮影したものであれば、どのような場所で働くことになるのか把握できるようになるため、求職者が持つイメージとのミスマッチを防ぐことが可能。
インタビュー動画の場合は、ダイレクトに社員の働き方や想いを伝えられることもあり、求人の新たな形として人気を集めています。
セミナー動画
セミナーの中に動画を組み込むことで、分かりやすく内容を伝えられます。その上、受講者のモチベーションや集中力低下を防げることもあり、セミナーの内容を覚えてもらいやすくなります。
また、動画であればオンラインセミナーでも活用できるため、テレワークをしている社員に対してセミナーを開催したい場合にもおすすめです。
ZoomといったWEB会議ツールは録画機能が搭載されていることもあり、録画したものを社員に共有することで気軽にセミナー内容をチェックできます。
マニュアル動画
新入社員の場合、会社のルールやビジネスマナーを教える必要があります。
その際に役立つのが
マニュアル動画であり、
社員研修にも役立ちます。講師を用意する手間も省けるため、社員が少ない場合にもおすすめです。
展示会向け動画
動画は展示会でも活用できるものであり、展示会のテーマに合う動画を公開することで参加者のモチベーションを向上させられます。
内容次第では大きな注目を集められるため、製品やサービスの知名度も上げられるでしょう。
海外展開を目指す上でも動画が役立つ
動画の活用は、グローバルに事業を展開したい場合にも有効的です。動画を用いることで言語の壁を超えてアピールできるため、現地の言語に不安が残る場合でも問題なく伝えられます。
また、動画は
オンライン商談でも役立ちます。海外へ展開する場合、どうしても相手の企業へ訪問するのが大変です。その上で用いられるのが
オンライン商談であり、営業のサポートとして動画が活用できます。
B2B向け動画の活用事例とは?
B2B向けの動画でもさまざまなところで活用できます。ただ、実際のところどうなのか知りたい方もいるのではないでしょうか。
そこで、活用事例を4つピックアップして紹介します。
freee株式会社
SaaS型クラウドサービスの開発・運営を行うfreee株式会社では、自社の主要ソフト「freee」に関する動画を数多くYouTubeに投稿。
freee株式会社の場合は、ただソフトの解説動画だけを投稿するのではなく、確定申告に関連した情報も紹介しています。
「そこまでカバーする必要ある?」と思うかもしれませんが、網羅的に情報を紹介することで、freee株式会社を投稿する動画へのファンを増やすことができます。
事実、B2B向けのサービスを展開しているfreee株式会社の公式YouTubeチャンネル登録者数は1万人以上。動画自体も多く再生されている作品がいくつもあります。
株式会社セールスフォース・ドットコム
株式会社セールスフォース・ドットコムの場合は、製品紹介で動画を用いています。
製品の実際の画面を使用しながら紹介しており、さまざまな場面で株式会社セールスフォース・ドットコムの製品が使えることをアピール。これにより、製品を活用するイメージを掴みやすくなり、導入しやすくしています。
サイボウズ株式会社
サイボウズ株式会社の場合は、「kintone」という製品を導入した実例動画を公開しています。さまざまな
テロップを用いて分かりやすく解説されており、どのような流れで使われているのか把握できます。
また、この動画では冒頭部分で「kintone」の基本情報を紹介。これにより、「kintone」について知らない方でも簡単に把握した上で続きを視聴できるようにしています。
キングソフト株式会社
キングソフト株式会社もサイボウズ株式会社と同じく製品導入動画ですが、インタビュー形式で展開されています。
インタビュー形式ということもあって、利用者のリアルな声が聞けるだけではなく、どのような現場で用いられているのかも把握できます。
具体例も紹介されていることもあり、製品を導入する際のイメージも掴みやすいでしょう。
B2B向け動画を制作する上でのポイント
B2B向けの動画でもさまざまな場面で活用できるとはいえ、どんな動画でも使えるわけではありません。そこで最後の項目では、B2B向け動画を制作する上でのポイントを紹介します。
目的の設定は欠かせない
どんな動画であっても、目的の設定は欠かないことです。「なぜ動画を制作するのか?」や「動画で何を伝えたいのか?」といったことがはっきりとしていなければ、視聴者も何の動画だったのか把握できません。
だからこそ、いきなり動画制作に入るのではなく、動画を作る目的や伝えたい内容、視聴してもらいたいターゲットなどを決めましょう。
動画制作はプロに任せるのもアリ
動画制作自体は独学でもできますが、いきなり高品質な動画を作ることはできません。
特にアニメーション動画や
インフォグラフィックス動画などは難易度が高く、初心者の場合は非常に長い時間がかかってしまいます。そのため、動画制作を検討しているのであれば、プロに任せるのがおすすめです。
ただ、事例動画というような形が決まっている場合には自作でも可能です。作りたい動画の内容や自社で持っている動画のスキルなどを考慮して制作の流れを決めていきましょう。
視聴後の行動まで考える
動画の効果を大きくするためには、動画制作だけ考えるのではなく、視聴後の行動まで考える必要があります。
このことは動画だけに当てはまるわけではなく、紙媒体の広告やウェブ記事にも当てはまります。動画を作った目的の達成を目指すためにも、商品の購入といった視聴者にしてもらいたい行動をハッキリとさせましょう。
SNSとの連携も忘れずに
動画を検討している場合には、
SNSとの連携も忘れずにしておきましょう。
SNSと連携して拡散してもらうことで、多くの人に視聴してもらいやすくなります。
視聴者が増えれば増えるほど、目的の達成につながりやすくなりますが、予想以上に広がって管理できなくなる恐れもあるため、その点を考慮した上で連携しましょう。
B2B向け企業でも動画を活用できる
今回は、B2B向け動画の活用方法や事例などを紹介しました。
B2B向けの動画を活用できる場面は豊富に存在しており、実際に活用しているケースも数多くあります。そのため、自社の製品PRやセミナーなどで悩んでいるのであれば、動画を活用してみてはどうでしょうか。