動画の縦横比(アスペクト比)にまつわる基礎知識
まずは、動画の縦横比の基礎についてご説明します。また、動画の縦横比とセットで言及されることが多い「解像度」についても合わせて説明していきます。
動画の「縦横比」とは
動画の縦横比は、アスペクト比や画面比率とも称されます。動画のアスペクト比を記載する際には、一般的に「動画の横幅:高さ」の順に表します。
動画を制作する際には、あらかじめ縦横比を決めておかなければなりません。
なぜなら、動画を再生する端末や掲載する媒体によって推奨される縦横比が異なるからです。
縦横比を考慮せずに動画を作ってしまうと、想定とは異なる見え方になってしまう可能性があります。
そして、完成した動画の縦横比の変更は不可能ではないものの難しく、場合によっては動画素材の撮影からやり直さなければならないことも。
こういった最悪の事態を避けるためにも、制作を開始する前にどの比率が最適なのか決めなければなりません。
動画の「解像度」とは
動画の縦横比とセットで言及されることが多い「解像度」とは、映像の繊細さを数値化したものです。
単位には「画素」が用いられ、この数字が大きいほど鮮明で細やかな映像になります。
解像度も縦横比と同じように、掲載する媒体や再生する端末によって推奨される大きさが異なります。
そのため、動画素材を撮影する前にどれくらいの解像度の動画を作りたいのか決めることが大切です。
代表的な3つの動画の縦横比
代表的な動画の縦横比には、スタンダードとワイド、スクエアと呼ばれるものがあります。
他にもさまざまな比率がありますが、スタンダードとワイドに比べるとあまり汎用的ではありません。
そのため、ここではあえて言及せずにまずこれら3つの縦横比について説明していきます。
スタンダード(4:3)
スタンダード(4:3)は、地上アナログ放送で採用されていた規格です。現在では後述のワイド(16:9)が主流になったため、スタンダードという名前に反して積極的に採用されることはあまりありません。
しかしながら、ミドル層以上には馴染みのある縦横比のため、懐かしさや哀愁を演出するために、
ミュージックビデオやなどをスタンダードの規格で制作する事例もまれに見られます。
若い女性を中心に「写ルンです」が”エモい”とブームになったこともあり、演出手段としてスタンダード動画が再び注目を集めるかもしれません。
ワイド(16:9)
ワイド(16:9)は、
YouTubeを始めとした動画媒体で最もメジャーな縦横比です。
地上デジタル放送でもこの規格が採用されているため、年齢層にかかわらず最も馴染みのある縦横比といえるでしょう。
最近では、縦と横とを逆転させた縦長の動画(9:16)も増えています。
動画
SNSの
「TikTok」の登場以降じわじわと浸透しているため、ターゲットの視聴者をモバイルユーザーのみに絞った動画を作る際には候補の1つになります。
スクエア(1:1)
スクエアは縦横比が1:1の正方形の動画です。スマートフォンの普及に伴い浸透した比率で、Vineや
Instagramを発端にシェアを拡大していきました。
現在では、
Facebook広告や
YouTube広告など動画広告にもこの比率が活発的に用いられています。
1本あたり30~60秒ほどの短尺のものが多く、内容もダイジェストや早回しなどライトなものが主流です。
また、スクエア動画も縦長のワイド動画(9:16)と同じように、Googleがモバイルユーザーに適した比率として推奨しています。
若年層やモバイルユーザーをメインターゲットに定めた動画を制作する際には、スクエア動画を検討する価値は大いにあるでしょう。
その他主要な縦横比
紹介した縦横比以外にも、映像では使用されているサイズがあります。 サイズの種類を知っておくことで、展示会やイベントに合わせて動画を制作することができるでしょう。
WXGA(16:9)
WXGAは16:9と、ワイドと同じ比率ですが解像度が微妙に異なります。1280×800と1280×700に比べて横が少し大きめです。
WXGAには、縦横をさらに広げた「WXGA+」や、2倍以上に広げた「WQXGA」などもあります。
パソコンのディスプレイやプロジェクターに使用されるケースが多く、展示会でプロジェクターに映像を映すのであれば、WXGAの比率を意識して制作してください。
シネマスコープ(2.35:1)
シネスコは、映画で主に使用されるサイズです。解像度は1920×817.02と、一般的なサイズと微妙に異なります。映画のために設定された比率のため、以前はあまり使われていないサイズでした。
最近では、字幕をしっかり表示できる、映画っぽい凝った映像を制作できるという観点からWEB動画でも起用されるケースが多くなってます。 テレビCMなどのインパクト重視の映像を制作するのであれば、シネマスコープの画角で制作をしても良いでしょう。
シネマスコープは、従来のサイズとは微妙に異なるので普段別のサイズで編集を行っている場合は注意が必要です。
縦撮り(9:16)
スマートフォンの普及により、動画業界で主流となりつつある「縦撮り」。
スマートフォンを主要ターゲットとするSNSでは、縦撮り比率の動画が多く投稿されています。
PCからも制作が可能ですが、スマホの方が直感的かつインパクトのある編集ができる点が特徴です。
今後は縦撮りのコンテンツが増え、動画表現の選択肢の1つとなるでしょう。
YouTubeで推奨される動画
YouTubeで推奨される動画サイズには「縦撮り」と「横向き」の2種類の動画があります。それぞれの推奨される動画のサイズを把握することで、動画編集時に理想の映像を制作することが可能です。
縦横比(画面サイズ・アスペクト比)
縦横比は、スマホで視聴できる「縦用」とPCやテレビなど大きな画面で対応をしている「横向き」があります。 shortsと呼ばれる60秒以内のshort動画を制作する際には、アスペクト比が「9:16」になるようにしてください。
横向きの場合は、縦用の逆となる「16:9」と設定をすることで、正しい画角で書き出しができます。
解像度(画質)
YouTubeでは解像度を設定して投稿することも可能です。
解像度とは、1画面に表示出来る画素の「密度」を示すものです。解像度が高くなればなるほど、きめこまやかな映像を制作することが可能です。YouTubeでは、推奨している解像度があるため以下を参考にしてください。
QHD |
1440p: 2560x1440 |
フルHD |
1080p: 1920x1080 HD |
HD |
720p: 1280x720 |
SD |
480p: 854x480 |
|
360p: 640x360 |
|
240p: 426x240 |
http://https://support.google.com/youtube/answer/6375112?co=GENIE.Platform%3DDesktop&hl=jaより
YouTubeには、上記以外にも4K、8Kなどの高画質の画質にも対応をしていましたが、2022年にサポートが終了をすることが決まりました。
2023年以降に動画を制作する場合は、高画質の動画を制作しても、QHD(1440p: 2560x1440)が最高の解像度となります。
4Kカメラ等で映像の美しさを前提としたコンテンツをYouTubeへ投稿する際には注意が必要です。
YouTube以外の主要媒体ごとの推奨される動画の縦横比
YouTube制作をおこなうのであれば、汎用性の高い1920×1080、解像度フルHDがおすすめです。
フルHDであれば、テレビなどの大きな画面で視聴しても、解像度の粗さも気になりません。
最近ではスマホやタブレットで視聴するユーザーが多く、スマホからでも綺麗な映像で視聴することが可能です。
解像度を高く設定しても、視聴環境によって自動的に解像度が調整されます。
通信環境が悪いところで視聴をすれば、HDで制作した動画も低い解像度で視聴されます。
ユーザーの視聴環境によって、映像の美しさが異なるので美しい映像で訴求を検討している場合は注意してください。
ここまで繰り返し述べたように、掲載する媒体に適した縦横比で動画を制作することは非常に大切です。
同じ素材で作る動画を複数の媒体に掲載する場合、それぞれの体の推奨比率に合わせて制作を進める必要があります。
は、フィード投稿かストーリーズかによって推奨される縦横比が異なります。
ユーザーのタイムラインに表示されるフィード投稿の場合、スクエア(1:1)か横型(1.91:1)、縦型(4:5)のいずれかの規格に合わせた動画を作る必要があります。
タイムライン上部に表示させるストーリーズに投稿する動画は、縦長のワイド(9:16)が推奨されています。
Twitter
Twitterの場合、オーガニック投稿の動画は1:2.39~2.39×1の範囲におさまるよう作る必要があります。
Twitterの動画広告の場合、推奨縦横比は大きく2つのグループに分けられます。
1つ目のグループは、ユーザーのタイムラインに表示される「プロモビデオ広告」と独自のハッシュタグいりアクション誘導ボタンを付けた「ビデオカンバセーショナル広告」の2種の広告が該当します。
これらの広告は、2:1~スクエア(1:1)が推奨されています。1:1を超えると自動的に調整されるので注意してください。
2つ目のグループ、Twitter上で配信されている動画コンテンツを再生する前に流れる「プレロール広告」と「スポンサーシップビデオ広告」は、それぞれワイド(16:9)もしくはスクエア(1:1)が最適です。
投稿からアプリのインストール画面に誘導できる「ビデオアプリカード広告」も同様の規格が推奨されています。
Tiktok
縦撮り動画の代表的なプラットフォームと言っても過言ではないTikTokでは、9:16が採用されています。
PCで動画を制作する際には、1080×1920の解像度が推奨されています。
Tiktokで注意が必要な点は、広告出稿時に縦横比を選択できるところにあります。
選べるパターンは3種類で、「9:16」、「1:1」「16:9」です。あらかじめ、縦横比を意識して動画を制作すると、伝えたい映像表現がうまくできるようになるでしょう。
Facebook
SNSの中でも、さまざまな形式の動画投稿ができるのがfacebookです。投稿するコンテンツによって、推奨している縦横比が異なるので注意が必要です。
・タイムライン上に投稿する「フィード投稿」であれば、「4:5」
・動画カルーセルであれば、「1:1」
・Facebookストーリーズで投稿するのであれば「9:16」
・インストリーム動画では「16:9」
縦横比を間違えて投稿してしまうと、動画が崩れてしまうので注意が必要です。
LINE
LINEに投稿できる動画にも推奨される縦横比、解像度があります。
・16:9であれば、240×135〜1920×1080
・1:1であれば、600×600〜1080×1080
・9:16であれば、125×240〜1080×1920
LINEの動画の多くは、スマートフォンから投稿されるため、他のSNSプラットフォームに比べて注意する必要はありません。
広告を制作する際に、意識をする程度なので「高画質で動画を配信する際」に、どの解像度で制作をするのか検討してください。
Vimeo
Vimeoでは、推奨されている動画の縦横比や解像度は特にありません。どのような設定をしても自由に投稿ができます。
Vimeoには、映像クリエイターが多く投稿し、画面上に映像を最大限映し出すことができるメリットから、16:9を選択するケースがほとんどです。
像美を意識した動画コンテンツを制作するのであれば、16:9,2560×1440がおすすめです。
ニコニコ動画
ニコニコ動画では、16:9が推奨されています。
元々リアルタイムでコメントが表示できる点がニコニコ動画の売りのため、高画質の動画とはあまり相性が良いとは言えません。
解像度は1920×1080が最大なので、解像度を高く設定しても反映されないことを覚えておきましょう。
デジタルサイネージ
電車や駅の看板で見られるデジタルサイネージは、表示されるパネルのサイズは大きく異なりますが基本的には16:9、9:16に設定されています。
投稿先のデジタルサイネージのモニターの大きさ、配信できる機種によって、推奨される解像度や比率も異なります。出稿前に必ず解像度と推奨サイズを確認してから制作をしてください。
掲載媒体に合わせて最適な縦横比で動画制作を!
今回は、動画の縦横比について説明しました。動画の縦横比や解像度は、動画制作において基礎的な概念ですので全体像を理解していただけたら幸いです。
また、動画を意図したかたちで視聴してもらうためには、掲載する媒体に合わせて適切な縦横比を選ぶことが大切です。これまで動画をアップロードしたことのない媒体を利用する際には、ヘルプセンターやユーザーガイドをご確認のうえ動画制作をスタートしてください。