トランジションとは一体?
冒頭でも述べたように、
トランジションは動画制作において知っておくべき基礎的な言葉です。
そのため、もしこれから動画制作を始めるのであれば、しっかりと覚えて使えるようにしておきましょう。
具体的なことは以下の項目で紹介しているため、ぜひ読んでみてください。
トランジションというのは、動画のカットとカットをつなぐ役目を果たすエフェクトのこと。基本的に動画制作はさまざまカットを組み合わせて1つの作品を作っていきますが、カットとカットをただ組み合わせると違和感のある展開となってしまう恐れがあります。そこでトランジションを使うことで、違和感を消して自然につながりのあるような動画にできます。
エフェクトはさまざま種類がありますが、その中でも
トランジションは基礎的な存在です。だからこそ、何度も述べているように覚えておく必要があるのです。
トランジションの種類はさまざま
トランジションと一口に言っても、さまざま種類があります。
例えばクロスディゾルブは、前のカットがゆっくりとフェードアウトする代わりに、同じスピードで次のカットがフェードインします。クロスディゾルブはトランジションの中でも代表的なもので、これをトランジションの最初に学ぶこともあります。
また、躍動感のある展開にしたいときはズームが用いられます。ズームは前のカットに対してズームアップし、その後ズームアウトしたときには次のカットに変わるというトランジションです。
動画編集のときに活用したいおすすめのトランジション7選
各ソフト別!トランジションの使い方
トランジションの使い方は、各ソフトによって異なります。
そこで、いくつか有名なソフトをピックアップし、1つずつトランジションの使い方を紹介します。
もしすでにソフトをダウンロードしているのであれば、自分が使っているソフトの項目を読んで使い方をマスターしましょう。
Premiere Proの場合
動画制作ソフトの代表的存在である
Premiere Proの場合、動画制作画面の左下にあるタブをエフェクトに切り替えます。
その後、ビデオトランジションというフォルダをクリックすることで、さまざまトランジションが表示されます。
動画に挿入する際には、欲しいトランジションをタイムラインにドラッグアンドドロップすれば完成。
もし問題がなければ、タイムラインに持ってくる際に2つのカットが指定されます。
Final Cut Proの場合
Premiere Proと並ぶ存在であるFinal Cut Pro。
こちらの場合はPremiere Proよりも直感的に操作できるため、人によってはFinal Cut Proのほうが使いやすいと思うかもしれません。
Final Cut Pro Xの場合、ツールバーからトランジションをクリック。
そこから必要なトランジションを選択して、タイムラインにドラッグアンドドロップすればOKです。
なお、この操作方法はiMovieとほぼ同じであるため、iMovieで動画を制作したい方も覚えておきましょう。
Filmoraの場合
初心者でも質の高い動画を制作できるFilmoraの場合、まずトランジションタブをクリックします。
さまざまトランジションが表示されるため、そこから欲しいトランジションを選びましょう。
なお、ダブルクリックすればトランジションのプレビューがチェックできます。
欲しいトランジションが見つかったら、タイムラインにドラッグアンドドロップすればOK。
また設定次第ではプロジェクト内にあるすべての動画クリップに対して同じトランジションを追加することもできます。
AviUtlの場合
無料の動画制作ソフトとして有名な AviUtlでは、トランジションではなくシーンチェンジという名前で使われています。方法としては、拡張編集タイムライン上で右クリックをして、フィルタオブジェクトの追加を選びます。
その後、シーンチェンジが表示されるため、シーンチェンジさせたい部分の下にあるレイヤーに設置しましょう。
AviUtlは、無料ソフトながらもクオリティの高い動画が制作できます。ただし、他のソフトと比べると操作性が難しいため、じっくり時間をかけてマスターしていきましょう。
主なトランジションの特徴
先述したとおり、「トランジション」とひとくちに言ってもその種類はさまざまで、それぞれ特徴が異なります。 代表的なトランジションとしては、
・ディゾルブ
・スライド
・ズーム
・ホワイトアウト・ブラックアウト
・ワイプ
・回転
などがあげられます。 これら主なトランジションの特徴について解説していきます。
ディゾルブ
ディゾルブは、映画などでも用いられる最も一般的なトランジションの一つです。 今流れている映像が徐々に薄れていくのに合わせて後から流れる映像が徐々に鮮明になっていき、最終的に映像が切り替わります。
ディゾルブは「溶ける」といった意味を持つ英単語ですが、まさしく映像同士が一瞬混ざり合い、切り替わるような効果をあたえてくれます。
スライド
パワーポイントなどのプレゼンテーションツールでもよく用いられる代表的なトランジションの一つ、「スライド」。
スライドは今流れている映像が後から流れる映像に押し出される(スライドさせられる)ような動きで切り替わります。 プレゼンテーションツールでもよく用いられることからもわかるように、テンポよく映像を切り替えたいときに用いられることの多いディゾルブです。
ズーム
既存の映像にズームアップした後にズームアウトするタイミングで映像が切り替わるトランジションが、「ズーム」です。 画角が切り替わった後に映像も切り替わるので、映像に躍動感が生まれます。
また、ズームした後でズームした対象に関連する映像に切り替えるなど、動画内で何かしらのメッセージを伝えたりこの後の映像の展開を示唆するときにも重宝するトランジションです。
ホワイトアウト・ブラックアウト
映像が徐々に白くなり、白くなりきったタイミングで次の映像に切り替わるトランジション、「ホワイトアウト」。
映像が徐々に暗転していく「ブラックアウト」という類似したトランジションもあります。
シーンが大きく変わるときなど、映像の内容につながりを持たせることが難しいときによく用いられるトランジションです。
動画にも起承転結がありますが、その起承転結のタイミングでもよく用いられます。
ワイプ
ワイプは、車のワイパーのような拭き取る動きで次の映像へと切り替わるタイプのトランジションです。
スライドとよく似た動きのトランジションですが、どちらかと言うとワイプの方がより柔らかく自然な印象を与えてくれます。
内容が異なる映像へと切り替えるときはもちろん、似たような映像が続くような場面にも使える万能型のトランジションです。
回転
映像が回転して切り替わる、回転トランジション。
回転トランジションは、スピントランジションとも呼ばれる定番のトランジションで、回転の仕方や回転の速度で視聴者にあたえる印象が大きく異なります。
映像が回転するため、これまで紹介してきたトランジションに比べてインパクトが強く、視聴者を動画に引き込んでくれます。
トランジションが与える印象とは
魅力的な動画を制作する上で欠かせないトランジションですが、トランジションは動画を試聴しているユーザーにどういった印象を与えているのでしょうか? トランジションが動画の視聴者にあたえる3つの印象について解説していきます。
動画に動きをもたらし、視聴者を飽きさせない
いくら素晴らしい映像や息を飲むような綺麗な映像でも、動きの感じられない映像をユーザーは継続して試聴してくれません。
最近は特に動画にテンポが求められる時代へと変化してきているため、積極的に動きを取り入れないと、視聴者が飽きて離脱してしまいます。
その、映像にとって欠かせない要素の一つである「動き」をもたらしてくれるのがトランジションです。
用いるトランジションによってユーザーにあたえる印象は異なりますが、トランジションを取り入れることで映像に動きや展開が生まれます。
トランジションをうまく活用することができれば、飽きさせるどころかユーザーを動画にグイグイ引き込むことができるようになるため、積極的に活用するべきです。
映像が切り替わる際の不自然さを緩和してくれる
動画では、映像や場面を切り替えることでユーザーにメッセージを伝えていきます。
しかし、今見ている映像から新しい映像へと切り替わるタイミングは映像が大きく変化するため、どうしても違和感を感じてしまうものです。
違和感はユーザーを離脱させる大きな要因の一つであるためなるべく取り除いてあげる必要がありますが、その違和感を取り除くのに重宝するのがトランジションです。
例えば、目立った動きのない静の映像から人が走っている様子を映した動の映像に切り替わる場合、トランジションを用いずに映像を切り替えてしまうと、何の予告もなく映像が大きく切り替わってしまうため違和感が生まれてしまいかねません。
一方、ディゾルブやスライド、ズームなどのトランジションを取り入れて映像を切り替える場合は、動画を試聴しているユーザーに対して「これから映像が切り替わりますよ」と前もって印象付けることができるため、違和感を大幅に軽減できるようになります。
これによりユーザーの離脱を止めることができるようになります。
動画に引き込むことができる
紹介してきたとおり、動画に用いられるトランジションにはいくつか種類がありますが、トランジションの使い方によって今後の展開を視聴者に対して示唆することができるようになるため、上手く活用できれば視聴者をより動画へと引き込めるようになります。
こういったトランジションの使い方は、ストーリー性のある動画でよく用いられます。
トランジションを上手く活用するコツ
トランジションをなんとなくで動画に取り入れても、必ずしも良いものになるとは限りません。
場合によっては、動画の魅力が落ちてしまう恐れがあります。
上手く活用するためにも、以下のコツを覚えておきましょう。
さまざまな動画を参考にする
トランジションの種類は非常に多く、使い方もさまざまあります。
だからこそ、他の動画を視聴してトランジションの使い方を覚えるようにしましょう。
さまざまな使い方を覚えることができれば、幅広い動画の製作ができるようになります。
例として以下の動画では、さまざまな映画で用いられてきたカットやトランジションを数多く紹介。
映画ということもあって参考にしにくい部分もありますが、ワンランク上を目指す上では勉強となるでしょう。
実際にトランジションを使った動画を制作する
ただ動画を見ているだけでは、トランジションをマスターできません。
実際にやってこそ覚えられるため、試しにトランジションを使った動画を制作してみましょう。
何度も経験していくうちに、動画の内容や展開に適したトランジションをすぐ見つけ出せるようになります。
また、トランジションに慣れていくことでスムーズに挿入できるようになるという利点もあります。
動画制作は時間がかかるものであるため、ショートカットキーといったことを用いてスムーズに制作することを目指します。
初心者の場合は時間がかかってしまうかもしれませんが、ある程度上達すれば短時間で制作できるようになります。
トランジションの素材を入手する
上記で述べたように、トランジションはさまざまあります。
各ソフトにデフォルトで入っているトランジションもありますが、動画の内容や展開によっては合うものが見つからないかもしれません。
そのようなときには、新しいトランジションを入手しましょう。
新しいトランジションは、YouTubeや動画素材サイトなどで入手できます。
なかには無料で入手できるトランジションもあるため、動画を制作する際に探してみるとよいでしょう。
エフェクトを使いすぎるのは注意
トランジションも含め、あまりにもエフェクトを挿入しすぎるとソフトが重くなってしまいます。
重くなるとスムーズに操作できなくなってしまい、最悪の場合は途中で終了してしまうかもしれません。
また、エフェクトが多いと動画の容量も重たくなります。重たい動画さまざまな場面で問題となりやすく、例としてサイトに掲載する場合はサイト全体が重くなってすぐにアクセスできなくなってしまいます。
そのため、トランジションといったエフェクトを挿入する際はここぞというところにだけ使うようにしましょう。
トランジションを活用している動画の事例
トランジションは、視聴者を引き込む動画を制作する上でとても重要な技術だと言えますが、使い方を間違えてしまうとチープに見えたり違和感を感じさせてしまったりするので注意しなくてはいけません。
トランジションを効果的に活用したいと考えるのであれば、実際にトランジションを使用している動画をチェックし、トランジションの使い方や用いるタイミング、用いる頻度などを参考にするのがおすすめです。
ここからは、トランジションを活用している参考になりそうな動画の事例をいくつかピックアップして紹介していきます。
株式会社リンレイ
75年の歴史を持つワックス剤やコーティング剤を製造・販売しているメーカー、「株式会社リンレイ」。
こちらは、その株式会社リンレイの会社紹介動画です。
こちらの動画では、スライドのトランジションが効果的に使用されています。
映像の切り替えはにはさまざまな方法が用いられていますが、動画の5秒や14秒あたりなど、ところどころで速度の早いスライドトランジションが用いられており、映像がパパっと心地よいテンポで切り替わるので、見ているユーザーを飽きさせることがありません。
このテンポの良さや心地よさは、スライドのトランジションならではです。
スライドのトランジションは速度で視聴にあたえる印象が大きく印象が変わるので、必ずしもこちらの動画と同じ速さにする必要はありませんが、短めの動画を制作する際やテンポの良さを意識して動画を制作する際は、この動画のスライドトランジションを参考にしてみてはいかがでしょうか?
パナソニックホールディングス
日本を代表する家電メーカーとして有名な、「パナソニック」。
パナソニックは電化製品の製造や販売だけでなく、さまざまな事業を展開していますが、こちらは、そのパナソニックホールディングスグループの関連会社の一つである「パナソニック オートモーティブシステムズ」の採用動画です。
こちらの動画では、54〜55秒あたりや1分15〜16秒あたりなど、ところどころでディゾルブのトランジションが用いられています。
実際に動画をチェックしてもらえるとわかるかと思いますが、ディゾルブは、先ほど紹介したスライドのトランジションとは異なり徐々に映像が変化していくので、
「これから映像が切り替わるんだな」
「これから違う話が始まるんだな」
というような印象をユーザーにあたえてくれます。
先ほど紹介した事例のようにスライドで映像がテンポよく切り替わっていく動画も魅力的ですが、テンポが早いと、映像についていけずに困惑してしまうユーザーもいるので、そういったケースを避けたい場合はディゾルブを用いるのがおすすめです。
富士印刷株式会社
三重県の四日市市にある印刷会社、「富士印刷株式会社」。
その富士印刷株式会社の公式YouTubeチャンネルにアップされている、会社紹介動画です。
こちらの動画では、6〜7秒あたりや48〜49秒あたりで、ホワイトアウトのトランジションが用いられています。
会社紹介動画は、短い時間で会社や行っている事業に関するさまざまな情報をユーザーに届けなくてはならないのでトランジションが用いられている時間は0.5秒ほどと短めですが、徐々に映像が切り替わっていくので、これから違う映像や違う内容に切り替わるんだなということがわかります。
トランジションを用いて適度なテンポ感のある動画を制作したいときに参考にしたい事例です。
動画制作でトランジションは重要な存在
今回は、動画制作におけるトランジションの基本情報や活用する際のコツなどを紹介しました。
トランジションは動画制作の基礎的なエフェクトであり、上手く活用することで動画の展開をより良いものにしてくれます。
ただ、各ソフトによって使い方が異なるため、その点に注意しながら実際の動画制作に取り入れてみましょう。